やってしまいました…
歯の事だけは本当に気を付けてきたのに、さすけの可愛い犬歯が欠けてしまいました…
多頭飼育の我が家では、フェレット同士のワキャキャキャは放っておきますが、人間を介して遊ぶ時にはフェレット同士での衝突を避けるため飛びつかせて遊ぶオモチャは一人に1つずつ用意しています。
オモチャに気を取られた形での正面衝突が怖いからです。
あの日、さすけは隣の部屋で寝てるから「大丈夫」と思って、私はえるちゃんと遊んでいました。
えるちゃんもさすけも大好きな鈴がついたオモチャです。
鈴の音で目を覚ましたのでしょうか、ストトトトトって足音が聞こえた気がしてオモチャを引っ込めようとした瞬間にさすけが後ろから突っ込んできました。
嫌な予感がしてさすけの口を見た時には今日のアイキャッチ画像通り、右上の犬歯が破折(はせつ)していて…
「ごめん…ごめん、ごめん、ごめん、ごm…」
泣きました。

だって、相手の子は何でも無いんですよね?
その前に何か硬い物をかじって折れちゃっていて、たまたまその時に気付いたってだけじゃないですか?


という会話があったのですが、
これは、あまりにも意気消沈している私を慰めるために言って下さった言葉でもあるのでしょうが、本質は多分そこでは無く、
「きちんと原因を把握してその要因を取り除いておかないとまた同じ事が起きますよ」という事なんだと思います。
折れた瞬間を見たわけでもないのに、勝手にそのせいだと決めつけて落ち込んでいる間に、本当は他にあった原因でさすけがまた同じ事になってしまったら目もあてられません。
何か思い当たる事はないか部屋やオモチャのチェックを一からまたやり直しました。
「犬歯は折れやすい」
「ちょっと折れたくらいどうって事ない」
等々、等々、そんな事は私にだって分かっています。
でもダメなんです。
私は本当にこの子達の「歯」に関してはこれでもかってくらい神経質に考え過ぎている飼い主なのです。
自分が歯にめちゃくちゃコンプレックス抱えて生きてきたっていうのもありますけど…
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折れやすい犬歯!牙の構造を知っておこう!
歯の構造については「人でも犬でも猫でもフェレットでもあまり変わらない」とされています。
なので、こちら、犬の犬歯の構造でちょっとご説明させて頂こうと思います。

出典:ミ・サ・キ・動物病院
【エナメル質】
生体中で最も硬い組織であるエナメル質はハイドロキシアパタイトの結晶成分からなっています。
【象牙質】
象牙質は歯の主要な構成組織として、歯冠部はエナメル質により、歯根部はセメント質によって覆われています。象牙質は骨よりも硬く密である。また歯髄を保護する役割があります。
【歯髄腔】
神経・血管などからなっています。歯へのいかなる刺激も痛覚として感じとられます。
歯の構造はとてもシンプルです。単に外層のエナメル質、中層の象牙質、そして内側中心部の歯髄組織からなっています。エナメル質がセメント質に置き換わっていることを除けば、同じ構造が歯根まで続いています。歯根部は歯槽骨により支持され、その周りを歯肉で覆われています。
引用:同上
私は昔、フェレットはこの歯髄腔が「かなり先端まで通っている」と教わったのですが、これまでの経験上、「そうでもないのかな?」って実は思っていたりもします。
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その割には「犬歯が折れてる事に気が付かない飼い主さんも多い=この子達の生活に何も支障がない」事が多いと聞くし、検診や何かでそれが見つかっても「大丈夫。処置の必要なし」と診断されている子がとても多いように感じます。
ちょっとくらい大丈夫!その「ちょっと」ってどれくらい?
こちらの子の牙を見て下さい。

モデル:ののさん
さすけに比べると大分根本に近い場所からパッキリと折れています。
それでも病院で「大丈夫」として処置無しだったそうです。
大分、昔の事ですが、『犬歯破折の治療を受けた』という話を聞いた事があります。
歯髄を残すように修復するか、歯髄を取り除いて治療をします。
これは、歯髄に詰め物をして歯を温存するという人間と同じような治療方法です。
とする、文献を見た事もあります。
さすけにもその治療を…
「ちょっと」かどうかは必ず病院で診察してもらうべきこと
歯が欠けていたり短くなっている事に気が付いた時、大概の場合
「痛そうな素振り(口元を触らせない等)を見せなければ平気」
「ご飯をちゃんと食べているなら問題無い」
等と言われます。
それは間違い無いのですが、病院で一度は必ず『本当に大丈夫なのか』をなるべく早い段階で確認してもらうべきだと私は考えています。
「歯が変色してきたら」
「歯茎に炎症を起こしてから」
しか、「何も処置できない(処置の必要はない)」とも言われていますが、上記のように「その治療をした」という話を私は見聞きした事があります。
その治療をさすけにも受けさせてあげたくて、友人・知人に聞きまくって、今回は病院を(電話を含め)3院回りました。
治療(処置)で体にかかる負担を考えたら…(獣医さんの見解は大多数がこれ)
折れてしまった翌日、翌々日その次の日って3院目に受診したヴァンケット動物病院で「歯が折れてしまったら本当は最初の24時間くらいが勝負なんです」って言われました。
「その日に来ていたら何か違っていたんですか?もう遅いって事ですか?だって、だって、、、」って言い訳みたいな事をギャーギャー言い続ける私に先生はごっつい拡大メガネみたいなのを頭から外しながら
「んー、(その日のうちに来ていても)変わらないですね」って言いました。
スケーラーを使って丁寧に歯を見てもらった結果、「露髄なし(歯髄は出ていない」として、こんな絵を描いて説明してくれました。
さすけの歯の状態
先の説明で使った構造の絵よりだいぶ簡略化されていますが、さすけの歯は露髄は無く、かなりギリギリかもしれないけれど象牙質の部分で歯髄腔にちゃんとまだ蓋がされてる状態だと説明を受けました。

これは、その前の2つの病院でも聞いた事で、その答えは「出来ない」「そういう治療はしていない」でした。
今回の先生は

って言いました。
どうしてしてくれないのか伺ったところ、
(当たり前の事ですが)人や犬に比べて「歯が小さすぎる=とても細かい作業になる」こと、全身麻酔をかけての手術のリスク、そこまでして治療したところで、
フェレットの犬歯は折れやすいという特性上「また折れてしまう可能性がある」って事。
それら諸々の事情を全て考慮したうえで「しておられる先生はいるかもしれませんが、僕はしてません」っておっしゃいました。
治療して欲しいとムキになっていた理由も払拭してもらった
私は、わさびが腎臓を患ったのは「歯」のせいだって、これは今でも「もっと早く歯の治療という選択をしてあげていれば違ったんじゃないか」って心残りに思っている事の1つです。
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わさびは最初から犬歯が上下とも欠損していました。
シニアでいたちのおうちにやってきたわさび、それが破折(折れた)なのか加齢による咬耗(削れた)なのかはもう判断がつかないような状態(時間が経ちすぎている)でした。
獣医の先生と相談の結果とはいえ「様子見」に甘んじていた結果、歯根膿瘍を起こさせてしまった経験があります。
初めて顔を腫らしたのはわさびが7歳の時です。
さすけはまだ2歳にもなっていません。
しかも当然、咬耗なんかではなく完全に「折っちゃった」んです。
そんな若いうちから、しかも飼い主の不注意でこの先ずっと歯に爆弾を抱えたままなんて…なんとかなんとか、治療をしてあげたいと思っている旨を伝えた結果の

その淡々としながらもゆっくり丁寧にあらゆる可能性や多くの例を挙げての説明の後のこの一言に、初めて…でもやっと、すとんと納得ができました。

「安心して良い」って言ってくれた
露髄しているわけじゃないから、さすけは痛くないから安心して良いってまず言ってくれました。
その後、
蓋がされているからと言って、エナメル質に比べて象牙質は弱く、また小さな穴がたくさん空いている材質だから、絶対に大丈夫というわけではないけれど、そんなに簡単にばい菌が入ったりはしない(そんな簡単に歯根膿瘍にまでは至らない)って言ってもくれました。
その代わりに「できる事をしてあげて下さい」って言われました。
これからの注意点
ツルツルしたエナメル質と違って象牙質はザラザラしているため、食べ物がつまりやすく、また雑菌の温床になりやすい事
だから「歯磨きをしてあげて下さい」
そして、神経質なまでに歯ばっかり気にかけてる事は十分に分かりましたが、「これまで以上に歯を気にかけてあげて下さい」
その上で、歯が変色してくるような事があったり、食べ物を口にしないようになったり、等があったら
「治療」とは
その時には、これまで書いてきた通り
消炎剤や抗生物質の投与で、このまま「様子を見ていきましょう」がやはり一般的な治療になるかとは思いますが、症状が進んでいたり、その時の年齢や体力、飼育環境などを考慮したうえでの話しになれば、「抜歯」を視野にいれた投薬となるでしょう。
そして今回お世話になったヴァンケット動物病院では、「炎症を起こす前に抜歯する」というのも治療方針の1つとして提案しているとの事でした。
ただし、今回のさすけのような状態では「抜歯なんて全然まだ考える必要ない」そうで、それは「その子が」きちんと診察してもらってから、先生とよく相談して決めてあげるべき事ですので、ここではどうなったら抜歯だとかそういうお話しは出来ません。
ただ私の経験上言えるのは、「(抜歯の)手術はいつでも出来るわけではない」という事だけです。
詳細はこちらでも書きました通り、
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「抜歯の手術に踏み切らなきゃいけないね」って全員でやっと覚悟を決めて受けたその手術のための健康診断で、わさびはもう「麻酔には耐えられない体だ(=手術はもうできない)」という事が分かりました。
だから、最初から歯にトラブルが起こりそうな事は分かっていたのに、終生一度も歯の治療はしてあげられませんでしたから…
まとめ
これは、今回、うちのさすけに起きた事です。
先ほども書きましたが
「その子」が同じような状態になった時、同じように診断されるとは限りません。
こんなに小さい歯にだってちゃんと個体差があるんです。
歯髄腔の長さ(深さ?)だって違うでしょうし、破折の仕方や歯の状態によってだって変わってきます。
周りに何を言われても、いたちのおうち含めその辺のサイトやネットで何て書かれていようとも、勝手に安心して大丈夫だと思い込まないで下さい。
病院できちんと診てもらう事だけは必ずしてあげて下さい。
「心配しすぎ」って笑われたって良いんです。
そんな時には
「やっぱり、何もする事は無いって病院で言われた」って笑って言えば良いんです。
「折れやすい」と言われている犬歯。
出来たら折れないように気を付けてあげて下さい。
折れてしまっても慌てないで!病院へ行って、きちんと診てもらえば良いだけですからね。
この記事を読んだ今このタイミングでちょっと見てみてあげて下さい。
少しでも「あれ?」って思ったら、すぐに受診される事を考えてあげて欲しいなって思います。
健やかなニョロニョロ生活を☆彡