私はこういう事をしている関係で、これまでペット同伴可という場所(イベントや展示会)に運営側としても来場者側としてもそれなりの数に参加してきましたが、言葉を選ばずにそのまま言うと、イベントの規模が大きくなればなるほど、その環境(治安)は悪くなります。
それは何もイベントに限った話ではないですが、ペット同伴可という場所では性善説的な期待はしちゃいけないんだなって感想を持つ事が多かったです。
例えば、大体どこででも「ペットの糞尿は飼い主が~」となっているはずですが、絶対、どこかしらに必ず一つ(どころじゃないけど)は落ちています。
普通はそんな事、言われなくても当たり前のこと。これは私の思う「普通」です。
普通はそう言われてるんだから、それくらいちゃんとすべき。これは誰かの「普通」。
普通はそうだし普段はちゃんとしてるけど、今日はマナーセット忘れちゃったんだから仕方ないじゃん。これも誰かの「普通」。
普通はそうかもしれないけどここもそうだとは思わなかった。そんな事どこに書いてあるの?見えなかったし。これもその人の「普通」。
自分のペットの糞尿に対する「普通」ですら、ちょっと思いつくだけでもこれだけ違うのですから、人が多く集まればその分だけ「普通は」の価値基準にはバラつきが出て、その規模が大きくなればなるほど取集がつかない事態になる事は皆さんも想像できるかと思います。
で、こういう話をすると「それはそういう(自分以外の普通基準の)人がおかしいだけじゃないですか!」ってなるんですけど、もうそれさえもそう。
まったく同じことを、それぞれがそれぞれの立場から「あっちがおかしい」って言うんです。
分かりますか?
「普通の基準が自分とは違う人がいる」まずは、この事実をしっかり現実として受け止めなければいけません。
それを受け入れて、「じゃあ、どうするか」をあなたが自分できちんと考えなければ、そのしわ寄せは全部その子(ペット)にいくって事を知っておいて欲しいんです。
フェレットはペット同伴可のイベントに不向きな動物
本能、性質的な理由だけ軽くあげても、フェレットという生き物についてはシンプルにこうです。
- フェレットは大型生物の餌であったり狩りの対象だったりオモチャに見えたりもします。
- フェレットは小型生物を餌にするし狩りの対象にするしオモチャにもします。
- フェレットは犬、猫、その他の動物たち、人、のその多くの感染症に非常に罹患しやすい生き物です。
フェレットの特性は、フェレットのような小型肉食獣は、生物学上、生態系においてその位置にあります。
もちろん、イベントですから、そこにいるのはどの子も皆、どこかのお家の子(ペット)です。
いくらペット化されている子達でも、野生動物じゃなくても、本能は本能としてきちんと備えたまんまでそこにいるという事を忘れてはいけません。
大きなイベントで「普段とは違う状況」に、動物たちはみんな少なからず興奮状態にあります。
大きなイベントでは「普通はしている」とあなたが思っているワクチン接種や予防薬をしていない普通に健康体の人や動物たちもいます。
ペットの命への責任は飼い主である自分に全部ある
先日、「犬に咬まれて大怪我をしたフェレットがいるらしい」というDMがたくさん届いていました。
とても痛ましい話です。
その子は大丈夫だったのでしょうか…
これは大変だ、何が起きたのだろうか?と慌ててTLを遡ったりあれこれとしてみましたが、そもそも気が付いたのが遅かったせいで、大本となった書き込みはアカウントごと無くなっていて、何が起きたのかその詳細は分かりませんでした。
ので、改めて全てのDMをきちんと読み直してみると、そこには
- 自分の犬が咬んでフェレットをケガさせたのに逃げた(犬の)飼い主を探しだして責任を取らせたい
- フェレットは来ちゃいけないと禁止事項にしていなかった主催に責任をとらせる事はできないんですか?
等々のようなお話の後、「私たち皆がこういう気持ちでいるのに、どうしてフェレットの保護活動者であるあなたが何も言わないんですか」というような事が書かれていました。
あの…
皆というのはどこの皆でしょうか?という話は置いておくとして、
咬傷事故を起こして立ち去ったのが事実であれば、それは確かにその飼い主は悪いです。が、その責任の追求を無関係な第三者がする事は出来ません。
また、公園でと書かれていたりドッグフェスでと書かれていたりで、結局その場がどこで何の場だったのかがよく分からないので、主催の責任問題についての直接的な言及は控えますが、推測からの私の個人的な意見を言えば、運営側にその責任はないと思われます。
どうして何も言わないんだ?という問いに対しては「詳細が分からないのでどこへ向けて何を言えば良いのかが分からない」というのが正直なところですが、
フェレットの保護活動者として「何か言う」のであれば…
こういう事が起きた時、責任云々はもちろん大切なお話ではありますが、フェレットの保護活動者として「今回の事に関して、何か」を言うのであれば、皆さんの中でそれぞれ色んな思いがあるのも分かりますけど、まず、痛い思いをしたのは、怖い思いをしたのは、人じゃなくてフェレットだということ。
「今回の件を忘れずに、今後もう二度と、そういう事が起きないよう、1人1人が『その子はフェレットである』という自覚を持って考えて行動してあげて下さい」しかありません。
こちらにとっては目に入れても痛くないほど可愛い可愛い我が子でも、他人からしたら「よそん家のペット」でしかないんです。
低い位置をスンスン♪歩く可愛い姿をそこにいる全員が目を細めて可愛い可愛いと”あなたの子だけ”を注意深く見てくれているなんて事は無いんです。
そこにいる皆が「自分の子が一番可愛い」んですから。
うっかり踏んでも蹴っ飛ばしても「こんな所を歩かせてる方が悪い」って言ってくる人だっているんですよ。それが現実です。
ちょっと足があたったくらいならまだ良いですが(全然良くない)、例えば、ニョロがケガをするような事故が起きて、加害側がはっきり誰かも分かっていて、きちんと責任をとってもらえる運びとなったとしても、それでも、もしもその子が死んでしまったら責任云々なんて言ってる場合じゃないじゃないですか?
死んでしまったら生き返らないんですよっ!!という感情論はもちろんですが、冷静に世間一般的な話をすると、いつも言っている事ですが、法律上、この子達は「物」です。
賠償責任だなんだってその責任を追及しても、我々ペット飼いが納得できるような所へは絶対に着地しません。
あなたが「殺された」と主張しても、「そこへ連れて行ったのはあなたですから、あなたにもその子の死への責任はあります」って言われて、決して10-0であなたの主張が通ることは無いんです。
だから、「そもそもそういう事が起きないように」「あなたが」気を付けてあげなくちゃいけないんです。
そういう目に遭わないよう、守ってあげられるのはあなただけなんですからね。
散歩に行ってはいけない!ではなく、行くなら知っておかなければいけない事がある!って事
フェレットにお散歩の必要はありません。
でも、行きたいなら行って良いんです。
さすけがあんまり外が好きじゃない子なのと、もえちゃんには持病があるのとで、今は不必要な外出はしていませんが、私だってえるちゃん1人の時にはそれはそれはあちらこちらへと連れて行きました。
それは、私が連れて行きたかったからです。
時々、「うちの子は砂遊びが好きだから散歩に行くんですけど~」って問合せがきますが、それは自宅ででもさせてあげられます。
遊ばせてあげられる土のお庭がなくても衣装ケースに買ってきた土を敷いてそこで遊ばせてあげたら良いんです。
多くはその続きに「公園でイヤな顔をされた」等って書いてあるのですけど、基本的に公園の砂場というのは動物の侵入は禁止ですから、その中で遊ばせていたのなら、やってはダメな事をしているって嫌な顔をされて当然です。
また、お散歩が必要な生き物である犬の飼い主さんからしたら、その場に小動物がいる事が「邪魔」だと思うことだってあります。
お外で思いっきり遊ばせてあげたくてそこに来たのに、その必要があるからそこに来ているのに、もしもの事故が起きたらいけないとリードを引き寄せてあなたとその子のために我が子を待機させていなきゃならないという事は、その飼い主さんからしたら、あなたとその子に「可愛い我が子の時間を妨害されてる」事になるんですからね。
そう考えたら、露骨に嫌な顔をする飼い主さんがいたってそれはそうですよ。
あなたが我が子が可愛いように、その方だってご自身の子が可愛いんですから、「散歩の必要もないのになぜいるの?早くいなくなって」って思う犬の飼い主さんがいたとしたって、それはその気持ちが飼い主として当然だってお分かり頂けますよね?
SNSなどで「フェレ飼い同士」での楽しい会話が日常生活の中で占める割合が多くなるとつい忘れてしまいがちですが、「フェレットは可愛いから」で何でも許される場所はフェレ飼いさんの仲間内でだけなんです。
世の中にはフェレットを飼っていない人の方が多いし、あなたの家の中より「その子に適する環境」が整っている場所は家の外にはありません。
きつい表現が続きましたが、私はフェレットの保護活動者です。
1匹でも多くのフェレットのために、「フェレット達が痛い思いや怖い思いをしなくて良いように」の、お話をするのがその立場です。
フェレットを飼っている皆さんにそのお話を促すのが役割であって、フェレットを飼っているからといってその誰かにとってだけ一方的に都合の良いとりつくろった耳心地の良いお話をする事はできませんので、それはどうかご理解下さいね。
おしまいに
あなたがしてあげたいと思った事はしてあげて良いです。
あなたが連れて行きたい所へは連れて行って良いです。
ただし、それは「フェレットのために」ではなく、「あなたがそうしたくてやっている事」ですから、何かトラブルが起きた時には「あなたがそうしなければ/あなたがそこへ連れて行かなければ、起きなかったこと」としてその責任は全てあなたにあるという事を忘れないで下さい。
これは、フェレットの安全に考慮したフェレット好きだけが集まるイベントでも大概がそうですからね。
『会場内外で起きた事故、お客様(のフェレット)同士のトラブルにつきましては一切責任を負いません』って、大体の場所ではそうなっていますから。
それが、特にフェレットに配慮されているわけでは無いイベントに参加するという事はどういう事なのか、事故や感染症、大きな音、普段とは違う環境、この小さな体にそれがどれほどのストレスになるのか、一度じっくり考えてあげてみて下さい。
フェレットとその他の動物の相性的なお話はこちらでお話させて頂いています。
フェレットが自分より小さい動物を死なせてしまった実例、優しいと言われている大きな犬もフェレットにとっては本当は全然安全ではない理由など「本能」「性質」についてザックリとですがまとめてあります。
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フェレットを他の動物と一緒に飼いたい!「○○なら良い」って何だそれ?「その子の性質・動物の本能」ちゃんと理解してますか?
「フェレットは他の動物とも仲良くできる」と書いてあるサイトや本を見かけることがあります。 実際、犬や猫と一緒に楽しそうに暮らしているニョロリンはたくさんいます。 ハリネズミやモモンガと一緒に飼っている ...
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何かトラブルがあった時、人間同士の問題は後からどうにでもなりますが、痛い思いをしたり怖い思いをしたりするのはこの子達だって事、まずそれだけは肝に銘じて飼い主としてしっかり考えて行動してあげて下さいね。
健やかなニョロニョロ生活を☆彡
追記:大阪万博について
この記事は当初、2025年に開催予定である大阪万博が「ペット同伴可能なイベントにすることを検討していること」を受けて書きました。
なので、冒頭に
開幕まで700日を切った2025年大阪・関西万博のコンセプトは「いのち輝く未来社会のデザイン」だが、これは人間に限ったものではない。万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)は今年、獣医師会の関係者らを中心とした委員会を立ち上げ、ペットと同伴の入場可否について検討を進めている。ペット同伴の入場が認められれば万博として世界初だが、他の来場者への配慮や糞尿(ふんにょう)の処理といった課題も山積する。課題解決に向けて、どのような対応が求められているのか。
引用:ヤフーニュース「大阪万博、世界初ペット同伴実現へ立ちはだかるハードル」
と、回ってきました。
これ、実現しても私はうちの子たちを連れて行かないです。
から書き出しましたが、以下のことを受けて、文末にそのまま下げるという形で編集いたしました。
2025年開催の大阪・関西万博で、日本国際博覧会協会(万博協会)は、過去に例がないとされる会場内でのペット同伴について、原則として犬だけを認める方向で最終調整に入った。
と、発表がありました。