フェレットの三大疾病の1つ「インスリノーマ」
シニア期(4才以上)に入ると一気にその患畜数が増えると言われていますが、うちのわさび君は7歳の時にそう診断されました。
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お陰様でわさびは一度もインスリノーマの発作というものは起こさずに穏やかに虹の橋を渡りましたが、あの時のわさびは他にもっと深刻な状態の病気を抱えていたので、
正直にいうと私は、そちらの病状(疾患)にかかりっきりでインスリノーマについては「投薬してるから大丈夫!発作がでたらその時にはきちんと対処してあげれば良い!」としか考えていなかったような気がします。
えるは今年の7月で4歳になります。
ここでもう一度、インスリノーマについてきちんと勉強し直して整理する良い機会だと思い、ちょっと色々と調べ直してみました。
インスリノーマで「気を付けなきゃいけない事」の理解がボヤけてきてる…?
「インスリノーマ」という病気についてはこちらで詳しく説明させて頂いているので今日はそれについては省略します。
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インスリノーマとは?フェレット【低血糖の応急処置】症状と治療方法・注意しなきゃいけない大事なこと
俗に言う「インスリ」 これは副腎疾患・リンパ腫と並ぶ、フェレットの三大疾病の1つで、別名「膵島(すいとう)細胞腫」とも呼ばれています。 膵臓の中に島みたいな状態で散在している「ランゲルハンス島β細胞」 ...
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が、そちらで書いているのは大まかにいうと
- インスリノーマという病気について
- 低血糖症の事
です。
ちょっと検索して頂くとすぐに気付かれるかと思いますが、どこもかしこも、どこかと似たような事しか書いてなくてあれですよね。
どこかから丸っとコピーしておいて適当に盛った尾ビレをつけてそれっぽくしてみたり、大げさな感情論を背ビレとして付け加えて不安を煽るだけみたいないい加減なサイトが乱立しているせいで、
フェレットが必ずなる病気的な扱いでインスリノーマという名前だけが大きく一人歩きしているんじゃないかって思います。
パクりサイトに対する嫌味その他は前回とことん書いたのでもう良いのですが、
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バレてるよ?フェレットについてのブログやサイトにここからのコピペで記事投稿してるライター気取りに警告
当サイト「いたちのおうち」も、そのサブサイト「いたちのおうちの覚書」でもそうなのですが、ちゃんとプライバシーポリシーを設けていて、そこには 当サイト内の文章、画像、イラストなどの著作権は、管理者及びそ ...
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今日はインスリノーマについて「そもそも」のお話しからさせて頂こうと思います。
インスリノーマについての「そもそも」とは?
上載リンクの「インスリノーマとは?」をお読み頂ければお分かりの通り、インスリノーマというのは要するに『腫瘍』の事です。
そちらでもきちんと説明していますが、その腫瘍があれこれするから血糖値があれこれして発作を(以下略)の「発作」はあくまでも『低血糖症の発作』なのです。
もう一回、言いますよ。
- インスリノーマ=腫瘍
- 発作=低血糖症の症状
これを、分かっていない人が時々おられるようなのですけれど、これが今日のお話しのメインですから、今ここできちんと覚えちゃって下さいね。
これがちゃんと理解できていないと、おかしな事がおかしな事と気付けません。
更に、我が子がインスリノーマだと診断されたら少し…一瞬でも気持ちが弱くなってしまう時があります。
もうそうなってくると、おかしな事に気付けないどころか、何にも分からないまま「誰か任せ」でその子の治療方針を、その事に気付かないまま流されて決めてしまっていた。なんて事になってしまうかもしれません。
だから、今ここで「ちゃんとした知識」を冷静に頭の片隅にちょこっととどめておく程度で構わないので仕入れちゃって下さい。
この先に何かが起きた時、あ、そう言えば!って思いだして、きちんと冷静に自分で判断して選択してあげられるように「予備知識」を増やして帰って下さいね。
そもそも低血糖症の発作とは?
病院によって「フェレットの正常な血糖値」とする値は多少バラつきがありますが、その目安は大体
血糖値が70mg(~60mg)/dl 以下
あたりの数値を「低血糖」として、その診断は「低血糖症またはインスリノーマの疑い」などとされる事が多いんじゃないかと思います。
ここで大切な事を1つ
低血糖症の範囲だからといって、必ずしも低血糖症の発作を起こすというわけではありません。
低血糖症の発作というのは、それまでの安定した血糖値からインスリンの過剰分泌によって急激に血糖値が下がった時に起きるのです。
もう一回言いますよ。
低血糖症の発作というのは、低血糖症だから起きるのではなく、血糖値が急激に下降した時に起きるのです。
発作を起こさせなければ良い!…?
という事は、インスリノーマ(腫瘍)によって低血糖症といわれる状態になったとしても発作さえ起こさなければ良いんじゃないかと思われるかもしれませんが、
えぇ、「発作」に関してはまさにその通り、「起こさなければ」それで良いんです。
その通りだし、それで良いのは良いのですけれど、ここでちょっと血糖値の上がり下がりのメカニズムのお話し
そもそも、血糖値とはどういう仕組みで上下するのでしょうか
「高血糖」(ひどいと糖尿)状態と、「低血糖状態」(ひどいと低血糖)
がどちらかに傾かないように微妙なバランスで血糖値を保っているのは
体の中のホルモン達です、ホルモン達によって血糖値をあげたり下げたりしています。
そのホルモン達は、「自律神経」により出したり出さなかったりを命令されて
いるのですが、「自律神経」には「交感神経」と副「交感神経」の2つの神経系があり、
血糖値をあげるのは「交感神経」、血糖値をさげるのは「副交感神経」という
自律神経で、「交感神経」は興奮時や活動時、「副交感神経」はリラックス時に優位になります
低血糖だからといって、副交感神経を働かせない!とかいうのではなく
本来健康であれば、両方のシステムはバランスよく動いているので
「バランスよくなってね」という方向に体を導いてあげるのがいいです
引用:戦闘機いたちさん珍道中
お分かり頂けますでしょうか?
発作を起こさせないためには、血糖値を下げさせなければ良い!いや、そもそも上げなければ良い!その為には交感神経や副交感神経を働かせなければ良いのね!というような極端な事ではなく、またそんな簡単な話でもないのです。
この「バランスよくなってね」という方向に体を導いてあげる
が非常に大切な事なのですが、それが「じゃあ、どうしたら良いの?」って話です。
引用元の戦闘機いたちさんでは『インスリノーマにそなえて、自宅でフェレットの血糖値を測ってみようという簡易測定器』として、そのやり方などを詳しく説明してくれています。
そちらなども、ぜひ、参考にして頂いたうえで
いざという時に情報を冷静に吟味できる知識を持っていて欲しいっていうのが今日のお話しなんですけど…
ちょっと待って!発作を起こさせなければ何でも良いの?
とある場所で
という記述を見かけました。これはどういう意味でしょうか?というお問合せがありました。
フルクトースとは?
フルクトース (fructose)、または、果糖(fruit sugar)は糖の一種であり、単糖の一つで、三文字表記はFruである。水溶性の白色の結晶であり、全ての糖の中で最も多く水に溶ける。
それは、ハチミツ、木に成る果実、ベリー類、メロン、ある種の根菜に多量に含まれている 。
ものです。
また、果物に含まれる単糖類は特にインスリンの分泌を促進する事で知られている代物で「インスリ対策として健康なうちから果物はあげない方が良い」という獣医さんもいます。
そこら辺の「考え方として」は後述しますが、一先ずここでお伝えしておきたいのは「フルクトース=果物」と解釈しないで下さい。
インスリノーマの子に対してだけに関わらず、いかなる場合においても『果物で代用しよう』は決してやめて下さい。
ケトン体とは?
ざっくり簡単に言うと
- アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)、アセトンの総称。
- 脂肪酸ならびにアミノ酸の不完全代謝産物。
の事です。
もう少し詳しく説明しますと…
例えば糖尿病の場合、インスリンが不足しているため、ブドウ糖をエネルギーに変えることができません。
脂肪組織に蓄えられるはずの脂肪酸もその分解や合成がインスリン不足の為、十分にはできません。
そのため、脂肪酸を分解する時の燃えカスのようなものが残ります。
という時のこの燃えカスが「ケトン体」です。
燃えカスという表現は悪いですが、そんなケトン体にもちゃんと「脳はグルコースを優先的にエネルギー源として利用するが、グルコースが少ない時にはケトン体が主たるエネルギー源となる」みたいな役割があったりもします。
このグルコースというのはいわゆるブドウ糖の事です。
フルクトースとケトン体の話し
上載のスクショにあるサプリメントと同じものなのかは分かりませんが、私も以前、フェレットのインスリノーマについて話している場で「フルクトース」についてこう聞いた事があります。
「フルクトースの余剰分(肝臓で分解生成される糖質は少なく、その余剰分)が中性脂肪になり、それを原料にしたケトン体がTCA回路を経由し脳のグルコースになります。」
スクショの説明もこの方も、要するに「フルクトースをあげていれば低血糖症の発作を起こさず延命に繋がる」という事を述べているのかとは思いますが、果たしてそれは本当に文面通り素直に聞き入れて良いのでしょうか?
「おかしな事」は無いのか今一度よく考えてみましょう。
飢餓状態を作る→それって脂肪肝の始まりじゃ?
脂肪肝というのは昔から一般的には食べ過ぎやお酒の飲み過ぎなんかが原因であるとされてきましたが、最近では「無理なダイエット」が原因になるという事も知られてきましたよね?
それは、飢餓状態になると体中の脂肪は肝臓に送り込まれてエネルギーになろうとするけれど、その時には肝臓も栄養不良で脂肪をエネルギーに変える力を失っているから、集まった脂肪がただ貯まっていく一方となり、結果「脂肪肝になる」のです。
スクショでも「飢餓状態を作り」から始まり最後には「与えすぎると体および肝臓に脂肪として溜まることがありますので、必要量を定期的に与えるように工夫してください。」とハッキリ明記されています。
脂肪肝になるとどうなる?原因不明の肝臓病…
一時的にでも肝臓に脂肪を貯めておけば、確かにいざという時(今日のお話しでいえば低血糖症の発作時)にエネルギーを肝臓から供給できるようにはなるかもしれません。
ですがそれは、体にとっては死活問題だから仕方なくそう働かざるを得ない状態なだけなわけですし、その時には肝臓機能はフル稼働です。
すなわち、その度に肝臓が疲弊するので、気が付いたら「原因不明の肝臓病になってた」なんて事が起こり得るのです。
そもそも、この子達の肝臓(だけでは無いけど)はあまり強くないです。
「寿命」から考えてみてあげて欲しいのですが、この子達は4歳で「シニア(老齢期)」なんですよ?
パッと見た目ではそんな風には見えなかったとしても「体(細胞や内臓)」は確実に年を重ねたなりに衰えてきているって考えてあげて欲しいんです。
そんな状態の肝臓を脂肪肝にして、ケトン体がどうのこうの(飢餓状態によってグルコース(ブドウ糖=糖質)を作る)等というのは本当に「インスリノーマと向き合う正しい考え方」なのでしょうか?
れっきとした知識と肩書を友人が私に分かるように説明してくれました。
これは、東京の電車事情に詳しい人にしか分からないかもしれませんが、私には分かりました。
このお話しってば、本当は「糖新生」だ「ATP回路」だ「ケトン体質」だなんだかんだって、耳慣れない単語をモリモリ使って説明していくべき事なんでしょうけど…もう何だかダラダラ長くなってきたし、書いている私自身がまどろっこしくなってきたので、ここから先は私理論で一気にいきます。
確かに発作は起こさないかもしれないけど、他は…?
普段使わないような耳慣れない言葉を使ってじゃなく、誰でもが知っている一般的な例でお話しさせて頂こうと思うんですけど、皆さん、 アルコール依存症って知ってますよね?
アルコール依存症とは、お酒の飲み方(飲む量、飲むタイミング、飲む状況)を自分でコントロールできなくなる症状のことをいいます。
飲酒量を自分で加減できなくなる事によって飲んだら様々な問題を起こすようになっても、「依存症」になっている脳は、それがよくないことだと普段は理解できているのに、一度アルコールを口にすると脳に異常が起きている(依存症)ので飲むことをやめられなくなります。
そして、アルコール依存症は、体内のアルコール濃度が下がってくると、さまざまな自律神経症状や情緒障害、手の震え、幻覚などの症状がみられるようになります。
これを「離脱症状」といいます。
「アル中の症状」といわれる症状はこの離脱時の症状なんです。
ここからアル依について、多少乱暴な表現を使いますが、それは、私自身がそうだったからというだけで、他のアル依患者さんに対してとかそういう方へ向けての発言ではないのでそこだけご了承下さいね。
アル依患者は、アルコールを摂取している時には、その症状が出ません。
アルコールで確実に体や脳がむしばまれていようが進行していこうが、とにかく、アルコール摂取時には「アル中特有の症状は出ない」んです。
切れた瞬間から、体は動かないし、ひどい鬱状態に陥るし、もう死にたくなるくらい辛いんですけど、「酒を飲む」とまるで治ったかのようにスッキリしゃっきりするんです。
だから飲み続けてしまうんです…って、話しはここまでにして、
その現象が、このフルクトースの作用で起きている事の例えです。
ケトン体だ何だって聞きなれない言葉で説明するからフワーっとしていますけど、何度も言った通り、そのグルコースは要するにブドウ糖=糖質です。
アル中にずっと酒を飲ませていたらその症状が出ない(ただし治ったわけではなく、臓器に負担はかかっている)という例と同じ状態、
つまり、
低血糖状態の体に常に糖質を摂取させ続けているから低血糖症の発作が起きない(腫瘍に作用しているわけではなく臓器への負担はある)ってだけなんです。
乱暴な表現を使って一気にまくしたてましたけど、誤解して欲しくないのは、「だからダメだ」って言ってるわけではないんです。
どっちが良いとかダメだとかって話を私はしてない
インスリノーマと診断を受けた子は腫瘍の摘出手術(外科手術)と、投薬治療(内科投薬治療)という治療方法がありますが、外科的な治療を受けたとしても、その大半はしばらくの後から、受けていない子と同じようにステロイド剤やインスリン分泌抑制剤の投与などが始まる場合が多く
「一生涯に渡って血糖値をコントロールしていってあげる」という治療になります。
上記で説明をしたようにフルクトースを与え続けるという事は他の病気(主に肝臓の疾患)に直結する行為ではありますが、病院でもらうステロイドだって常用していたら必ず免疫力が低下するなどの副作用があります。
だから、どちらが良いかだなんて事は私には分かりません。
ただ1つ今日言いたかったのは、それを…
「どちらが良いとかダメだとかって赤の他人に決めさせちゃダメ」って事だけです。
私個人としては、西洋医学と東洋医学をどちらも上手に取り入れてあげられるような考え方ができたら良いんじゃないかなって思うんです。
まとめ
今日のこの記事は某所で見かけた「病院での治療は早死にさせるだけだ、だから~」に対して「ちょっと待った!!」を言いたくて書きました。
確かに「インスリノーマの治療」というのは「病巣(この場合は腫瘍)に直接アプローチをして治してあげる」というものではありません。
だからこそ「どうしてあげるべきなのか」その方針を飼い主さんには自分で考えてその子と自身の暮らしに一番良い方法を選んであげて欲しいってだけなんです。
誰かが一方的に言う「あれはダメだからこうしなさい」に振り回されないで下さい。
このお話しはサプリメントやその成分など、何かの批判ではないって事は分かっておいて下さいね。
もし今後、きちんとした病院での治療を否定できるほどの夢のような何かを紹介された時に、ちゃんと一長一短があるって風に考えたり調べたりする余裕を持てるよう、その知識や考え方の参考にして欲しいって気持ちで書きました。
先程も言ったように、サプリメントなどの類は、病院で適切な治療を受けつつ、そのサポートだったり何かしらのプラスαとして上手に取り入れていけたら良いなって私は思っています。
おしまいに
今日のこの記事も、専門家の方々にきちんと取材協力をお願いして書き上げました。
アルコール依存症を例に使う事についても「誤解を招く恐れはあるけど、例としては間違っていない」とのお言葉をもらっています。
「ただ、世論受けや世間体を考えたら控えるべきでは…」とも言われましたが、これは私なりに考えた「一番分かってもらいやすい表現」なので、そこを変えるつもりはありません。
伝えたかった事はそこじゃないって事は皆さまにはきちんと分かってもらえると信じています。
病院には定期的にきちんと連れて行ってあげて下さいね。
久しぶりの超長文、最後までお読みいただきありがとうございました。
健やかなニョロニョロを☆彡