ペットが病気になったら動物病院へ連れて行きます。
治療には当然、お金がかかります。
もちろんそれはフェレットだけに限った話しではなく、ワンちゃんや猫ちゃん、その他のどんな動物たちでも同じです。
私はフェレットの事にしか詳しくないので、「その他」の動物さん達の事は全て友人知人から聞いた話でしかないのですが、元々の平均寿命が2~3年とされている動物さんの飼い主さん達から聞く話では「大きな病気を発症した時にはもう天からのお迎えが近い年齢だから積極的な治療というより痛みや苦痛を取り除く治療になる。けど、完全にそれらを取り除いてあげられるわけじゃないから、もう頑張らなくて良いよと安楽死で送ってあげる飼い主さんもいる。」との事でした。
そこには、「この子達の仲間には実験動物として一生を終える子も多いから、だから、せめてペットとして生まれてうちの子になったこの子だけでも薬やそういうのから遠ざけてあげたいんだ」って深い思いがそこにある事を教えてくれた知人もいました。
ただ、いずれも「病気が分かった途端にパタッと逝ってしまう子が一番多いかな」って言っていました。
そして、こちら

出典:Wikipedia
フェレットが飼いやすいペットとか何の冗談だよって本当は思ってる
散歩の必要はなくたってケージにいれっぱなしで良いわけじゃないし💩の回数は犬猫の比じゃない
犬猫に比べて寿命は短いのに一丁前に病気は多いから医療費はめっちゃかかるし何を見て飼いやすいとか言ってんの?#炎上覚悟で本音を言う— 滝川(いたちのおうちの中の人) (@MaikoTakigawa) November 26, 2019

出典:Wikipedia
Wikipediaに絶対的な信頼を寄せてる人なんてもういないとは思いますが、これを見たらいよいよ何だかなぁって気持ちになります。
確かに海外では13歳、14歳のフェレットがいる(参考:『フェレットの寿命(長寿記録)』)なんてお話しを聞く事もありますが、私がこの20数年間ずっと見てきた日本のフェレット界で「寿命の平均値」に「10歳」だなんて…

日本でだって10歳超えの子がいないわけではありません。
でも決して「平均」でだなんて絶対にそんな数値にはならないです。
どんなに大きく見積もっても更に希望的観測もこみこみでフェレットの平均寿命は
「5~7歳」(いたちのおうち調べ)
(※実際には「4~6歳」だと思います。)
今日は、そうだとして、私が思うことをお話しさせて頂きます。
フェレットの医療費「治療にかけられるお金」について
時々、「医療費が払えない人間はペットを飼う資格がない」などと見かけますが、だからと言って、それを理由に「医療費が払えないんでそちらで引き取ってもらえませんか?」の問合せを年に何度も受けている身としては、ちょっと待ってもらえませんか?って思います。
もちろん、最初っから定期健診に連れて行くお金すらないだとか、フェレットはシニア(4歳~)期を迎えたらその9割がいずれかには罹患するとされている三大疾病(インスリノーマ、副腎疾患、リンパ腫)に対する備えをしていないだとかっていうのは、無責任すぎて全くお話しにならないとは私も思っています。
ただそれは、4歳になったら必ず病気になるという事ではないし、また逆に4歳までは病気にならないって事でもありません。
お迎えをしてから少しずつその時に備えてフェレット貯金を始めましたと言っていた矢先にリンパ腫を患ったニョロがいました。
うちのえるも3歳になる少し前に「放っておいてもよくなる事はない」と診断される腫瘤が見つかり、手術をするかしないかの選択を迫られた事があります。
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そういう急場ですぐにお金の用意ができない時に「お迎えする覚悟(準備)が足りて無い」と言ってしまうのは簡単です。
ですが、その場でそんな事を言ったって、思ったって、何の解決にもならないのですよ。
大切なのはその時に「どう向き合うかを考える」事だって私は思います。
先ほども書きましたが、いたちのおうちには「どうせ死んじゃうのに(毎月高いお金をだして)治療する意味が分からない(色々な家庭事情や考え方があって良いはずなのになぜネットでは炎上するのか)」という内容のご相談がくる事があります。
また、「これ以上の治療費の捻出が難しいので後はそちらでお願いしたのですが」と引き取り要請がくる事もあります。
そんな時にいつも、巷で言われる「医療費が払えないならペットを飼うな」は、「医療費を払う気がないまたは他人に払わせれば良いやと考えてるのならペットを飼うな」に変えていくべきだよなぁって私は思うのですよ…。
治療をしないと決めるにもずっと続けるにも悩んでしまうのが「フェレットの寿命」
冒頭であげたように、2~3歳が天使になるその年齢だとされている子達なら、「どうしてあげたら良いか」を考えやすかったのかもしれません。
また逆に、治療をしてあげたら10年、15年と一緒にいられるそれからにその可能性が持てるのなら、「どうしてあげるか」を考えやすかったと思います。
ただ、フェレットってそうじゃないんですよね…
飼い主さんは高額な医療費を、その子は大きな手術を、お互いにその時に頑張っても、そこから何十年も一緒にいられるわけでは無く、また逆に、適切な投薬を続ければ、それ以上の進行は抑えてあげる事ができますという病気の場合、毎月毎月の医療費がそれからずっと続くわけで…
一緒にいられる時間が延びるというのは嬉しい事ではあるけれど、それがいつまで続けられるかの現実問題として「毎月数万円が3~4年続く」を受け入れられない経済状況にある方からのご相談をたくさん受けてきて、例えば、ギリギリの生活は「頑張れば」続けられても、そこで「急な何か」が起きたら「もうダメだ」って、そこでもうにっちもさっちも少しの捻出も困難ですと…すごく多いんです。
綺麗事や理想論ではどうにもならない現実的なお話しとして、それはリアルにたくさんあるのです。
ちょうど、こんなお問い合わせが届きました
とある飼い主さんより届いたメール
初めてご連絡差し上げます。Twitter等でフェレット情報をいつも参考にさせていただいております。
今回のご連絡は1人ごとになるかもしれず、でも誰かに聞いてもらいたく、ご迷惑かもしれませんが読んでいただけますと幸いです。長くなります。
我が家には2匹のパスバレーがいます。年齢はどちらも5歳8ヶ月でオスとメスで初めてよフェレットです。ペットのコジマでお迎え時に保険に加入することが出来ず、結局しっかり調べもせず未加入のままです。病院は水道橋にあったわしやまクリニックから現在野村獣医科に変更し、風邪や様々な体調管理でお世話になってきました。
今回メスの方が右の副腎腫瘍が見つかり、発見時に10?、2週間様子を見て15?以上に成長。急ぎテスト開腹から摘出となりましたが、右なので難しいことは事前に説明がありました。手術で開腹後オペ室に呼ばれて入り、腫瘍を見たら、それはフェレットの顔以上の大きさに成長していました。摘出は80%の術中死と言われ、そのまま閉じました。腫瘍から癌の匂いがするとも。その後の治療として服薬か、がん治療としてICGと言うレーザー治療。野村獣医科のHPにも載っていますが、癌細胞をたたく治療でその効果は個体によります。費用が1クール最低40万で、何クールやる必要があるかはわかりませんが4クールくらいで効果が見えやすいと。今回手術で開腹して何も出来ずに閉じましたが、それだけでも28万くらいかかりましたがICG治療を4クールで160万以上。
正直治るかわからないICG治療の1クール40万~は私には厳しいです。もう1匹の方もずっと通院、服薬で10日に1度ペースで何万もかかっています。
ICGは年齢的にハードな治療の心配もありますが、そこは野村獣医科なので信頼できると思います。服薬もある程度は効果があるはずだと。ただ服薬は癌を殺すものではないので、癌をやっつけるICGをやるか、服薬でどこまで頑張ってくれるかの選択を迫られています。
フェレット2匹は私の家族です。体調が悪ければ病院に連れて行く、人間と同じに当たり前のこととしてやってきました。でもここにきてがん治療に躊躇してしまっています。これが人間の家族だったら、高額でも治療することを選択すると思います。でも同じように家族と思ってきたフェレットに高額治療をとなって、ICG治療は出来るものならやりたいのに躊躇しています。躊躇と言うか、恐らく出来ません。家族だなんて口ばかりでした。服薬のみの選択をするつもりです。
私が望むことは、フェレットが苦しまないこと、幸せに楽しく過ごしてくれること。その為に何が出来るのか、何をすべきかわかりません。そして私はどんな言葉が欲しいのかもわからずメールをさせていただいています。
長文失礼いたしました。
A. 拝読いたしました。
飼い主として親として”自分が”してあげられる精一杯を考える
この手のご相談はものすごく多いです。
分かるんです、不安で不安で「何が一番良いのか」なんて分からないから居ても立っても居られなくて、誰かに聞いてもらわないと、やりきれないんですよね。
私だって同じような気持ちを幾度も幾度も経験してきたから、だから、あなたは「分からない」と言っている今のそのあなたが欲しい言葉が私には分かります。
お金を理由に治療を断念しようとしている事に後ろめたさを感じていて、誰かに「あなたはよく頑張っていますよ、それで良いんですよ」って言って欲しいんですよね?
だって、そういう方を本当にたくさん見てきているし、何よりも…私だったらそう思うはずだから。
読むだけで良いのならいくらだって読みますから、これで良いのだろうかと思った時にはまたいつでも連絡を下さい。
ただ、後ろめたくなんて思わなくて良いし、言い訳なんかしなくて良いんです
幸運にも私は今まで、治療の選択をする時にお金を理由に諦めざるを得なかったという経験はありません。
でも、それはたまたまです。
今、いる私の子達が全員同時に上記のような治療を要する事になったら、私には出来ません。
こういう言い方はどうかとは思いますが、私は保護活動者という立場上、一般的に言われる「一生涯にかかる病院代の蓄えをある程度してからお迎え」ばかりでは無いのです。
保護っ子であれば支援を募ってでも何とかしなければとお金の工面から必死に取り掛かりますが、自分の子として受け入れた子はその瞬間から「私のお金」でなんとか出来なければ、もう出来ないって自分で割り切らなければいけないとその覚悟だけはしています。
前にもどこかの記事で書いたような覚えがあるのですが、以前、「長い治療になりそうだから」と覚悟を決めた飼い主さんから、バイクを売りました、何を売りました、もう売れるものは全部売っちゃいました、って、その後も自分は二日に一度パンを食べるだけという食生活になったとかって、それでも途中までは笑ってご連絡下さっていましたが、
ある時「もうこれ以上、治療を続けてあげる事ができない」って泣きながら「自分勝手なのは分かっていますがあなたは十分やったと一度だけで良いから誰かに言ってもらいたくて、それをあなたに頼むのは間違いだと分かっていますが、言って頂けないでしょうか」と電話がきた事があるんです。
彼の事を「あの人が貧乏じゃなければあの子は助かってるのに」と言う人がいたのも知っています。
そういう色々を私はたまたま知っていたけど、知らなくてもきっと「あなたは頑張ったと思います。」って言っていたと思います…
お金さえあれば…
以前、「保護したフェレットの病院代はあなたが負担するんですよね?」という問い合わせがありました。
内容は「だったら、うちの子の治療費も払って下さい」というものでした。
自分がその子を外に放り出して私が保護をしたら私が病院へ連れていくのだから、外にいるかいないかの差でしかなく、私に「病院代を負担する義務がある」というような事を仰っていました。
それは違う、それは出来ませんとお断りをしたら「見殺しにするんですね」とも言われました。
お金さえあれば助けられるかもしれない命、でもそのお金がない、という時、飼い主としてまずは何をしたら良いのでしょうか…
正解は分からないけど、少なくとも私は、誰かに八つ当たりをしている場合では無いって思います。
お金を理由に治療を受けられない「人」だっている現実
メンタリストのDaigoさんはお母さまをガンで亡くされているそうです。
だから「大事な人を失くす苦しみ悔しさが分かる。特に助けられたかもしれないのに助けられなかった時の苦しみがすごく分かる」って、これは、あの時に今と同じだけ自分にお金があればお母さまに最先端の治療を受けさせてあげられたし、そしたら助けられたかもしれないってそういう思いが今でもずっと後悔としてあるのだと…
※内容はタイトル通りなのですが、冒頭でそのお話しをされています。
彼は他の動画でも度々このお話しをされていて、「だから、もうあんな思いはしたくないから僕はお金を稼ぐんです」というような事を仰っていた事もありました(その動画は探せませんでした)。
そう、「お金さえあれば」って、本当に悔やまれる状況なのです。
でも、「仕方がない」んです、そういう状況なのだから…
だからって「お金さえあれば」「仕方がない」を諦めの言葉にしない
メールをくれたあなたの「その為に何が出来るのか、何をすべきかわかりません。」って、今はそうだと思います。
でも、だから考えてあげて下さい。
「お金さえあれば」と嘆いていたって、その子の病気は治りません。
苦しいのはあなたでは無く、病気と闘うその子です。
できない事、やらないと決めた治療、それらへの思いにいつまでも時間を割いていては、時間がもったいないです。
その子との時間を有意義に過ごす事を考えてあげて下さい。
あなたが望んでいる「フェレットが苦しまないこと、幸せに楽しく過ごしてくれること」それがその子の望みだと私もそう思います。
だからその為に、一生懸命、寄り添ってあげて下さい。
もうされているかもしれませんがセカンドオピニオンで、また別の、病気への考え方やアプローチの仕方が見えてくる事もありますので、ぜひ検討してみて頂けたらと思います。
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まとめ
「ペットにかけられるお金」って、経済状況によって全然、変わってくるんです。
余裕を持って飼い始めたって経済状況が変わる事なんて珍しい事じゃないし、「自分はご飯を食べなくても、何に変えても~」って、そんなにしたってどれだけしたって足りない時には足りないのです。
そうなった時に、まずやるべき事は自分を責める事ではありません。
「してあげられる精一杯」だって人によって違うから、自分には何ができるのか、何をしてあげられるのか、精一杯それを考えて、精一杯それをしてあげて欲しいって思います。
フェレットというのはどんなに頑張っても20年も30年も一緒にいられる生き物ではありません。
あなたが自分の家族として自分でお迎えを決めたその子です。
考えなければいけない何かが起きた時には「その子の一生に添い遂げる責任がある」事をまずは思い出して下さい。
その命を天に帰すその日まで、しっかりと向き合って寄り添って、お互いに悔いのない時間を過ごしていく事に全力でいてあげて下さいね。
健やかなニョロニョロ生活を☆彡