このようなお問合せがありました。
(略) 悲惨な状態の動物ばかりを集めて治療せずに病状を悪化させてSNSで募金を集めている保護団体はたくさんありますよね?いたちのおうちがそうだとは言いませんが、里親募集中のフェレットの記事を見て、どうしてすぐに治療をしてあげなかったのか甚だ疑問です。お金の問題でしょうか?またハゲはじめたと言うような投稿もあり、自分たちの所で可哀想な状態にしてより多くの寄付金を集めようとしていると疑われることは考えないのでしょうか?
いたちのおうちに「可哀想な子」はいないと何度言ったら…などなど、私からしたら「まず」お話させて頂きたくなる箇所は他にあるのですが、とりあえず「?」の部分にお答えさせて頂くと、
A. いたちのおうちの活動内容を知ってくださっている方からそのような疑いをもたれてるかもだなんて考えたことも無かったし、今後もそんな事は考えないです。
多分、いたちのおうちを見て下さったのは、その、現在、里親募集をしている「こもねちゃん」の記事が初めてなんだと思います。
そして、その記事だけしかお読み頂けていないんだとも思います。
確かにあの記事だけで、「いたちのおうちの活動内容を全てご理解ください。」はムリですし、しかも当サイトは個人の日記みたいなものなので投稿記事数がやたらと多く、色々とあっちこっちにあれこれとっ散らかっちゃっているので、「全部、読んでください」とも言えませんので、今ここで、その「全部」をご説明いたしますね。
保護っ子を「適切な医療にかけてない」の誤解について
まず、『悲惨な状態の動物ばかりを集めて治療せずに病状を悪化させてSNSで募金を集めている保護団体はたくさんありますよね?』については、「たくさん」かどうかは分かりませんが、そういう団体や個人があることは否定できません。
昔に所属していた団体がそうでした。参考:「こんなに可哀想なんです」と犬たちを見世物みたいにする「活動」
で、いたちのおうちについてなのですが
保護っ子はあくまでも「警察署からお預かりしている子」
私たちは警察署からお預かりの委託を受ける時、そういう書類を交わして「契約」をします。
この子達は法律上では「物」という扱いではあるけれど、この子達は物じゃないから、
- ここ(警察署内)では命として適切に保管しておくことができないので、いたちのおうちに預かり飼育を委託します
- いたちのおうちは、警察署とのお約束を守って、しっかりお預かりを受託します
みたいな契約です。
そこには、色々な”お約束事”が書かれています。
「誓約」的なことなので、もちろん警察署のホームページなどには載っていない事ですし、その都度、警察署によってちょっとずつ違っていたりもするので細かくは伏せますが、ザックリ大きくいうと、
- 預かっている間に、それを理由にトラブルを起こすようなことはしません
- 持ち主さんが現れた時(飼い主さんが現れた時)トラブルになるようなことはしません
みたいな事です。
警察署のいう「トラブル」とは
「預かっている間に、それを理由にトラブルを起こすような~」は、一番分かりやすく例えば「犬」でその具体例をあげると、その保護犬をノーリードで散歩に連れて行って誰かにケガをさせるようなことはしません。
フェレットでは過去に一度、「ペット不可の寮住まいなのに預かり依頼を受けて会社やペットアレルギーの同僚やその他とトラブルになった」というお話しを聞いたことがあります。
こちらの要項はそんな感じで分かりやすく、ご理解いただきやすいかとは思うのですが、難しいのが「飼い主さんが現れた時~」ですよね。
こちらもまず分かりやすく犬の例であげると、っていうか、私が実際に聞いたことのあるトラブルでお話しをすると、「汚れていて可哀想だったからシャンプーをしました。せっかくなのでそのまま可愛くトリミングもしました。」という保護主さんがいました。
その数日後に飼い主さんが見つかり、いざ返還というその時に、「自分の愛犬の毛を勝手に切られた」って、飼い主さんが怒って怒って、ものすっごいトラブルになっちゃったんだそうです。
詳細は省きますが、いたちのおうちをお読み頂いている皆さまにはもうお分かりの通り、その結末は、「保護主が悪い」となりました。
第三者であるサロンの方に証言をお願いしても、「毛玉ができるほど放っておかれていた(虐待:ネグレクト)子だから」とどれだけ言っても、日本の法律では現行、飼い主さんの言い分が一番強いんです。
それが「所有権」です。
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野犬や野良猫というような外で生まれた子の可能性がある動物たちとは違い、フェレットには必ず「飼い主」がいます。
なので、遺棄か脱走迷子か分からないうちから勝手に可哀想な子扱いして好き勝手な事を言ったりやったりするだけで大きなトラブルになるんです。
脱走させちゃっただけなのに「虐待されて捨てられてた子を保護しました」としてSNSで写真付きでポエ散らかされたとすごく悲しんでいた飼い主さんを知っています。(脱走させないで下さい)
「宗教上の理由でワクチンや予防薬はしない主義なのに勝手にされた。新しい子で弁償しろ!」とトラブルになったお話しを聞いた事もあります。
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私はもう長くこういう事をしていて、とっさに出てくる知識がそれなりにあるので、何かトラブルが起きたとき、「脱走させたあなたが悪いのですよ」の方向でそれ以上トラブルが大きくならないようにもっていく事ができる時もありますが、それでもそれはあくまでも私が第三者である場合のみです。
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警察署で交わす誓約書には「私はトラブルを起こしません」と書くのですから、「そもそもそういう話になるようなことはしません」が警察署との絶対のお約束なのですよ…
私たちは死なせないためにいるのだから
預かり委託を受けるというのは、命を保管しておくための適切な環境がない警察署に代わってその期間「死なさないため」にお預かりをするというのが大前提で、それが一番大切な役割なわけですから、病院にはめちゃくちゃ行きます。
上記のように、トラブルになるかもしれない事が予想される事(例:ワクチンなど)は出来ません。
かと言って、素人判断での勝手な様子見で「死んじゃいました」も、警察署とのお約束違反になります。
だから、全てにおいて、毎日ずっと「慎重な様子見」を続け、ちょっとでも「おかしいかも」と思ったらすぐに病院です。
その子に対する権限が何もない3ヶ月の間(所有権の問題)私たちは、様子見を続けて良いのかの判断も勝手にはできないんです。
全てを先生と相談しながらですし、「先生の判断でこの治療を開始しました」っていう、その先生の判断が1日も手遅れにならないよう、本当にしょっちゅうしょっちゅう病院へ行きます。
何度も何度も通院するという事はそれだけ「病院代」はかかるわけですから、下世話な言い方をすれば、早く治療を始めるより、そっちの方がよっぽどお金はかかります。
「お金の問題で治療を始めなかった」の誤解はこれで解けましたでしょうか?
保管期間内にできる治療できない治療
例えば、低血糖の症状がでた場合、その場で即座に応急処置をして、そのまま病院へ行きます。
発作を起こしているのですから何かしらの応急処置をしないと命が危ないですから、これは当然オッケー。
病院へ行って「インスリですね」と言われた場合、
発作を起こした時用のお薬が出ました。これはオッケーです。
発作を起こさせないためのお薬が出ました。これもオッケーです。
外科的治療(手術)をしました。これはダメ。
インスリノーマという病気の特性をお分かりの皆さまにはこのニュアンスが伝わるかと思いますが、インスリがいまいち分からないよって方もおられるかもなので一応こちらを
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またフィラリアの予防薬なども、脱走だった場合に例えばその前日に投与されていたら過剰投与になってしまうし、先ほどお伝えしたように、予防のための投薬は毒になるという価値観の飼い主さんだった場合にはトラブルになるので出来ません。
もちろんこれも、警察署によってもだし、その都度によってもだし、で、違うことがあるので「絶対こうです」って話じゃないですし、その全部の例をあげていったらキリがないのでもうここで止めておきますが、なんていうか…
これだけは信じていて欲しいこと
それもこれもSNSの影響というか、昔から”その手の”やりくちはいまだにはびこっているから仕方がない事だとは思うのですが、いたちのおうちは「皆さまからのご支援がないと治療を受けさせてあげることができません」みたいな事はやってないです。
その辺りの事もいつかきちんと記事にしようと思っているのですが、今日はもう長くなったのでこれだけ…
お金を理由に適切な治療すら受けさせてあげられないなら、いたちのおうちは保護活動者を名乗りません。
皆さまにご支援を募ることになった理由はこちらなどお読み頂ければと思います。
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ご支援頂いている皆さま、いつも本当にありがとうございます。
おしまいに
今日のアイキャッチでネムネム顔が可愛いこもねちゃん、里親様募集中です。
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※現在、お話中です。幸せになりましたのご報告までもう少しお待ちください※ 里親さん募集の記事になります。 新しい家族にこ ...
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素敵なご縁がありますように☆彡