X(旧Twitter)上で、ほぼ同時期にブワァっとなっていたからか、「~のおうち」と名前が似ているからか、3連休中で多くの方がネットを見ていられる時間が普段より多かったからなのか、とんでもない数のDMが届いていてちょっともうどうにも収集がつかないので、ここでまとめての回答とさせて頂きます。
これについても今回のこの1回きりとします。
まず初めに…
A. 「ことりのおうち」さんと、いたちのおうちは全く別の団体です
「ペットのおうち」という大きな母体があって、フェレットはいたちのおうち、鳥はことりのおうち、みたいなシステムなんだろ(という推測のもと、だからどうこうしなさい)的なお話をされている方もいましたが、
A. そういうシステムではないです
以前、鳥の保護をメインにされている保護団体さんからフェレットをお引き受けした事があるので、そのお話と混同されてるのかなという方もおられましたので、それについてはこちらをお読み頂ければと思います。
フェレット預かり保護(飼育受託)期間満了「こはねちゃんと申します」諸々のご報告(9月10月精算分)
令和2年8月5日より、「善良な管理者の注意をもって、適切に保管(飼育)します」という契約の元で警察署より飼育委託を受けて ...
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今日のお話はフェレット、鳥、犬、猫、うさぎ、何々…と特定の動物種に限ったお話ではなく「愛玩動物全般における保護のお話」です。
今は動物保護業界の過渡期にあると私は思っています。
(※DMで「保護業界」と使われている方がたくさんおられたので、私もそのまま使わせて頂きます)
これまでずっと業界として、なあなあにしてきた/されてきた事が、それではちっとも良くなっていかない/良くなることの逆に妨げになっている、として色々と改善されるべき、良い時代の幕明けだと感じています。
なので、「よくある活動者同士の小競り合いの話ね」みたいな目線ではなく、これまで保護界隈で起きていること(なぁなぁで済まされてきたこと含む)のリアルを知って頂くための、皆さんが皆さんの中で、これからどうしていく事が動物たちにとって良い社会になるのかを考えて頂くきっかけになれたら良いなと思います。
ちなみに、ここから先のお話は、「界隈の話」として「あくまでも私の個人の意見」になります。
保護活動者同士の小競り合いというレベルの話ではない話
(例)
保護団体Aの飼養環境が悪いと多くの通報を受けた保護団体Bが、それらの事情を伏せてあくまでも里親としてAより正式な譲渡の形(有償)で生体を入手した。
その子達がB主催の譲渡会でAからの譲渡費用より高い金額で里親募集に出されていた。
※団体Aも団体Bも有償譲渡(生体販売)を行える立場にあり、その資格をそれぞれがきちんと有しています
※団体Bには不適正飼育者や廃業ブリーダーなどからレスキューしている実績がきちんとあります
このお話であなたが一番「これはダメだろう」と感じた部分はどこですか?
通報されるほど飼養環境が悪いという部分ですか?
生体を入手するために身分を隠して里親希望者になりすましたという部分ですか?
保護っ子として再譲渡しようとしたことですか?
それとも、再譲渡を目的に生体を入手したことですか?
有償譲渡がそもそもの問題だと思いましたか?
それとも、譲渡費用の上乗せが問題なんだと思いましたか?
それとも、まだ他の部分ですか?
ことりのおうちさんの件について私に届いたDMには、色々な角度からのさまざまな意見があって、それはその方の立場や生き方の違いなのか、生き物に対する気持ちや考え方、保護についての考え方や携わり方、の違いなのか、1つの事柄についてのお話なのに皆さんそれぞれがメインとされているポイントがバラバラで本当に「あぁ、これはそういう風に解釈される事があるのか。だからこの意見になるんだな…なるほどなぁ。」みたいな、その一つ一つが無関係な立場にある私にとってもたくさんの気付きや学びとなりました。
それはそれで良かったなという気持ちも少しありますが、一つ、
「飼養環境が悪いという噂が立てられるようなことりのおうちにも問題があるんじゃないか」こちらに関しては
A. 問題があるか無いかはご自身で環境の確認をしに行くなどしてきちんとご自身で判断してからの発言にしないと、噂話に振り回される無責任な人間だとあなた自身がそう見られてしまいかねない発言はやめた方が良いですよ。
昭和の動物愛護精神、令和では「愛誤」
この記事を書いている最中のちょうどいま、「(相手方の)弁護士さんからお手紙がきました」と投稿があがりました。
ので、これ以降は、本当にザックリした「よくある話」となります。
ぶっちゃけ…「レスキューが必要なレベルで環境が悪い保護団体」はあります。
キャパオーバー(レスキューホーダー化)などでパンクしている事が誰の目にも明らかな状況であれば、行政に入ってもらったり何をしたりと手の出しようがありますが、「微妙な状態」では何もできませんから、それこそ、泥棒みたいに忍び込んでとってきたり(窃盗)、だまして取ってきちゃう(詐欺)みたいな事でも「保護だ」って、2~30年前くらいまでは露骨に横行していたやり方がいまだに通用すると思っている保護団体もあります。
もちろん、さすがにそこまであからさまな事をする活動者の話はもうあまり聞きませんが、「可哀想な動物のため」っていえば、嘘をつく事も、夜中に他人様の敷地内に入り込む事も、全て許されると思ってるんじゃないかって活動者の言動は皆さん少なからずどこかで一度は目にした事があるんじゃないかと思います。
ドーベルマン脱走事件は実は保護団体による窃盗事件でしかもニュースのインタビューにも堂々と顔出し出演していた - Togetter [トゥギャッター]
よくそれでインタビュー出れたよな
togetter.com
それが良いか悪いかのお話しの前に「環境が悪いの基準」をきっちり万人を納得させられる言葉で説明できる方っていますかね?
いないですよね、そんなもの無いんだから。
誰かはこれで良いと思っていても、別の誰かが悪いと思ったらそれは「悪い」になっちゃうし、まぁこれは、飼養環境に限らず「万人が納得するもの」なんてこの世に存在しないっていったん〆させて頂くとして
「1匹だけ可愛がってもらえてない虐待されてる猫」の話
野良猫の多い地域で、自宅の一部を猫の部屋として改装して野良猫たちを拾ってきて(ご本人の言葉です)は綺麗にして里親さんを探して繋げる、ご縁がない子はそのまま自宅でお世話を続ける、「自分はボランティアとかそんな格好いいものじゃない。ただ猫が好きなだけ」と言っていた完全に個人の方のお話なのですが、ご近所では「猫の家の人」ってちょっと有名な方でした。
そんな彼女がある日、突然、猫を全匹「保護団体の方に引き取ってもらうことにした」と言い出しました。
少し前から「この家の住人が猫を虐待してるかもしれないと通報があったんですが、この猫を見たことはありませんか?」とご近所に聞いて回る人たちがいる事はご近所さんから聞いて知っていたと。
それは一匹だけ猫たちのお部屋ではなく廊下に置かれた大きな布のかかったケージにいる疥癬の治療中のネコちゃんの写真でした。
疥癬はうつるから他の子とは一緒にできません。
まだ連れてきたばかりで慣れていない子だし来客時にはケージに布をかけていたそうです。
画質の悪いあのパカパカ携帯の時代のことで、あれで隠し撮りをしたのでしょう。
誰にいつどうやって撮られたのかすら分からない写真。
ただでさえ薄暗い廊下でうすぼんやりと写った疥癬の子は「虐待されてるかも」と説明されながら見せられたら知らなければ確かにそう見えると思います。
最初はみんなが「お宅の悪口を言って回ってる人がいる」と親切に教えてくれていたはずなのに、いつの間にか気が付いたら「この家の住人は猫を虐待してる」という噂(デマ)に変わってしまっていたと、「住みづらくなってしまった。だから猫たちを手放すんです」と言っていました。
デマって本当にそんな簡単なことから始まるからめちゃくちゃ怖いものなんですよ…
この話を聞いても、まだそれでも「そんな噂を立てられる方にも問題がある」って言いますか?
そもそも、噂を立てられるような事をしたのは彼女じゃないです。
噂話になってしまうような種を落としたのは、そんな風に聞いて回ったら誤解を招くかもしれないと最悪の事態を想像できず、無責任な言葉を使ってご近所付き合いを引っ搔き回したその人たちです。
ただ、その人たちだって彼女を陥れようと思ってそんな事をやったわけでは無いし、そこに悪意や悪気はまったく無かったんですよ。
純粋に、虐待されてる猫がいるなら助けなきゃと思っていただけなんです。
…って事で終われれば良かったんですけど、その人たちは、あっちこっちで手を変え品を変え、野良猫からお家の子になれるよう練習中の子たちを個人さん達から集めてきて「野良猫の活動をしています」を謳う起ち上げたばかりの団体でした。
外の子の捕獲から譲渡までの道のりは果てしなく遠いです。人手もお金も時間もかかります。
起ち上げたばかりの団体では寄付金を集める力もないし、その行程をすっ飛ばして「保護活動やってます!」がしたかったのでしょう…
目的と手段が入れ替わってるのは愛誤ですらないって話
実績アピールのために「保護生体の数(保護の件数)」を必要とする所(それが必要だと思ってることがもうダメなのですが)は、できるだけ簡単な方法で生体を集めようとします。
この実績アピールには「支援金目的」はもちろんですが、「強すぎる承認欲求」というものも入ります。
支援金目的は説明の必要はないと思いますが、強すぎる承認欲求のための実績アピールで分かりやすいお話としては、ショップから購入してきた子を堂々と「保護っ子」としていた保護活動やってますの人がいました。
何の問題もない普通の里親募集に片っ端から声をかけて引き取って捏造した可哀想エピソードを付けて「保護っ子」としている人がいました。
いたちのおうちから正式に譲渡した健康な里子を心臓病の「保護っ子」としていた人がいました。
支援金目的や承認欲求云々についてはそれ自体が良い悪いの話は置いておいて、それが目的になると絶対にすぐにパンクするから、目的(保護)と手段(支援金を集める、承認欲求を満たす)が入れ替わっている活動を保護活動だと認めてはダメなんです。
栗城史多氏と神様の多頭飼育崩壊~無責任な応援は人を追い詰める~
今日からちょうど6年前の2018年5月21日 とある著名な日本人登山家が亡くなりました。 彼の名は栗城史多(くりきのぶか ...
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ちょっと長くなってきちゃったんで、どうしてこんなに色々な「例」をだしてお話を続けてきたのか、そろそろまとめに入ります。
「助かった命があるんだから良いじゃないか」の結果が今の保護業界
上記で例にあげたたくさんの「問題」とされるお話は規模の大きい小さいはあれど昭和のあの頃からこれまで日本全国のあっちこっちで実際に起こってきた事です。
それら例え、環境が悪い所であっても、身分を偽ってまで生体を入手する所であっても、有償譲渡の譲渡費用や収支報告が不明瞭な所であっても、盗撮するような所であっても、泥棒みたいな事をしていても、詐欺まがいの事をしていても、それが支援金目的であろうが承認欲求のあれであろうが、その全ての場所から幸せに繋がった命があることは事実です。
「大切な家族とのご縁を頂きました」と感謝している方々がおられます。
だから、それら何某かの問題が明るみになった時、「そうは言っても助かった命があるんだから良いじゃないか」という声が上がります。
問題提起をした側に「悪い事をしたのかもしれないけど救われた子がいるんだからそれ以上もう大きな騒ぎにするな」「あそこが無かったら自分は家族と出会ていなかった。恩人を責めるな」と、まるで、問題提起をしたことが悪い事かのように言う人が出ます。
そうやって、助かった命を盾に不正や犯罪行為をうやむやに葬り去ってよしとする、保護とはいえない案件もまとめて保護扱いでよしとするそういう風潮がずっと続いてきた、その結果が、不透明でグズグズがまかり通る、何やってんだか分からない人でも名乗ったもん勝ちでやりたいように好き勝手な事がやれちゃう、そのしわ寄せは結局どこかが請け負わなければならなくて、法令遵守で真面目に活動しようとすればするほど損してバカを見ることになる、今のこの保護業界の現状です。
これまでにも何度かそういうお話はしてきましたが、私は色々な団体に所属したりお手伝いをしたりしてきました。
命のためにを理由にいつかコソコソしなきゃいけなくなるような事をしている所はそのまま潰れるかグレーなズルい事をし始めてそのうち真っ黒になっていくのを見てきました。
助かった命の裏で助けようともしてもらえなかった命たちを見てきました。
もちろん、まっとうな活動をしているからと言って全ての命を救えるわけではありませんが、少なくとも、盾になれそうな命の裏で価値がないとされ蔑ろにされる命がでることはないです。まっとうな活動をしている所にはそもそも「盾」なんて必要ないのだから。
…って、ここまでお読み頂いた皆さんが今どういうお気持ちで何をどうお考えになるかは分かりませんが、それぞれが出された答えが正解です。
だって、「そうは言ったって」って、許容しなければ救えない命が出る現実はまだそこここにあるわけですから。
違法行為に寄り添わざるを得ない保護について 誰が悪い論よりどこを正せば無くなるのかを考えていこう
先日、Twitter(現X)でこのような 投稿がされました。 投稿から4日目の今日現在で152万を超える閲覧数に400件 ...
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ただ、私は勝手に名乗って好きな事だけをやっている趣味の個人ボラでは無く、いたちのおうち(東京都から認証を受けている法人)として、ダメな事はダメだと言わなければならない立場にあります。
なので、これまでもこれからも、犯罪行為や条例違反を「そうねそれじゃあ仕方ないですね」なんて大っぴらには言えないし言わないですから、どうぞご理解くださいね。よろしくお願いいたします。
今回の騒動がどのような形で解決となるのかは分かりませんが、同じ保護業界に身を置く者として一羽でも多くの鳥たちの幸せを願いながら静かに見守っていきたいと思います。
保護を必要とする子が0になるペット社会を目指して。