その昔、「フェレットは、口腔内のトラブルが多いペット」と言われた時期があります。
そのほとんどは、間違った情報によって、正しい飼い方をしてあげなかった多くの人間たちのせいでした。
流石にもう、その件については、そこまでふざけた話を口に出す人はいませんが、それ以外ではまだ色々と知ったかぶっておかしな事、間違っている事を「それはこういう事ですよ」とか言っちゃってるの、時々ですが見かけます。
先日も某所で、そういうサイトを見たフェレ飼い初心者さんが「どうしよう…」ってなっている場面を見ました。
皆さまも、くれぐれもお気を付け下さい。
動物病院の先生やその他の専門職の方が書いておられるブログやサイトでもない限り、専門知識も資格も何も無い人が書いている物は例えそれが「飼育ノウハウを教えます」と謳っているサイトだったとしても、個人の方が自分のペットの飼育記録を綴ったブログと並列です。
いたちのおうち含め、そのどれも書き手はただの素人なんだって頭に入れておいて下さい。
それを踏まえた上で、自身の経験を活かしてきちんとした情報を自分の言葉で綴っておられる個人様のペットブログの方が何の根拠も示さず知った風な事だけを書き並べている飼育系サイトなんかより情報としては各段に上だって事を知っていて下さい。
「サイトだから信用できる」
「個人のペットブログはあてにならない」
なんて事はありません。
信用できるちゃんとした飼育ブログもあるし、デタラメなサイトもあるんです。
そこを間違わないで下さい。
私は一応有資格者ですし、それなりに少しは知識もある方かとは思います。
フェレットが大好きすぎて、どの子もみーんなが健やかに楽しく鼬生をまっとうできるように…なんて大義名分もあったりします。
だけど、その実ここ、いたちのおうちは、「うちの子達可愛いでしょう♡」って親バカっているだけのサイトで、これまでの経験や知識が誰かの参考になったら良いなって思っているだけなのです。
それでも、すっごい気を付けながら1記事1記事いつも慎重に、丁寧に、間違わないよう、誤解を招かないよう、あっちこっちに確認したり調べたりしながら書いています。
そういう時にやたら検索に引っかかってくる、どうでも良い、いい加減な飼育サイトがすごく目につきます。
自分のサイトを検索上位に表示させる方法はいくらでもあるって話は本当なんだなあって実感します。
ただの個人の主観や適当に聞きかじった話しで、「こうなんです」とか断言してるそういうサイトを見かけるたびに、「こいつもアフィリエイト目的か…小遣い稼ぎに生き物を使うなよ」って、呆れます。
自分のその適当な文言で多くのニョロリストが混乱する事さえ想像しないで書いているのが見え見えだから、「無責任なサイト」だって、今日のお話しに続く、「フェレットの飼い方」について昔に起きたあの流れと一緒じゃないかってイライラします。
ちょっと調べたら分かる事さえ調べようともせず、どこかの間違ったサイトから拾ってきた適当な情報の検証をする事もしないで、自分の知識みたいな顔して新たな記事にしているのを見かけるたんびに「はあ?またかよ?誤情報の拡散乙!」って思います。
そんな物に振り回されて、あなたは…
あなただけは、大切なその子の事を見誤るような事は絶対にしないであげて下さいね。
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もう先月の事になってしまいましたが、こんな連絡がありました。 突然のご連絡失礼いたします。株式会社××の○○と申します。 ...
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フェレットの歯(牙)が折れたら歯髄炎に気を付けてあげて下さい
以前、こちらの記事でも少し書きましたが
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その昔、
「フェレットの犬歯を削る」なんて愚行がまかり通っていた時期があります。
「噛み癖がひどい時は犬歯を折る(削る)と良い」なんて話がどこかから、「それがフェレットの飼い方」だとして、ある時から急に湧いて出て来たんです。
「そうすると噛まなくなるから」だなんてふざけた事を「飼い方」として掲載しているブログだのサイトだの、1つや2つじゃ無い数のそれを実際にネットで見た事があります。
「医療行為にはあたらない」として販売時にどこぞのペットショップではそれを「してくれる」なんて話もありました。
フェレットと一緒に「歯をへし折るために」ペンチを販売しているペットショップがあった事実も聞いています。
「それは医療行為だからうちに任せて下さい」と、そんな事を平気で請け負う獣医がいた事だって知っています。
これはフェレット元年と言われるあの当時から今日までのこの僅か20数年の間の、この子達に起きた日本での「飼い方」にまつわるお話しです。
私が実際に知っている関東地方だけの狭いお話しというわけでは無く、東北地方の方も中部地方の方も近畿や東海、九州地方の方達も、「昔はそういう話があった事を知ってる」と言っています。
同年代のリアルなニョロリストの知人が日本全国、各都道府県にいるわけでは無いのでその詳細の確認をとる事は出来ませんが、他の地区の方達も古くからのフェレ飼いさんは、その話を一度は聞いた事があるんじゃないかと思います。
若いニョロリストさん達には信じられないようなこの事実を、その時にはもう良い大人だった私たちは今日までのその流れとして実際にこの目で見てきたんです。
ペットショップでそう言われたらそう思ってしまうのは分かります。
あの頃はそういう…知識も何もない人が命を軽々しく扱って商売にできたという事実があった事は否定できません。
でも今はもうそんな事は無いはずだから、どうぞ安心して下さい。
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お金儲け第一主義で「飼い主の言う事なら何でも聞き入れる」という動物たちの事を無視した獣医さんももういないんじゃないかって思います。
何かの時には安心して任せられる獣医さんを先に見付けておいてあげて下さいね。
だけど、今でもまだ、ネットや何かで動物について語るには何の資格も要らないのが現状です。
だから、それっぽいサイトに書いてあったからと言って、それが真実であるかのように錯覚してしまうのは止めて下さい。
昔そうやって、それっぽい誰かが言った適当な話しが広がった結果、肉食動物の牙を削る(折る)なんて事が正しい飼い方だと、何も考えずにただその話を信じて、自分の子を痛めつけた挙句、歯髄炎、そこからさらにもっと怖い病気にまでしてしまう飼い主が少なからずいたっていう事実があるのです。
その子のために、情報を見極める目をきちんと持っていてあげて下さいね。
歯髄炎とは
歯の中心部にある、神経や血管が通っている部分を歯髄と言います。
- 歯が折れる
- 歯が欠ける
- 摩耗(まもう:なにかで機械的にこすられてすり減る事)
- 咬耗(こうもう:ものを食べたり、何かをかじったりする時に、歯同士がこすれてすり減る事)
などして、歯髄が露出して、炎症を起こす病気が歯髄炎です。
歯髄が露出すると強い痛みがあります。
人間だって虫歯やその治療で歯の神経をどうにかされたらメッチャ痛いです。
それはこの子達だって同じです!!
フェレットの歯にはわりと先端の方までその歯髄が通っているのです。
それを…

って、あの頃、平気でそんな噂を広めた人達と、それを信じた人達に言って回ってやりたいです( °᷄д°᷅)イライライライラ…
※目の当たりしたその場では必ず大喧嘩をしてきたという昔話は内緒です。
歯髄炎の原因
上記のように故意の理由じゃないにしても、一番折れやすい歯が犬歯なので、歯髄炎は犬歯に起こることが多いと言われていますが、もちろん他の歯に起こる可能性もあります。
ケージの金網など硬い物をかじって折れたり、高い所から落下して顔面を打って折れてしまうなど、とにかくどこの歯でも「折れてしまう事」がその原因となりやすいので、日常生活ではそこら辺の事に気を付けてあげて欲しいと思います。
また、オモチャをかじって遊ぶことは歯垢を落としたりストレスの発散にもなるので、是非そうしてあげて欲しいのですが、あまりにも硬すぎるオモチャの場合、その場でポキっと折れたりはしなくても、時間をかけて歯が咬耗していき、気付いたら歯髄が露出してしまっていたなんて事も無きにしも非ずなので
- ペット用のオモチャ以外の物や
- ペット用でも顎の強い大型犬用のオモチャ
などでは、なるべく遊ばせない方が良いんじゃないかと思います。
怖いのは…
炎症が歯髄から歯根にまでおよんで歯根炎を起こしたり、それが進行すると、歯根膿瘍を起こす事があります。
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はじめに… 今日のアイキャッチ画像は、うちのワサビ君です。 犬歯の欠損はありましたが、歯髄炎の症状はなく、気付いた時には ...
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病原菌が血流に乗って全身に広がり、心臓や肺、腎臓などの疾患を引き起こすこともあります。
脳にまで影響を及ぼしたと思われる症例を聞いたこともあります。
その症状がでているんじゃないかと思った時には、速やかにかかりつけの獣医さんに相談してあげて下さい。
症状は?
見た目では
- 歯(とくに犬歯)の先端が欠けている
- 歯が(こすれて)短くなったように見える
- 歯が黒っぽく変色している
などが分かりやすい症状にあります。
歯髄が露出していなければ「痛み」の症状は出ません。
これらの症状が出ていたとしても炎症を起こしていなければ歯髄炎とは言いません。
ただの「歯の欠損」「歯のトラブル」です。
それ以上、欠損が進まないよう、炎症を起こさないよう定期健診などでもそこを注意深く診てもらうなどして、くれぐれも気を付けてあげて下さいね。
が、
- 硬い物を食べようとしない(固めのフードだけ避ける、残す)
- 口元を触ろうとすると嫌がる
- かじるオモチャで遊ばない
などの場合には炎症を起こし、痛みが出ている可能性があります。
治療方法は?
歯髄が露出してからの期間やその状態によって、歯髄を残すように修復するか、歯髄を取り除いて治療をします。
これは、歯髄に詰め物をして歯を温存するという人間と同じような治療方法なのですが、「この治療を受けた」というお話しは実際にそこまで多くは聞いた事がありません。
それよりも、消炎剤や抗生物質の投与で「このまま様子を見ていきましょう」が一般的かと思います。
もちろん、症状が進んでいたり、その子の年齢や体力、飼育環境などを考慮したうえでの話しになれば、「抜歯」を視野にいれた投薬が次に多い治療のように感じます。
予防には日常の環境作り
歯を削るなんて言語道断ですが、日常生活でもニョロリン達の歯が折れてしまうことがないよう気を付けてあげて下さい。
必要以上に摩耗・咬耗しないような環境を作ってあげて欲しいと思います。
このように
この子達の犬歯は実に細くて長いので、思っているより案外と容易く折れてしまうのです。
ケージの金網をしょっちゅうガジガジしないよう、くれぐれも間違ったシツケは止めてあげて下さい。
間違ったシツケとは
- ケージをガジガジやっててかわいそうだから外へ出す
- ケージをガジガジするのがうるいからオヤツをあげておとなしくさせる
などは
「ガジガジやったら嬉しい事がある」とニョロリンに教える事になる
「間違ったシツケのお手本」みたいな一例です。
若くて丈夫な歯の時からそれを習慣にしてしまうと、シニアになったある日突然ポッキリ折れてしまうなんて怖い事に繋がりかねません。
ガジガジを嬉しい事に繋がる何かの合図にするのは止めてあげて下さいね。
ストレスでガジガジしないよう、たくさん遊んであげて下さい。
ガジガジしなくても外に出られるんだって事をちゃんと教えてあげて下さい。
ガジガジしている間はケージを開けない。
ガジガジが治まってからケージを開けるという事を繰り返せば、「ガジガジしても出られない。そんな事しなくても遊んでもらえる。」ってこの子達はちゃんと分かるんです。
それが分かれば自然と「出せ出せ」とアピールするようにケージを噛む回数はだんだんと減ってきます。

他の何かのアピールやただ面白いからガジガジしたい場合もあるので、100%ガジガジが無くなるわけではありません。
そして、充分に放牧の時間を作ってあげて下さい。
外で遊ばせてあげる時間があまり取れないという方は、少し広めのサークルなどでかじっても良いオモチャをいれてあげて、中でも遊べるような環境にしてあげると良いかもしれません。
また、ドライフードの中には、野生のいたちが食べるものより硬い、(捕食対象である小型哺乳類など)自然界ではあまり口にしない硬さの物があります。
毎日の食事でも少しずつ歯の咬耗は起こるものなので、そこまで神経質になる必要はありませんが、ある程度の年齢になったら、そういう事も考えてフードは慎重に選んであげて欲しいと思います。
おしまいに
しつこいようですが「犬歯を削ると良い」なんてデタラメな飼い方が広がっていたのは本当の事です。
私と同年代以上の、ちょっと年期の入った古ニョロリストなら、誰でも一度は耳にしたことがあるはずです。
若い皆さまも本当に気を付けて下さい。
他人が無責任に口にする情報に振り回されて、大切な事を見誤ってしまわないで下さいね。
そこまでのデタラメ話は流石にもうないでしょうけど、「適当な情報」というのは巷にジャンジャン溢れています。
ちょうど今日、こんなニュースがありました。
(略)女の送検容疑は昨年5月ごろ、ネット掲示板や雑誌などから、西田さんが「違法薬物を使い、日常的に暴力をふるっている」などという内容の記事をまとめて自身のブログに転載して広く周知し(略)
「人の興味を引くような記事を掲載して閲覧数を伸ばし、広告収入を増やしたかった」などと話している。
小遣い稼ぎの為に嘘までつくサイト(ブログ)が普通にあるって事です。
小遣い稼ぎの為に適当な事を平気で「情報」として発信できちゃう人がいるんです。
これは芸能ニュースに限った話では無いんですよ。
そんな物に決して振り回されないで下さいね。
その子の為に、きちんと正しい情報を見極めてあげて下さいね。
今日のアイキャッチ画像
先日、7才のお誕生日をめでたく迎えたサリーちゃんです。
綺麗な犬歯がバッチリ写っていたのでコッソリ拝借してきました。
うちの可愛いエルちゃんと比べてみようと思って写真を撮りに行ったら
ベロを出してお昼寝してました。
あんまりにも可愛いのでこのままそーっと寝かせておいてあげようと思います。
この子達の大事な歯、その一本一本、どれも全部、大切に大切にしてあげて下さいね。
そんな中、さすけの犬歯が折れてしまった時のお話しはこちら
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