毎年のことですが、この時期には保護の案件が増えます。
一口に「保護」と言ってもその内容は実に様々で、無事に飼い主さんの元に帰れる子、無事に保護できた子、何もしてあげられなかった子、そもそもそういう事実が本当にあったのか分からない子…
ブログを書く時間どころか、携わった数件についてでさえ、その詳細を全て把握して事実確認をするための時間さえやっとこさっとこといったところでしょうか…です。
今日はそのうちの一つ「北新宿で起きていたこと」のまとめです。
すでにその詳細をご存知の方も多いでしょうが、途中からはネット上で散らかりまくっていたその情報。
それらの整理も含めて、ネットに書いてある事は「こういう風に見てください」、ネットに流す情報は「こういう風に書くと良いですよ」をちょっと書かせて頂こうかと思います。
一つ大切なお話から先にしますが、いたちのおうちは、動物の遺棄を絶対に許しません。
同じ場所から2匹も3匹も、4匹も…フェレットがひょこひょこニョロニョロ出てくるだなんて、そんな不自然な状況を、誰かや何かの都合に合わせて見過ごす事はできません。
不自然な状況がなぜ起きたのかは、「フェレットの事」を知っていれば分かります。
誰かが故意に作らなければ、そんな状況にはなりません。
「その子達が無事だったからまあ良いか」じゃないんです。
覚えておいて下さいね。
最初から散らかっていた「情報」を時系列順にまとめる
6/25 8:00
昨日からフェレットが拾得物としてあがっています。警察署には(一時預かり保管場所の委託可能先として)いたちのおうちも伝えてあります。
こういう時は、警察署から連絡があるまでうちからは何もアクションを起こしません。
本来であればフードの差し入れなどで動くところなのですが、「うちの名前を伝えてある」場合に限り、警察署から何かしらのお話があるまでは「現状、何もお困りではない(今はうちが出る幕ではない)」と判断して、連絡があったらすぐに動けるようケージなどの用意をして書類の準備をしてひたすら待機です。
同 13:00
目撃情報があったフェレットの捜索に来ています。2匹です。一応、準備だけお願いします。
こういう時は、その場の状況に合わせてどんな風にでも対応できるようにその準備をしておきます。
同 14:17
生体無事確保。2匹とも元気です。これから○○さん(後の保護主さんです)という方が警察署へ届けを出しに行かれます。
上記は全て、警察署と直接やり取りをした人、捜索現場へ実際に出てる人、確保したその場にいた人、から受けた連絡です。
その間に、「~ってことらしいんだけど、Twitter見てますか?」といった類の連絡が数件きました。
「~ってことらしい」の内容がすでに、憶測でしかない話になっていたので、なんとなくは分かっていました。
辿って辿って、多分ですが、一発目の発信は「公園にイタチみたいな生き物いた」的なそれがそうだったんじゃないかなと思います。
添付されていた写真は確実にフェレットでした。
近くに段ボール箱があったとか、そういう事からなのだとは思いますが、「フェレットが捨てられていた」としてなんだかてんやわんやしていましたが、私たち活動者が保護へ出る時には、確かではない誰かの推測や感情論は要りません。
拾得物として届け出を出す時にも「近くにこういうものが落ちていた」と「この箱に入っていた」とでは届け出るべき内容が違うのです。
皆さんも覚えておいて下さいね。
いくら、そうとしか考えられない状況であったとしても、それによってどんなに感情が高ぶったとしても、憶測で動物を遺棄した犯罪者を勝手に作りあげるような事は誰もしてはいけないのです。
それは私たちのする事ではなく、警察・裁判所の仕事です。
拡散すべき「情報」かどうかの判断は難しいかもしれませんが
こういう時、私たちがまず最初にするのは、もっともらしい内容の中に混ぜ込まれている事実では無い部分の削除です。
- 勝手に遺棄だと決めつけない
- 勝手に可哀想な子を作らない
これは、保護活動における基本中の基本です。
時々、人目を引くためにセンセーショナルな表現を使う人もいますが、(それを目的とする事が良いか悪いかの話ではなく)いたちのおうちではそれをしません。
活動者というのは、それぞれが自分たちのやり方を持っていますから、そのやり方に多少の違いはありますが、どこの現場ででも本来であれば常に冷静でいなければないその場で『そんな事』を考えている余裕はまず無いですし、まっとうな活動をしている活動者は皆、それがいかに邪魔なだけなものなのかを知っているのです。
現場に繋ぐ情報収集なわけですから、明らかな冷やかしや嘘、大げさな誇張、紛らわしい関係ない話、推測や憶測、ポエム系、そういうのを省いて、「事実を把握」する事から始めます。
あ、ここで、一つお願いがあるのですが…
現場の邪魔になる行為
現場では、スマホのバッテリーが命です。
情報のやり取りはもちろんの事、緊急時の連絡やその他、ライトの代わりに使用している事もあります。
「頑張って見つけてあげて下さい」は大変有り難い言葉ですし、伝えたい気持ちなのは分かるのですが、なるべくなら、ひと段落がつくまでは現場に出ている捜索メンバーへ直接のそれは控えて頂けると助かります。
また、真偽の確かめようもない何次情報かも分からない「~らしいよ」は、情報ではない事を知っておいて下さい。
良かれと思ってのそれなのは分かっています。
少しでもその子のために!としているのは分かるんです。
ただ、でも、それらを直接、現場に届ける事は、情報の混乱とバッテリー切れの心配を招くだけだという事を少し頭にいれておいて頂けたらなって思います。
でもって、もう少し個人的な感情で書いたお話はこちらから
保護に携わってくれる個人さんのお手伝い、個人活動者を守ること、それがいたちのおうちの役目です。
6/25 夕方
保護主さんから直接、その件について発言がありました。
それについて「これマズくないかな?」という連絡が何件も入った事で私はその事を知りました。
保護主さんとは14時過ぎのあの時点で、「では、何かあったらお声掛け下さいと伝えて下さい」と人を介した電話越しでご挨拶をさせて頂いてはいました。
が、その後の連絡が無いという事で、大丈夫なのだと判断するしか無かったのですが、投稿されたその内容を見る限り、他の人たちが心配したのと同じように私も「これは危ないなぁ」とは思いました。
ただ、保護主さんは、ご自身でも活動をされているというようなお話しもチラっと聞いていたので、「うーん」とは思いましたが、何より、警察署へ行って署員の方とお話しをした後でのそれなので、私たちの心配は、もしかしたら単なる考えすぎ、もっと言えば、(警察署と相談のうえであえてそうしている場合もあるので)余計なお世話になり得るかもしれないとして、「見守っていよう」と判断しました。
※こういう時は、起きうる可能性がある全てのトラブルを想定して、ご本人との伝手の確保や、その対応シミュレーションだけはしておきます。
6/26 15:00
25日の時点ですでに警察署で保護されていた子の一時預かりの委託も受けたと上記の保護主さんからありました。
これは「同じ警察署の管轄内、しかも保護場所はほぼ同じ、たったの一日違いで3匹のフェレットが保護された」という事です。
6/27 夕方
「同じ場所にもう一匹フェレットがいたらしい」という情報が入りました。
でました…「らしい」
第一次情報を探していたらそこに
『先日保護された3匹のフェレットに、もう一匹家族がいるかもしれません。見かけたり、何か情報をお持ちの方がいましたらどうか連絡をお願い致します。#拡散希望#フェレット#迷子』として、その保護している3匹のフェレットの写真の添付がありました。
これ、ここから、さきほど言った作業「もっともらしい内容の中に混ぜ込まれている事実では無い部分の削除」をしたら、何も残らないです。
彼女のこのツイートは、彼女なりにこれが最善だと考えて「その子を助けたい気持ち」で、そうした事だと私たち保護活動者には分かります。
でも、保護活動者だからこそ、これが「その子の保護」には繋がりにくい事が分かるんです。
この情報発信者さんとは繋がりがあったので、すぐに連絡を取りました。
これは多くの方が「そうしたい(してしまう)」事です。
これまでにたくさんたくさん見てきて、多くの保護活動者たちが「あ、、、、」となってきた、本当によくある文面です。
だから、皆さんが知っておいて下さい。
今後、同じような状況になった時、きちんと、その子のためになる方法はこうです。
正しい保護情報の出し方
分かりやすいように会話式にしてみます(実際のやり取りままではありません)
![アタチはなこ](https://xn--n8jel7fkc2g.xyz/wp-content/uploads/2016/09/wp-1473066950874-e1475747881960.jpeg)
![知り合いロゴ](https://xn--n8jel7fkc2g.xyz/wp-content/uploads/2017/07/wp-1500970336397.-60x60.jpeg)
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として、私がツイートをし直させて頂きました。
それがこちらです。
6/27 19:30
- 目撃された時の情報が掲載されているスクショを貼って(事実)
- フェレットではない可能性もあるけど、見かけたら「私に」連絡を下さい(お願いしたいこと)
- 「私が」その後はこうします、だから「「私に」協力して下さい
これが一番、分かってもらいやすい「協力要請」の形です。
拡散される”だけ”では意味がないから
見てくれた人が、一度読んですぐに理解できないようなまどろっこしい表現は避けます。
「自分」は何をしていて「自分」は何についてお願いをしているのかが分からないものは協力要請にはなりません。
ただの「拡散」要請です。
インパクトのある内容は確かに人目を引きつけますが、それをしてしまうと、何を伝えようとしているのかがあやふやになります。
結果、「とりあえずリツイートしておこう」で読んでくれた人の思考が止まってしまうので、拡散だけはたくさんされるけれど、本当にお願いしたい事には繋がりにくいんです。
またそれは、一歩間違えたら、後に「嘘つき」のレッテルを貼られることになりかねませんし、そうでは無くても、ただでさえ、保護活動をしていると、「そういう目」で見られる事があります。
一度そういう印象を持たれてしまうと信用が無くなります。
最初から信用してもらうために、「自分」の発信として、その発言に責任を持たせます。
今回のお話しでは、先ほども言ったように「連絡をください」が、現場へ出る人達に直接いってしまう事態を回避できればと思い、私がそれを引き受けました。
その後、
6/27 22:00過ぎ
「雨がひどくなってきたからこれ以上は…として切り上げました。」と連絡がありました。お疲れ様でした。
実はその間に、件の私のツイートを見たとして、2匹+1匹の保護主さんから連絡がありました。
ちょっと、今日はもう長くなったので一旦まとめに入りますが、次回は、その保護主さんとの会話でもさせて頂いた「保護活動者(保護主)が良かれと思って発したそれで引き起こす可能性があるトラブル・巻き込まれる恐れがあるトラブル」「だから保護主としてやってはいけない事」について書いていこうと思います。
まとめ
北新宿で保護された3匹のフェレットはもう大丈夫です。
こちらの保護主さんは、「保護」の中でも少し特殊な事情がある保護活動をされている方でした。
だから、私たちのやり方…というか、一般的な現場の考え方とは若干違っていて当然なんです。
「(もし次回から同じような事があった時には)気を付けて下さい。一般的なボラ活動ではそれをしてしまうと危ないんです」というお話しをさせてもらったら、すぐに、「なるほど。そうなんですね。」とご理解頂き、私たちが「危ない」と懸念した自身の投稿を下げて下さいました。
なので、その件についてももう大丈夫です。安心して下さい。
今日のお話で言いたかったこと「正しい保護のやり方」についてなのですが、これはあくまでも、いたちのおうちの考え方です。
上記の会話の元の彼女も保護主さんも私に「すみません」と、おっしゃいました…
ここを今お読み頂いているあなたがもし今後、同じような状況(立場)になった場合、慣れている活動者にこういうお話しをされた時には覚えておいて頂きたいのですが、全然、謝る事ではないですから!
何度も言ってきましたが、私たちは分かってるんです。
全部が、その子のために一生懸命それが最善だと考えた結果のそれだってちゃんと分かっているんです。
せっかくの優しい気持ち、それでうまくいくなら、わざわざ「うちのやり方はこうです」なんて事は言いません。
責めてるわけでも、やり方を押し付けるつもりでも何でもないんです。
尚且つ、そういう場面は大概、話を先に進めなければいけない切羽詰まった状況だったりするので、「大丈夫です。謝るような事ではないですから」ってすぐに話を本題に戻したりします。
多分、これは他の活動者たちも同じです。
それはきっと…だいぶ、感じが悪い嫌な奴のそれでしかないかもしれませんが、どうか分かって下さい。
「保護」ってそういう事なんだって。
後から「あの時は流すような言い方しか出来なくてごめんなさい」って言う機会を与えてやって下さいね。
話を本題に戻します。
この3ニョロはそうしてもうきちんとした保護下にあるから安心して下さい。
「~らしい」とされた4匹目の子は多分ハクビシンです。
そのお話はまた次回にするとして、取り急ぎのご報告まで。
健やかなニョロニョロ生活を☆彡