いたちのおうちをお読み頂いている皆様、Twitter(現X)を見て下さっている皆様、にはもうおなじみですが、我が家には猫もいます。
今年の5月に3才になったばかりの黒猫の女の子「撫子(なでしこ)」、アイキャッチの可愛い写真はちょうど3年前の今日、カメラマンの友人(はる/ハルキナ)が「(子猫はすぐに大きくなるから)今の姿を残しておこう!」って急いで時間を作って我が家まで撮りに来てくれたお気に入りです。
最初こそ、「フェレットの保護だけやってりゃ良いのに野良猫にまで手を出しちゃって。お前にやれんのか?」的な声もチラホラあったようですが、お迎えを決めてからはもうずっと温かいお言葉しかありません。
子猫とフェレットとコクシジウムと感染症
この数日、たった数回の事で早くも「いたちのおうちがSNSに猫の投稿をしている」事を快く思ってない人がいると教えてもらいま ...
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なので今日お話に出させて頂くいくつかのDMは全て「温かいお言葉」として受け取っている事だけ、先にお伝えしておきます。
なでが闘病している事を知って98%の方は「頑張って!」って言って下さいます。
いつも見ている子だからって純粋に応援してくださる方、元気になった子の症例などを調べてまで「だからなでちゃんも頑張って!」って言って下さる方、治療が間に合わなかった、途中で断念するしかなかった、等々の辛いご自身の経験談をもって「だから、なでちゃんは頑張って!」って応援して下さる方、本当にたくさんの温かい励ましのお言葉に勇気をもらっています。ありがとうございます。
ただ、2%ほど返事に困る内容のご連絡が届きます…パターンは2つ。
今日はそちらへの返信も兼ねて、ここまでの経緯やちょっと思うこと書いてみようと思います。
猫に「抗がん剤を使った治療」は昔から賛否両論あるのは知ってる、けど…
実はここ数日なでちゃんがご飯をあんまり食べなくて…
お水は飲む
スンスンはする
ちゅーるやおやつカリカリは食べる
等などで調べたら「食べ飽きてる」「選り好みしてる」って書いてあったから色々と買ってきたこれは一部。
心配だから先生に相談だけでもしに行こうかなと。
おはようございます🌞 pic.twitter.com/vGMqtpBwG7— 滝川🌏️いたちのおうちの中の人 (@MaikoTakigawa) March 3, 2024
それはちょうど、末期の心臓病のさすけに私がかかりっきりで、週に何度も胸水を抜きに病院へ駆け込むのがもはや日常となっていたあの時期でした。
そんな私の事情を汲んで体調の安定しない保護っ子をフルで引き受けてくれていた預かりさんから毎日のようにその子の体調についての報告をもらっていたある日、あの日はなぜだったかは忘れましたがLineではなく電話で話をしていました。
「さすけさんの調子はどうですか?」
「まぁ、ボチボチといった感じですかね、今日は安定してくれています。ただ、なで(猫)の調子が何だかちょっと気になるので明日にでも病院へ行こうと思ってるんです。」
「どうしたんですか?」
「あ、いや特に何かってことじゃ無いのかもしれないんですけど、この数日、あんまりご飯を食べてなくて…」
って、この、何てことない、一見すると本当にただの「ありきたりな会話」でしかない、これが無かったら、なではもうここには居なかったかもしれません。
ネットの情報を鵜吞みにしてたらそのまま死なすところだった、でも…
【猫 急に食べない】とかで検索してもらうと分かるんですけど、猫がご飯を食べない理由の1位には「ご飯に飽きた」か「好みではない」かです って大体どこのサイトでもそう書いてあります。
シニア猫や闘病中の子の場合は病院へ行きましょうって注意書きはもちろんあるんですけど、なではまだ(当時)2才の健康猫ですから、私は余裕綽々で念のためにだけ安心をもらってこようくらいの気楽な気持ちで病院へ行きました。
案の定、「猫にはよくあることですよ」
「やっぱりなぁ!」
病院でしか買えないフードを更に買い足して、食べなくなってからその日までのわずか数日間で購入したキャットフードがとうとう30種類を超えたことを「これだけあればさすがにどれか一つくらいは食べてくれるでしょ」なんて笑いながら友人たちに報告したりして
それからも少しずつ確実に食べる量は減っていってたけど、私は能天気に「じゃあ、これならどうだ!」って、毎回、毎回、新しいご飯を開けて、YouTubeやウェブサイトに出てる「こうしたら食べてくれた」を片っ端から試して、そんな時間を楽しんでさえいたんです。
だって、「ある日突然また普通に食べ始める」って先生も言ってたし、ネットにもそう書いてあったし、何より、なでは元気だったから。
数日後、さすけともえちゃん(フェレット達)の定期健診が、たまたま上記の保護っ子ちゃんの健診日と被っていたので、保護っ子ちゃんの説明を私も一緒に聞かせてもらうために預かりさんと時間を合わせて病院へ行きました。
(※猫の撫子とフェレット達のかかりつけの病院はその時までは別です)
その日はもえちゃんの血液検査の結果にちょっと色々あって、待ちの時間と先生とお話する時間がいつもより少し長くあって、その待ち時間中
「そういえば、その後なでちゃんどうですか?」
「まだです、相変わらず食べてくれないです」
という預かりさんとの雑談が耳に入ったらしく、先生が「え?」って。
「あ、違いますよ!フェレットじゃないです!彼女の家には猫もいて、その子が急にご飯を食べなくなっちゃったんですって。」
肝リピドーシスとは
猫に特徴的な肝臓疾患で、様々な原因によって猫が食欲廃絶、絶食状態となると体内の脂質が肝臓へ沈着することで発症する。 脂肪変性した肝臓は機能が低下し、徐々に肝不全の状態となり、無治療では致死的な状態となる疾患である。 肝リピドーシスは、肥満体の猫が、3~7日間絶食状態となると発症しやすいと言われている。
さすけが心臓病じゃなかったら、もえちゃんの血液検査の結果が違っていたら、保護っ子ちゃんの通院日が別の日だったら、彼女があのタイミングでなでの事を話題に出してくれていなかったら…どれか一つでも欠けていたら、私は肝リピドーシスなんて言葉も知らないまま、なでをそのまま死なせていたかもしれません。
【腎臓がおかしい】まだ若いのにorまだ若いから
もし肝リピドーシスになっていたら「治療しなければ死にます」なんて知ったら、もうモタモタ様子を見ている心の余裕なんて1㎜もありませんから、大慌てで病院へ行ったのですが、「これならどうだ!これは食べてくれるかな作戦!」の一つ、買ってきたペースト状のご飯や粉砕したカリカリをペースト状にしたものなどを一日に一回は必ずほんの少しだけどシリンジで無理やりにでも口へ入れるという事をやっていたのが良かったのか、なでの肝臓は無事でした。
ただ、腎臓が大きく腫れあがっていて…
先生が「これがそうです」って教えてくれたなでのお腹は、明らかにボッコリしていて、なんでそれまで分からなかったんだろうと思うくらいはっきりと外からでも触らなくても目で見ただけでその存在が分かるほど膨れていました。
腫大したその腎臓は、エコーで見たらボコボコしていて、とてもいびつな形状でした。
血液検査の結果(腎臓の数値)
猫の腎臓病なんてちっとも珍しいことじゃないし、なんなら「いつかはなる」って、お迎えを決めた最初から覚悟もちゃんとしてました。
でもそれは、10年15年先の「いつか」のことで…
なではまだ3才にもなってないのに…
「どうしてこんな事になってるんでしょうか?私の飼い方が悪かったんでしょうか?」
「いや、飼い方が悪かったとかそんな事は無いと思います。ただ、どうしてこうなっているのかは調べないと分かりませんので」って、その原因を調べるために
- 腎FNA(針を刺して細胞を回収する検査)
- FIP(猫伝染性腹膜炎ウイルス)の確認のためのPCR検査
- タンパク分析
- 尿の培養検査
- など(※培養や外注検査に提出したものなどその結果が分かるまで数日かかるとのこと
支持療法とはいっても、それは命を繋ぐための大切な処置ですから「このまま入院してもらってこちらで様子を見させてもらうのが望ましいといえばそれはそうなのですが、お家で処置ができるのであれば通院という形でも構いませんよ、どうしましょうか?」って、もちろん、家で1人でその処置が出来なければ話になりませんから、なでがやらせてくれる子なのか、私にそれができるのか、を先生に見てもらってからでしたが、まずはどうするかを先生が私に選ばせてくれました。
それは、さすけを後悔なく見送れたあの日のお話に繋がるのですが、そのお話はこちらで
ペットが治らない病気と言われたらどう受け止める【安楽死について】さすけの旅立ち方
はじめに さすけの闘病の様子をX(旧Twitter)で報告し続けているから、時々 ・安楽死させてあげる事は考えないんです ...
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帰宅後、ただご飯を食べないだけでいつもと何も変わらず無邪気に転げまわって遊んでいるなでちゃんを見ていたら、エコーや血液検査の結果から説明されたさっきのお話は「もしかしたら何かの間違いだったんじゃないか」なんて、あの時のあの、先生の声がどんどん遠くなっていく代わりに自分の心臓の音だけが大きく聞こえているような、目の前が真っ暗になるような、あの感覚さえ気のせいだったんじゃないかと思うくらい妙に冷静になって、いよいよお別れの時間がもうすぐそこまできていたさすけに私はまたかかりっきりになっていました。
あと数日遅かったらなでの腎臓は完全に壊れてしまっていた、今回のことが無かったら手遅れになっていた、なんてその時は微塵も思っていなかったから。
なではそれくらい本当に元気だったんです。
奇跡みたいな自然な流れでここまできたのはきっとそういう事だと思うから
動物たちへ副作用の強くでる薬を使う治療をよしとしない考え方があることは知っていますし、どちらかと言えば私はそちら側派です。
愛する我が子には1分でも1秒でも長く傍にいて欲しい気持ちは当然あるけど、それがその子にとって負担となるムリな形でになるなら私は親としてそれを望むことはしません。
それが、私の中での大前提としてそうである事を、DMをくださるあなたやあなたに知っておいて欲しくて、あえて今ここで書きました。
現状、なでは抗がん剤の投与を週一で続けている段階で、やはり副作用が強くでる時はあって食欲不振になる日があります。
それについて
- ご飯を食べられないのは動物達にとっては一番つらい事、特に元野良ちゃんなら余計に食べることが一番の幸せなのに可哀想です。
- 食べられなくなるほどつらい治療を受けさせるのは可哀想だから抗がん剤治療ではなくQOLを維持する治療を考えてあげるべきです。
というようなDMが届くのですが、なでは今、寛解を目指しています。
何が何でも!なんとかして!とにかく!!とりあえず!!みたいな強引なスタートではなく、たくさんの検査をしてもらって、その結果から「寛解を目指して頑張れる段階」という先生の診断があって、そのうえで、まだ若くて体力もあるなでだから、頑張ってもらおうと決意を固めて取り組み始めた治療なんです。
なので今の食欲不振は、目指すその先がきちんと具体的に見えているあくまでも一時的なものですから「可哀想」ではなく、「乗り越えるために頑張ってるんだ」と思って見守って頂けるとありがたいです。
また、現在なでにかけている、これからかかるお金や時間を「他の子に使ってあげることを考えて下さい」的なDMがくる事もあります。
安楽死させろとかそういう事を言ってるんじゃない事だけは分かって下さい。私だって撫ちゃんは可愛いと思ってます。だからこそ、つらい治療よりQOLの維持に努めてあげた方が撫ちゃんのためだし、撫ちゃんの席が空くことによって次の子もまた撫ちゃんと同じように幸せにしてあげられるんだから、抗がん剤の治療はやめて短くなっちゃうけどその分残りの時間を精一杯愛してあげる風にしてあげて下さい。外にはまだ保護を必要としてる猫はたくさんいるんです。
大分省略させて頂きましたが、あなたの言い分は分かります。
対象とする動物種は違っても私も長く動物の保護活動をしている身ですから、その「席が空く」の意味は言われなくても知っています。分かってます。
ただ、私は、保護活動者の前になでの親なのですよ…
これ以上はとても繊細で複雑なそれぞれの感情や考え方、またそれぞれの立場の違いで出来る発言の変わってくる非常にセンシティブなお話になりますから今日ここではもうお話することはしませんが…それは、その事だけはどうかご理解頂けたらと思います。
なんだかまださわりの部分しか話していないのに、とんでもなく長くなってきちゃいましたね…
続きはまたいつかということで
実は、上記のこれらの検査で「リンパ腫です。治療を始めましょう。」と直ちになったのではなく、なでの腎臓は一回、症状が落ち着いていくように思えた時がありました。
実際に❝この時の❞症状は一度、治まったんです。
こちらは先生から頂いたメモなのですが、「正常化」「ふつうに」って見えますでしょうか?
だからまだ本当にさわりだけしか話せていないんですけど、この続きはまたいつかという事にして…
今日一番、聞いて欲しかったことは、ここまでお読みくださった皆さまにはもうお分かりの通り、なでは少しでも何かが違っていたら、何か1つでも欠けていたら「間に合っていなかった」んです。
些細なことだけれど、その一つ一つがきちんと順番に❝そう❞なるように起きてくれてきたから、何も見逃さず1つも見落とすことなく間に合った、寛解を目指せる状態で治療を始められた。
これは奇跡だと思うんです。
この奇跡はそのまま「寛解」まで繋がっていると私は信じていますので、皆さまもどうか、どうか温かい目で見守っていて下さい。
超長文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
追記:「席を空ける」について
私の言葉足らずのせいで、悲しい気持ちにさせてしまったり、憤りを感じさせてしまった方がたくさんいて…ごめんなさい。
本文中にある「席(を空ける)」というのは、私たち活動者の間では本来、喜ばしい意味で使われる言葉です。
例えば、外にはまだたくさんの保護を必要としている猫たちがいます。
その中で、30頭のキャパ(受け入れ可能な保護っ子の数が30頭という意味です)で活動をされている団体さんがいたとして、その30匹の保護猫たちの中から一人の保護っ子が里子としてずっとの幸せにお迎えしてもらえたら、1つ「席が空く」わけです、その席には、また外から次の子を保護してきてあげられる。
これが本来、私たちが使う「席が空く」です。
1人は「ずっとの幸せ」、1人は「もう安心(安全)の幸せ」、で、1つの席が空くことで2人が幸せになるんですから、「席が空く」という言葉自体には悪い意味どころか喜ばしい意味しか本来は無いのです。
ただ、フェレットは外にたくさんいるわけではないので、いたちのおうちではそういう状況にはならず、フェレットの保護活動者としてフェレットの案件についてそういうお話しをした事がこれまで無かったから、しかも、こういうお話で初めてその言葉を目にしたら、ビックリしちゃうし誤解もしちゃいますよね。
皆さんの優しい気持ちへの配慮と言葉が足らなかったと反省しています。
掲載DMの方も、私が保護活動をしていること、なでが猫であること、で、そういう諸々がゴッチャになってしまっているだけなんだろうなと私は思っています。
それぞれの、見ている先、気持ちを向けるその対象、が違うだけでその根底には優しい気持ちがあるんだって思えているから私もなでも大丈夫ですよ。
リプやDM、電話を下さる方もいて…心配してくれて皆みんなありがとうございます。