この子は遺棄じゃないと思う。
頭がよくてお利口さん、人懐っこくて、穏やか、いわゆる誰もが求めるような理想の、絵に描いたようなザ・飼いやすいフェレットのお手本みたいなこの子が遺棄される理由が分からない。
考えられるとしたら年齢や病気…が理由にしても、この年まで(推定7歳)育てた大切な我が子を遺棄なんか逆にするわけが無い。
飼えなくなった理由があるなら里子に出すはず、だってこんなに可愛いんだもの。
だからもしかしたら、飼い主さんは高齢とかで探し方が分からないだけなのかもしれない…
って、これは私がずっと、最初からその時までずっと、この子に対してそう感じ、周りにもそう言ってきていた事です。
例
今日のお話しはアニマルコミュニケーションをメインとした内容になりますが、これは今まさに「ペット飼育者からそういう人が増えてきている」避けられそうもない事態として保護活動者達が恐れている問題の一つです。
もちろん、そういう事を危惧してアニコミュをお願いしたわけではありません。
保護活動とは全く関係無く、ただ親として「うちの子の声を聞いて下さい」って普通にカウンセリングをお願いしました。
お話しを聞いて頂いたアニマルコミュニケーターは、当ブログでは毎度お馴染みの「キキのテーブル:前田理子さん」です。
理子さんについてはこちらなど
入院中のフェレットと…【魂はずっとそばにいる/前田理子著 発売のお知らせ】アニマルコミュニケーションのお話し
今日のお話しは、えるが突然、体調を崩し、「死んじゃうかもしれない、どうしよう、どうしよう、急がなきゃ、急がなきゃ、急いで ...
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そこから見えてきたその一部分だけを今日はお話しさせて頂きます。
たった一人のあなたへ向けて、いつかこの子の思いが届きますように…
フェレットを捨てたという事実は変わらないし許さないけどずっと大切にしてくれていた事が分かって良かった
フェレットだけに限らず、ワンちゃんや猫ちゃん達でも「飼い主を舐める」のには理由があります。
もちろん一番多いのは「感情の表現」です。
日常の挨拶みたいな軽い感情表現から、「大好き」を伝えてきてくれているもの、そして、質問でも書いた「分離不安(寂しいなど)の現れ」等々…
(「ごはんちょうだい」なんかのそれもここではこの感情表現の中にいれさせて頂きます。)
次に、栄養面に問題があるときや、内臓に障害があるとき、もしくは脳の病気を患っている時などに、食べられないもの例えば壁紙や柱、公園の石ころ等がよく聞く例ではありますが、その時に飼い主の手や足を味わおうとする、いわゆる「病気の症状」があります。
フェレットに関しては「何でも口に入れたがる」のはそういう習性が強い子である場合の方が多いのですが、だからこそ誤飲・誤食には特に気を付けてあげて下さい
フェレット誤飲・誤食【消化管内異物について】応急処置でやってはいけない事
フェレットの事故で一番多く、また、その原因がそっこら中にあるのが「フェレットの誤飲・誤食による消化管内異物」です。 これ ...
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また、飼い主のハンドクリームやボディクリームの匂いに釣られて舐めてしまっている時があるので、それには気を付けてあげて下さい(この子達にとって良くない有害な物質が含まれている物もありますから)ね。
リーディング前に理子さんから確認として「そういう事はありませんか?」と聞かれましたが、月一で健康診断を受けているので、その頃に急に何かの数値が変わったなどの疾患には特に心当たりがなく、また、私がクリームを塗った状態でこの子達と接することは100%あり得ないので、「無いです」とお答えしました。
これより、そのリーディング結果(一部)となります。
私をずっと舐めるのは、あなたにずっとそうしてきてたから
理子さんははっきり最初にそう言いました。
その後すぐ
その可愛がられ方が必ずしも良い飼い方とは言えないかもしれませんが虐待されていたとかネグレクトだったとかそんな事では決してなく、本当に愛されていたし、こはねさんもその方の事が大好きでした。
泣いているわけでは無さそうだったけれど、ところどころ言葉に詰まっている様子から胸に何かこみ上げてきているんじゃないかと感じました。
涙声に変わっていました。
先ほどお伝えしたようにその方は体調というか精神のバランスを崩す事が多かったんですけどね、そんな時、こはねさんは、その方を「大丈夫?」って心配して、「大丈夫だよ、私がいるよ」って一生懸命、手や足をペロペロペロペロ舐めて励ましていたんです。
それはもう、本当に一生懸命にです。
顔をじーっと覗き込んでいる様子の後には涙のしょっぱい味も感じました。
それは7年間ずっとなんです…
確かに、こはねは、いつも私にくっついて歩いています。
こはねちゃんは
人が歩くとずっとククククッ♪歌いながらピョコピョコ横をくっついて歩く
立ち止まると顔を見上げてくる…可愛い pic.twitter.com/Guf2EoOAI4
— 滝川(いたちのおうちの中の人) (@MaikoTakigawa) December 3, 2020
犯罪行為を許す事はできないけどそうするしかなかった事情は痛いほど分かりました
「7才のフェレット」として考えたら、それは普通です。
加齢によって少しずつ体がそうなっていくのは生き物として自然な姿で、フェレットの7才というのはもうとっくにそういう年齢ですからね。
私の所へ来た時にはすでに手術を視野にいれた治療を考えなければいけないほどの歯槽膿漏と副腎疾患グレーの症状が出ていたこはねちゃん。
ただ、「もう何もしてあげられない、ごめんね」って謝っている飼い主さんを「大丈夫だよ」って慰めて励ましているこはねさんが視えました。
一度だけじゃなく…
精神的にバランスを崩しやすい一人暮らしの若い女性、もともと余裕がある方でも無ければ、病院通いが頻回となってくる年齢のフェレットを抱えて、色々と制限され規制され、もし自粛を強いられる職業の方であったとしたなら、このコロナ禍での生活はどんどん困窮していくばかりであっただろうと想像できます。
病院で今後のお金の話しを聞きながら泣いている飼い主さん、帰ってから一人で泣いてる飼い主さん、自分にごめんねと泣きながら謝る大好きな飼い主さんを口が腫れているのに痛いだろうにそれでも一生懸命ペロペロペロペロ舐めて「大丈夫だよ」って励まし続けていたというこはねの姿を声を震わせながら教えてくれた理子さん。
一向に終わりの見えないコロナ禍の中、もう限界まで、すでにギリギリだった彼女が「何かしらの治療を始めなければこの子の体はもういくらもたない。早くしないと死んじゃいますよ」に折れてしまったんだと聞く前に分かりました。
「ちょっとすみません」と声を詰まらせた後、「ふぅ…」と小さく一呼吸して
確認したわけじゃないけれど、理子さんがそれを知っているという事は、こはねがそれを見ていたということ。
それはつまり、家を失った時まだ彼女はこはねを連れていたということ。
家をなくしてまで、それでも最後まで、その手を放せなかったということ。
私の所へきた最初のあの健診時、この子に両方ともの手術を受けさせてあげるとしたら(手術が可能かどうかは別として)「入院費やその他も合わせたら多分80万円くらいかと」って見積もりでした。
80万円どころか自分の生活さえままならず、もうどうにもしてあげる事が出来ないと分かっていても最後まで放せなかったその手を、泣く泣く、泣く泣く放した時の気持ちはきっと、私たち保護活動者がもっとも嫌う、なんなら今では「犯罪者の言葉」としてキャッチーに使われてさえいる
「誰か良い人に拾ってもらえますように」
だったんじゃないかなと…これは私の推測です。
動物の遺棄は犯罪です。
保護活動者として、善良な一般市民として、いくらどんな話しを聞こうが、犯罪行為を「それじゃあ仕方ないですね、許しましょう」だなんて私には言えません。
そもそもそんな権利は私には無いですからね。
情状酌量の余地があるとか無いとか、それは法治国家の我が国では裁判官が決めることです。
いかなる理由があろうとも動物の遺棄は犯罪行為、私は動物の保護活動者。
動物の遺棄という犯罪行為を個人的な私情や勝手な見解で見逃したりする事は出来ません。
でも…
うちの子が言うから
とこの時、理子さんにはまた「ごめんね、私は何もしてあげられない」と泣いている前の飼い主さんの様子が視えていたそうです。
だからまた「前の飼い主さんは何もしなかったんじゃなくて、してあげられない事があっただけで愛情が無かったわけでは決してないんですよ」と…
そこから私を舐める理由についてまで紐解いてお話しを頂きましたがそれはいったん置いておくとして
するとこはねは、その質問には答えずに
お姉ちゃんはご飯ちゃんと食べてるかなぁ…元気なのかなぁ…生きてるかなぁ…
って、理子さんにお願いをするというより、独り言みたいに言っていたそうです。
こはねが私を舐めるのは、この家の子として馴染んで(保護っ子から正式に私の子になって~等という人間の数字や感覚ではなくこはね本人の感覚で居候というかお客さん感覚が抜けてやっと素が出て)きた頃にちょうど暖かくなってきて私が薄着になって、「人の肌」を見たら、お姉ちゃんを舐めていたあの頃の習慣のようなそれを思い出してついやってしまうとのこと。
もちろん私に対する感情の表現でもあるのだけれど、そうしているうちに、お姉ちゃんの事を思い出して心配になって、自分はもう大丈夫だからお姉ちゃんにも生きていて欲しいって思いが出てきて舐め続けてしまうのだと…
分かりますか?
私がいくらあなたを許さないと思っていたって、うちの可愛いこはねがあなたを心配だと、あなたに生きていて欲しい、って、そう言っているんです。
「伝える事は出来ないのかなぁ」なんて、うちの子が言っていると聞いたら、どうにかして伝えられやしないかと親としては考えるわけですよ…
届きますように…
あなたがした事を私は絶対に許しません。
仕方がなかった事情は痛いほど分かるけど、でもだからって、保護活動者としてどうしたって許すわけにはいかないのです。
許すわけにはいかないし、許す気なんか無いけど、でも、どうにも仕方がなくなってしまったあなたの頼るべき場所に私たち活動者がなれていなかった事を謝ります。
そんな形で手を放すしか出来なくなってしまったあなたに「頼る場所がある」って届いていなかったのは私達の活動がまだまだ未熟だからだって、だからそれはごめんなさい。
もっともっと頑張りますと約束します。
動物を遺棄したあなたにはもう二度と動物を飼って欲しくないけど、元気になって、生活にも心にも余裕ができたら、保護ボラスタッフとしてお手伝いに来て欲しいなって思います。
それは、うちじゃなくても構いません。
もうあなたのように、悲しい思いでその手を放さなきゃいけない人を出さないペット社会にしていくお手伝いをして下さい。
罪滅ぼしとかそんなんじゃなくて、あなたにしか出来ないこと、あなただから出来る事がきっとそこにはたくさんありますから。
だからどうか無事でいて下さい。
どうか元気になって下さい。
この子はもう私が絶対に幸せにしますから、あなたも幸せになって下さい。
うちのこはねを7年もの間、大切に育ててくれてありがとうございました。