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狂犬病【自分には・フェレットには関係ない?!】今がどういう状況か正確に理解できていますか?

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農林水産省は18日、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて来日した避難民が連れてきた犬について、狂犬病予防法に基づく防疫体制を一部見直し、特例措置を適用すると発表した。ウクライナ政府の現状を踏まえ、必要な出国地政府発行の防疫書類がなくても、予防状態を確認後に条件付きで動物検疫所での係留措置を短縮する。

私が知る限りの情報になりますが、この発表の数日前にTwitterでは

Twitter
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ウクライナからペットのワンコ(ポメラニアン)を連れて日本に避難してきたご家族。でも、検疫のルールで180日も成田でワンコだけ隔離され、しかも一泊3000円は避難者の自己負担。支払えなければ殺処分になるかもだと!飼い主は「こんなことなら母国で愛犬と死んだほうがよかった」と涙。なんなの!やってる感をだすためだけに連れてくるから、こんな人でなしの対応になるんだ。バカか!早くワンコを飼い主のもとへ返してあげて!元気なくして死にそうだった。

というライターさんの発言がひっきりなしに回ってきていました。

先ほど、~殺処分になるという趣旨のメールを受け取ったと一部メディアが報じていたが、農水省では「そうしたメールは発信していない」と否定。

と産経新聞で読みました。

第一報(Twitter)を見た時、私は、命からがらやっとの思いで避難されてきた方にいきなり54万円ものお金を請求し、「支払えなければ家族を殺す」だなんて、良くも悪くも日和りきったこの日本国がそんな…後々大きな国際問題に発展しかねない事をするだろうかと少し疑問を持ちました。

(人道的にそれは無いと断言できないところがとても悔しいところではありますが…)

なので、私は、「早く返してあげて」などの発言がある事から、これは、強いインパクトのある言葉を使った宣伝というか商法というかそういうあれなのかな?ライターさんだし…くらいにしか思いませんでした。

それより何より、その費用についての話し合いが早急に必要だ、国の全総力をあげてそれについて検討しているはずだと思っていました。

個人や法人でのクラウドファンディング等も既に始まっています。

…のに、検疫所での係留期間の短縮を決めた。って、ビックリしました。

これは、もう狂犬病が他人事(外国のお話)ではなくなるという事では無いか…?何が起きているのだ…?

「潜伏期間から計算して十分に安全が補償される期間が180日だから、180日隔離する」と定めてあるその180日を短縮して良いに至ったそれが私にはまったく分かりませんので、今日は「狂犬病とはこういうものです」というお話しをさせて頂きます。

狂犬病は全ての哺乳類が感染し、発症したら致死率はほぼ100%

狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内では多くの犬が狂犬病と診断され、ヒトも狂犬病に感染し死亡していました。このような状況のなか狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、野犬等の抑留が徹底されるようになり、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅するに至りました。この事例を見ても、犬の登録や予防注射が狂犬病予防にいかに重要な役割を果たすかが理解できます。

現在、日本では、犬などを含めて狂犬病の発生はありません。しかし狂犬病は、日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威に晒されていることから、万一の侵入に備えた対策が重要となっています。

万一狂犬病が国内で発生した場合には、素早くしっかりと発生の拡大とまん延の防止を図ることが非常に重要となります。そのためには、犬の飼い主一人一人が狂犬病に関して正しい知識を持ち、飼い犬の登録と予防注射を確実に行うことが必要であり、そうすることによって公衆衛生の向上と公共の福祉の増進に寄与しているということを飼い主の方にはしっかりと自覚していただくことが望まれます。

狂犬病とは(厚生労働省より)

病原体 感受性動物・感染経路 対象 潜伏期 症状と診断 治療と予防
狂犬病ウイルス ○感受性動物:
全ての哺乳類(ヒトを含む)

○感染経路:
狂犬病にかかった動物(罹患動物。アジアでは主にイヌ)に咬まれた部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。
通常、ヒトからヒトに感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。

ヒト 1~3カ月間程度 (1) 臨床症状
○前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
○急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状
○昏睡期:昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)
○治療:
発症後の有効な治療法はない。

○予防:
罹患動物に咬まれた場合、ワクチン接種等により行う。
海外の狂犬病発生国で頻繁に動物に接する場合には、渡航前に狂犬病ワクチンを接種しておくことが望ましい。

(2) 病原体診断
[1]PCR法による病原体の遺伝子の検出(唾液等)
[2]蛍光抗体法(FA)によるウイルス抗原の検出(皮膚、角膜等)
[3]間接蛍光抗体法(IFA)又はELISA法による抗ウイルス抗体の検出(脳脊髄液)
[4]分離・同定による病原体の検出(唾液)
イヌ 2週間~2カ月間程度 (1) 臨床症状
○前駆期:性格の変化と行動の異常
○狂躁期:興奮状態(無目的な徘徊、目に入るものを頻繁に咬む)、光や音の突然刺激に対する過敏な反応
○麻痺期:全身の麻痺症状による歩行不能、咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難、舌を口外に垂らしながら流涎、昏睡状態になり死亡
※狂躁期と麻痺期を明確に分けることは困難なことが多く、前駆期から麻痺期に移行することもある。
○治療:
治療はしない。

○予防:
年1回の予防接種が義務づけられている。

(2) 病原体診断
[1]脳組織の塗抹標本を用いた直接蛍光抗体法によるウイルス抗原検索
[2]脳組織乳剤を用いたRT-PCR法によるウイルス特異遺伝子の検出
[3]脳組織乳剤を乳のみマウス脳内及びマウス組織芽細胞腫由来培養細胞に接種して行うウイルス分離法

我が国における発生状況

1953年 1954年 1955年 1956年 1970年 2006年 2020年
死亡者数 3人 1人 0人 1人 1人 (※1) 2人 (※2) 1人 (※3)
犬の発生数 176頭 98頭 23頭 6頭 発生なし 発生なし 発生なし

※1 ネパールを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。
※2 フィリピンを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。
※3 フィリピンで犬に咬まれ、入国後発病、死亡した輸入症例。

世界各地の狂犬病媒介動物

狂犬病媒介動物map

狂犬病の10の真実(WHOより)

毎年、100か国以上で数千の人々が狂犬病で死亡しており、そのほとんどは医療と獣医の制度への利用環境が限られ、質・量ともに十分でない地域で発生しています。狂犬病の感染管理計画が成功するための柱は、3本(地域活動への参加、住民の教育および注意力の向上と犬への集団ワクチン接種の利用環境、咬まれた後の治療への環境)で構成されています。

各国は、狂犬病を歴史本の中だけのものとするために、対策の規模を拡大させ、2030年までに死亡者をゼロにする目標を立てて、取り組んでいます。

事実1:狂犬病は症状が現れてしまうと、ほとんどが死に至ります。
飼っている動物も野生動物も、人に狂犬病を感染させることができます。感染伝播は狂犬病ウイルスに感染した動物、通常は犬に咬まれることで、起こります。潜伏期間はさまざまですが、通常は2-3か月です。症状が現れるまでに、ウイルスは中枢神経系全体に拡がり、感染者は必ず死に至ります。

事実2:狂犬病は、南極を除く全ての国に存在します。
毎年、推定で59,000もの人々が狂犬病で生命を失っています。死亡者の99%がアフリカとアジアで発生し、80%が僻地で医療施設が乏しい地域に住む人々です。その結果、狂犬病は報告数が実際よりも少なくなっています。

事実3:犬、狂犬病を伝播できるコウモリなどの動物から距離をおいてください。
狂犬病で死亡する患者の95%までが主に犬から感染しています。特に、アジアとアフリカでは犬が感染源です。アメリカ大陸では、コウモリが主な感染源となっています。キツネ、アライグマ、ジャッカル、マングース、その他の肉食系の宿主となる動物に咬まれて、人が死亡することは極めて稀です。

事実4:狂犬病死亡する10人のうち4人は15歳未満の子どもです。
全ての年齢層に感染の危険がありますが、子どもは遊びへの興味から、犬を怖がらず、狂犬病に注意することもなく近づくため、最も感染しやすい存在です。研究では、子どもは叱られることを恐れて、咬まれて傷ついていることを隠す傾向があり、最初の処置や適切な医療が受けられていない可能性があることが示されています。

事実5:狂犬病に罹った動物に咬まれることを防ぐ鍵は、教育と注意力の向上です。
どのように動物に咬まれることを避けるかを子どもに教えることは、狂犬病の予防と感染管理における重要な要素です。WHOは、狂犬病への注意力を向上させ、責任ある犬の飼い主を支援するために、さまざまな支援組織とともに地域での教育に取り組んでいます。

事実6:さまざまな分野が協調して活動することが、狂犬病対策には重要です。
WHOは、戦略的に支援組織と共同で、人間と動物における将来の展望により、狂犬病に取り組む各国の計画や地域ネットワークを支援しています。これには、人にも犬にも、安価かつ安全で有効性のあるワクチンを容易に接種できる環境を作ることも含まれています。

事実7:犬に咬まれたら、傷口を水で洗い、素早く対処することが、助かるには重要です。
咬まれた傷口は、15分以内に、直ちに、そして徹底して、石鹸と水で洗わなければなりません。咬まれた人は、一番近い医療施設を教えてもらう必要があります。毎年、1,500万人以上が、犬に咬まれた後に、狂犬病のワクチンを接種しています。

事実8:人が罹る狂犬病は100%ワクチンで予防できます。
感染者の死亡はワクチンを接種することで避けることができますが、ワクチン接種への介入だけでは狂犬病を撲滅することはできません。また、かかる費用も時間とともに増えるだけです。狂犬病の動物に咬まれた多くの人にとって、咬まれた後の治療には、毎回、一日の平均収入に当たる破滅的な金額が財布から出ていくことになります。

事実9:犬の集団ワクチン接種は、感染経路を遮断します。
野良犬を含め、少なくとも70%の犬にワクチンが接種されれば、人への狂犬病の感染を防ぐことができ、感染経路を遮断することができます。犬の集団ワクチン接種が、バングラデシュ、南アフリカ(KwaZule-Natal州)、フィリピン、タンザニアで実施され、狂犬病の感染対策には犬の集団ワクチン接種が適していることが、示されています。

事実10:より信頼できるデータが狂犬病の予防計画を向上させます。
狂犬病を含め、疾病の予防と管理に対し効果の高い計画で実施するためには、信頼できるデータが必要です。WHOと支援団体は各国政府が検査体制を向上させ、人と贓物の疾病調査を強化させることを支援するために技術的なガイドラインを作成しています。

今回の件を分かりやすく解説(タレント:松本秀樹氏より)

上記(WHOからの抜粋以外)は私たちの講習でも資料として使われる厚生労働省のホームページから持ってきました。(誰でも閲覧できますので、詳細はそちらで)

だから言葉が堅くて非常に分かりづらい。

のを、『ポチたま』というテレビ番組で、ラブラドールのまさお君、だいすけ君、まさはる君と旅をしていたタレントさんの松本秀樹さんが分かりやすくまとめて下さっていたので、そちらを持ってきます。

狂犬病の清浄国ではない地域であるウクライナから 清浄国である日本へ避難されてきた方のペットである犬が 狂犬病予防法に基づき 動物検疫所で最長180日間も 係留される理由。

狂犬病は

・感染し発症すると犬も人もほぼ100%死亡する。

・「狂犬病」という名前ですが全ての哺乳類が感染する。

・人に感染させる媒介動物の99%が犬である。(だから犬だけが狂犬病予防接種を義務付けられている)

・その犬が狂犬病ウィルスに感染しているかどうか、発症前にわかる検査がない。

・狂犬病ウィルスの潜伏期間の平均が2〜3ヶ月(人は1年以上の場合も)なのでセーフティーに180日間か。

・人→人、人→動物への感染は確認されていない (だから、飼い主さんは入国できています) 犬にとっても、人にとっても、野生動物にとっても危険な狂犬病。 日本では1956年(人1人、犬6頭が死亡)を最後に 犬も人も野生動物も発症はありません。

これは、 今回のような一見厳しすぎるように見える いわゆる水際対策を 厚生労働省、農林水産省、獣医師会が中心となり、1頭も例外、特例なく しておいてくれた結果です。

インドネシアのフローレス島では、海外から船できた、たった3頭の犬から、3年後に島全体に感染拡大し3年間で81人が亡くなり、感染拡大防止のため約50万頭(全総数の63%)が殺処分された という事もありました。 (大阪府獣医師会サイトより) なので、 今回の措置は自分の愛犬や友達の犬、自分の家族や大切な人、将来日本で暮らす犬や人、日本に住む野生動物を守るためにはやむを得ないと 松本秀樹は考えています。

最後は

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命からがら 避難してきたわけですから ウクライナの方本人が払える可能性は極めて低いので、 日本政府が払う、 とか、 政治家さんのどなたかが ポケットマネーでポンと(人気出るんちゃう?) …と考えています。 長文失礼いたしました。 終わりです

と締めくくられていました。

まとめ

渡航経験のある方はご存じの通り、清浄国以外では「犬や猫に噛まれたり引っかかれたりしたら狂犬病生ワクチン5回の接種」が必須となっています。

日本でそれがないのは「清浄国だから」です。

ちなみにこちらがワクチン代(東京医科大学病院 渡航者医療センターより)の目安です。

狂犬病ワクチン代

2020年にこんな発表があった事はご存じでしょうか?

年1回の実施が義務付けられた狂犬病予防注射の接種率が、犬の登録総数の7割にとどまっていることが24日、厚生労働省への取材で分かった。行政に飼い犬としての届け出のない未登録犬を加味すると、接種率は実質4割程度との見方もある。

ワンちゃんが接種するワクチン代は大体3,000円から4,000円くらいが相場です。

もうね、今日は何をどうまとめようとかそんな話ではありません。

皆が愛する家族のために考えなければいけない問題が今もう起きているのですよってお話しです。

皆さんも知っての通り、「特例」は特例で留まらず「前例」となって、その後がなし崩し的にそうなっていくのが今の日本です。

今回の件について「ご意見をお送りください」ときた連絡に私は最初「国内で狂犬病が発生した場合、その責任は誰がとるのか明確にご回答ください」と書こうとしました。

熱くなっていたんでしょうね…

そんな事になったら責任なんて誰にもとれるはずがないじゃないですか。

「ペットは家族」「心の拠り所」だという気持ちは分かります。もっともです。でもだからこそ、「可哀想だから」という感情論に流されて誰も責任のとれない事態を起こしてはいけないと私は考えています。

このツイートで誤解されていた方がいたので、改めて言いますが、

間違わないで下さい。避難されてこられた方にも、もちろん愛犬ちゃんにも何の罪もありません。

一日でも早く一緒に過ごせる穏やかな時間をと考えています。願っています。

ただ、それで検疫を緩めるのは違うのではないかという考えだというだけです。

金銭的な事をどうするべきなのかそれを具体的に考える時なのではないかって…これはそういう意図での発言です。

これをお読み頂いている皆様も、ご自身のお考えやご家族やご友人とお話しした事を直接どこかへと思った時には、こちらが農林水産省の「ご意見・お問い合わせ窓口」ですので、こちらからどうぞ。

今日は参考資料の引用で長くなってしまったので、私の個人的なお話はまた後日改めてさせて頂こうと思います。

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