今年のシルバーウィークは多くの皆さまが大変な思いをされたかと思いますが、特に洪水の被害が大きかった地域、浸水や断水で被災された方々、心よりお見舞い申しあげます。
いたちのおうちでは、台風による被害は何もありませんでしたが、その中での保護が数件ありました。
保護できた子の中には気圧の影響なのか放浪時の疲弊によるものなのか、かなり衰弱している子がいました。
保護が間に合わなかった子がいました。
今はもう保護主さんのお家でゆっくり体調を整えて飼い主さんのお迎えを待っている子達もいます。
今日は、その中から無事にお家に帰れた子のご報告になります。

@KeiCosmos14
「フェレットいました」
「いたちのおうちで保護しています」
「お家に帰れました」
の間に、私たちは何をしているか、何が行われているのか、そんな裏話的なお話しです。
フェレットいました→保護しました→お家に帰れましたの4日間のお話

@264yuki1
その日は朝から保護っ子の通院で私は病院にいました。
2022/09/24 10:01:35 メール受信
初めまして。
(略)
昨日の朝、小さい頭が餌を食べていて、子猫?と思ったらフェレットでした。
性別、年齢、種類はフェレットを見たことがないのでわからないです。
一心不乱に食べているので捕まえられるかも?と近づくと威嚇するでもなくあっさり捕まってくれました。そして、今使っていないモルモットのケージに餌と水を入れて玄関で保護しています。
警察にも昨日届出ていて、まだ飼い主さんが捜索していないみたいで。
このまま飼い主がでてきてくれなければ、里親を探す方向で考えています。
これから簡単な健康診断のため病院に行くのですが、どうやって保護していたらいいのか不安です。
どのタイミングで里親さん探しておくのかとか。猫の時と同じ感じでいいんでしょうか。
これは完全にこちら側の事情でしかないのですが、いたちのおうちのお問合せフォームからは写真を受け取る事ができません。
フェレットの保護活動者がまずやる事として「その子は本当にフェレットか」の確認がある
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イタチじゃないならフェレットかも保護しなきゃって命を繋ごうとしてくれた優しい人達にありがとうのお話し
こんなお問合せが届きました。 先日、○○県の人気の少ない山頂にてフェレットと思われる動物を見つけました。 イタチと思い込 ...
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のですが、そのままでは出来ないし、出先だし、どうしたものかと考えているところに、「フェレットの保護に関して困ってる方がいるようです!」とこちらのスクショが送られてきました。

なんてタイミングなんでしょう!この方に間違いない!!
早速、TwitterのDMで「こちらから失礼します」とお話をさせて頂きました。
その時点で「今、病院へ行ってきました」との事で、初動(警察署への届け出、健康診断)が完璧すぎて、安心するよりビックリが先にきて「あああああありがとうございましゅ」みたいなテンションで会話を始めてしまいました(笑)
「拾っただけ・連れて帰るだけ」を「保護」とは言わないから

@okafere
取り急ぎ捕獲はしたけどモルモット用のケージしかなくて狭い思いをさせてしまって可哀想で…と見せて頂いたお写真には、フェレ飼いさん達も御用達のとっても立派なケージにハンモックまで入れてもらって心なしか安心しきったようなその子の姿がありました。
病院にも連れて行ってくれて、こんなに綺麗なお部屋まで用意してくれて、それでも、”自分は何もしてあげられないから”フェレットさんのお世話をちゃんと分かってる方にお任せできたら…って、本当に動物が好きな方なんだ、なんて素敵な方なんだろうって、なんだかジーンときちゃいました。
早速、なるべく現場から近くて、捕獲主さんの一番の要望である”フェレットのお世話をちゃんと分かってる”ボラさんに「~です、行ってもらえますか?」「はい、了解」
保護とは「何も分からない子をとにかく死なせない」こと

@q9XTs7v7UrlSjRz
捕獲主さんが病院で取り急ぎの健康診断とレボリューション(ノミダニ駆虫薬)の投与を済ませてくれていたこと、預かりさんはベテランのフェレ飼いさんなこと、などから、その子には「とにかく今夜は心と体をゆっくり休めることに徹してもらいましょう」と決まりました。
外にいた子というのは大体「ひどく衰弱している」か「ひどく衰弱している状態までではない」のどちらかです。
最初は「とにかく死なせない、とにかく元気になってもらう、細かい話はそれからだ!!」です。
何が好きとか何が食べられるかとか何も分からないから、栄養重視のご飯と食いつき重視のご飯を両方買って、慎重に様子見開始。
「フェレットのことが分からなくて」と言いながらも捕獲主さんが良いご飯をあげてくれていたのでしょう。
良いウンチの報告は最初からありました。
が、その捕獲主さんから「びっくりするほど細い体なのですごく心配で」と言われていた通り、「ひどく衰弱している様子ではありませんが、とにかく痩せているのが気になります」とのことで…

これは飢餓状態を経験したであろう子にはよくある事なのですが、吐くまで食べ過ぎてしまったりしてそれはそれで体力を使うので注意が必要です。
それを知っている保護主さんは胃への負担を考えてすぐにスープに切り替えてくれたそうで

食欲があるのは「いいこと」です。
お腹が空いて怖い思いをしながら頑張って生きていてくれた子から湧いて出る食欲に制限をかけたりせず一晩中付きっきりでこまめな給餌のお世話を続けてくれました。
回復してきてくれたから考えられること

@warewareOO7007
美味しいご飯をたくさん食べて、安心できる環境でゆっくり眠って、美味しいご飯をたくさん食べて、安心~で、早い子は翌日には見違えるほど「あなたはそういうお顔だったのね」って表情からまるで変わります。
その子もそうでした。
ただ一つ、「これはなんだ?」と気になることがありました。
もちろんそれは最初から

と報告があった事ですが、その時点ではそれは

なことでした。
捕獲主さんも毎日心配してくれていた

@YzVSeuVqGXeeTkM
一晩一緒に過ごしただけなのに「あんなに小さな体なのに存在感がすごいですね…」と空っぽになったケージのお片付けをしていたら寂しい気持ちになったとおっしゃっていました。
これは悪い意味ではなく、こちらでお引き受けした後の「様子を知らせて下さいね」は社交辞令な事が多いのですが、今回の捕獲主さんは「飼い主さんは絶対に近くにいるはずだから」と捜索チラシが出ていないかご近所を見て回って下さったり、毎日、その子の様子を本当にずっと気にかけて下さっていました。
こちらからの「元気になってきていますよ」の報告にもその都度、本当に心から喜んで下さっていました。
飼い主さんから連絡がありました!

@UtA_and_aNimal
ここまで(これでもだいぶ省略しています)現場では見えない所でこんな風に多くの方が色々な事をして下さっています的な裏のお話をさせてもらってきましたが、皆さんお気づきの通り、私は何もしていません。
いったん整理しますね。
登場人物
- 捕獲主さん:フェレットを捕獲してくれた方/警察署に拾得者としての届け出はこの捕獲主さんです
- 保護主さん:あくまでも捕獲主さんの代理でお世話をしてくれている方/生体の命にかかわる責任を負ってくれている方
- 私:上記の流れ、事務手続き、対外的なことなど全ての流れを把握してる人/「何かあったら私に言って下さい」って保護的な色々に慣れてるだけの人
このように、今回は形式的なやりとりをするうえでも登場人物が多いです。
また、警察署によってその後の流れは違う(これは臨機応変に対応して下さるという意味です)ので、自身の時と違っても「こういうパターンもあるんだな」でお願いします。
本当に飼い主さんですか?が私の仕事

@yukipafe
どんな時でも「警察署でお巡りさんに立会ってもらって返還」が基本中の基本です。
が、この時は(諸事情は省きます)捕獲主さんから「飼い主さんだと名乗る方が手土産を持ってお迎えに来られています」が第一報でした。
捕獲主さんには「その方に直接こちらへ連絡するように伝えて下さい」と伝え、すぐに保護主さんに「お迎えがありました。お返しの準備をお願いします。」と連絡をいれました。
これは経験上の勘でしかないのですが、その方は十中八九、飼い主さんに間違いないです。
だからと言って「はいそれじゃ」とはいきません。
本当に飼い主さんなのか間違いなく飼い主さんなのかを確かめなければいけないし、本当に飼い主さんなら、もう二度と逃がしてしまう事がないようきちんとお話をさせて頂かなければいけませんからね。
かと言って、警察署の窓口、捕獲主さん、保護主さん、私、で時間の調整をしてからのお返しではそこから更に数日かかってしまいます。
必死で探し続けてやっとたどり着いてもうすぐそこまでお迎えに来てくれているパパママにその子だって早く会いたいに決まっています。

翌朝まで待たなければならない警察署での手続きは「解決しましたと報告する形で私が明日やります」として、そこからすぐにまずはその子を一刻も早くお家へ帰してあげるための準備を始めました。
保護活動者は意地悪ばっかり言いますよ!保護活動者だから!!

@shivainu23s
適正飼養の啓発というのは出来ていない人にとってはかなり耳が痛い話です。
とくに「逃がしてしまった」という負い目がある中で、そこをズバリと「不適切な飼養環境だからそうなったんですよ、その自覚はありますか?」と他人に指摘されるんだからたまったもんじゃありません。
逃がそうと思って逃がしたわけじゃないことくらい分かっているし、必死で探し回っていたことだって、全部ぜんぶ分かっているけど、「きちんと対策してこの子達の飼養に適切な環境を今すぐ作ってあげて下さい、今すぐに飼い主としての責任を果たしてあげて下さい!」を言わなければいけないんです。
私は保護活動者だから。
「んもう、ダメじゃないですかぁ、気を付けてあげて下さいねぇ」ってゆるゆると和やかに単なるお人よしの良い人でいたいですよ、私だって。
でも、それじゃあ、次は外で死んでしまうかもしれないから、「もう絶対に逃がしちゃダメ!」ってしなきゃいけないんです、私は。
「うるせえ事を言いやがる保護活動者の世話になんか二度となりたくないからもう二度と絶対に逃がしたりしない!!」と思ってもらえりゃ上等です。
と、最終的にはそこへ繋げなきゃいけないんだとこちらも気負っていますから、どうしたってチクチクツンケンなっちゃうんですよ…
って、その詳細をチクチク書こうかと思ったけど、それはまた今度で良いね。
帰れたんだから。
飼い主さんの証拠
先ほど「これはなんだ?」の特徴がある子だと書きましたが、「その子の特徴を教えて下さい」と言っただけのこちらからの問いに、その特徴が説明付きでありました。
飼い主さんしか知らないその子だけの特徴です。
間違いなく飼い主さんだと分かったうえで、チクチクチクチクお説教をして、「外に出た子と生きて会えるのは奇跡でしかないんですからね、次はないですよ」で〆ました。
返還時に、病院代やご飯代その子にかかった実費にお礼まで頂いたとの事で、それは有難く、飼い主さんのお迎えがなかった子達の病院代に充てさせて頂きます。ありがとうございました。
今日のモデルさん達
というわけで、今回は無事に帰れた子のお話ですが、その子がシルバーミットだったので、可愛いシルバミちゃん達にモデルさん登場してもらいました。
※実際のその子のお写真はありません。
御覧の通り、シルバミちゃん達はお洒落さん揃いなので、「その子の特徴を教えて下さい」と聞いた時、「シルバーミットです」では通らないです(笑)
ちゃんと「特徴」を教えてもらうまで「飼い主さんとは認められません」って私は言いますからね。
フェレット泥棒には一番手強い個性的なカラーかと思いきや、預かり情報として写真が出てしまったら、もうどうにもならない諸刃の剣。
参考:『実際にあったフェレット泥棒未遂』の話
だから絶対に外へ逃がしてしまう事がないよう、もちろんシルバミちゃんだけじゃないですよ!どの子もみんな、絶対に絶対に脱走させないよう、くれぐれもよろしくお願いしますね。
カワイ子ちゃんたち、モデルさんありがとう♥
健やかなニョロニョロ生活を☆彡