野村獣医バルコニーにて

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フェレットの肥満は春だから?エピゲノム記憶だとか自律神経だとかってきちんとした理屈をもって考えてみる

さすけの健康診断に行ってきました。

数ヶ月前に「これ以上は増やさないように体重に注意してあげて下さい」と言われた、もうすぐ(5月)で2歳になる男の子です。

病院でそう言われた時から、次に(フィラリア症のお薬をもらいに)くる時には詳細な検査、血液検査やその他をお願いして、さすけの体の状態を調べてもらおうと思っていました。

このままでは2㎏を超えてしまうんじゃないかと慌てたあの日から、あれこれと試行錯誤しながら順調に体重を減らしながら迎えた当日の体重は

1860g(2019.04.09)

うん、順調!順調!ダイエット上手くいってるって先生に報告しよう!

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ダイエット(体重を増やさない事)に成功してるから今度は太った原因を考える!

太ったから出来なくなってしまった事が筋肉をつける事でまた少しずつ出来るようになってきて、体重を増やさない努力もちゃんと目に見える数字として結果を出してきているので、それ自体は「間違ったやり方ではない」と自信はありましたが、そもそも何で、さすけだけが急に大きくなってしまったのか、それがどうにも不思議でした。

普通に考えたら、多頭飼育で一人だけが大きくなっている時には「他の子が食べる分を食べてしまっている」が一番に挙がるのですが、我が家では、一人1つずつ各自が自分のお皿で食べているのでそれはありません。

いつもさすけの方が先に食べ終わるのですが、えるちゃんの分を横取りしたりせずに、こうして食べ終わるのを待っています。

もちろん、さすけにだけ量を考えずにたくさんあげているなんて事もありません。

規定量が明記してあるフェレットフードではなく、飼い主判断でお肉ご飯をあげている今はその責任として、ちゃんと「男の子が食べる量」と「女の子が食べる量」を計算してあげています。

いつでも何でも二人一緒に同じようにしているので、さすけにだけ何かを特別にあげるなんて事も無いですし、よくある「オヤツのあげすぎ」についても、いわゆるオヤツと呼ばれる物を我が家ではそもそもそんなにあげていないので、それも当てはまりません。

さすけの体では何が起きているのだろうか…

先生がカルテを見ながら言いました。

お医者さん
お医者さん
そう言えば、さすけちゃんは最初、今からでは信じられないくらい小さかったんですよね。
そうです。生後7か月の男の子と聞いていた割には…
アタチはなこ
アタチはなこ
お医者さん
お医者さん
そこから1週間で+200g…うーん、この時から急に(体重が)増えるヒトではあったんですよねぇ…うーん…

※その当時のそれについては「特別な事ではない」とされています。さすけをお迎えした時の事と一週間後のお話し⇒『いつまで里子って言えば気が済むの?もううちの子ですけど…何か?

(もしかして…)
アタチはなこ
アタチはなこ

乳児期のエピゲノム記憶が成人期の肥満に関連する仕組み(人間用の研究だけどデータはマウス!)

去年(2018年)だったかいつだったかに、なんかそんなような研究結果が発表されたとか何だとかってどっかで見たような覚えがあるなぁ…って、超うろ覚えで適当すぎる記憶でしたが、その覚えだけはあったので、今、改めて調べてみたら、やっぱりありました!

国際科学誌Nature Communications(ネイチャー コミュニケーションズ)2018年2月12日午前5時(米国東部時間)で発表されたこちらをご覧下さい。

「ゲノム」とは生きものがもつDNAの塩基配列の情報だと生物の授業で習いましたね。

でもってこの「エピゲノム」というのは、そのDNAの塩基配列を変えることなく、遺伝子のはたらきを決めるしくみ(エピジェネティクス)の情報の集まりを指す言葉です。

上載の表があまりにも見えずらい!詳細を!という方は東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子細胞代謝学分野、もしくは、九州大学大学院医学研究院病態制御内科学分野(第三内科)で、その研究成果が発表されていますので、是非そちらからお調べ頂けたらと思いますが、要するに

  • 胎児期から乳児期かけての栄養状態が、成人してからの肥満や2型糖尿病などのなりやすさに影響することが明らかになった
  • 妊娠期の母親が過栄養や栄養不足の場合には、生まれた子供は成人期に2型糖尿病などを発症する危険性が高まるという

みたいな研究結果が書かれているだけです。

だけって言い方は適切ではありませんけど、今ここでお分かり頂きたいのは

赤ちゃんの時(胎児期も含む)の環境が、大人になってからの体質に影響を及ぼす事がある(マウスのデータ)って事だけです。

うちへ来た時には小さかったさすけ…

その事だけを持ってきて、もっともらしい話しを作ろうと思えば簡単に出来ますが、私は、前の環境についてを勝手な憶測で作り上げて、さすけを「可哀想な子」にするつもりはありません。

そんな事をしたって何の解決にもならないから。
アタチはなこ
アタチはなこ

さすけがえるちゃんのご飯を奪ってまで食べてしまうなど、何かトラウマを抱えていそうな問題行動があってのそれであれば話は別です。

もしそうであった場合には、きちんとしたプロのアニマルコミュニケーターさんを頼って精神的なアプローチからもその問題に取り組む事を考えていたと思います。

が、先ほども述べたように、さすけは「規定量しか食べていない」んです。

さすけは可哀想な子なんかじゃないし、それが「さすけの体質」として事実を正確に受け入れる。

その上でどうしてあげたら良いのかを考える事が飼い主として「まずしてあげるべき事」だって私は思っています。

もしかしたら、さすけがお腹にいる時に、お母さんニョロがご飯をたくさん食べちゃったとか、風邪をひいちゃったとかであんまりご飯食べられなくなっちゃったとか、考えられそうな理由は他にもたくさんありますからね。

可能性の1つとして「そうかもしれない」が分かったら、「どうしてそうなったか」はもう後回しで良いです。

そもそも遺伝子レベルの心配をしたところで、それが確定だとしても、してあげられる事は対処療法しかありませんからね。

さすけは可哀想な子なんですと安いポエムを書いたところで、さすけの体には1㎜も何も関係無いですから、私はポエムを綴りません。

余談ですけど、結構、付き合いの深いリアルニョロ友に、ついこの前、うちの子達には「悲壮感が無いし、飼い主のあなたが言わないから里子だって分からなかった」と言われて、なぜだか…何にだかは分かりませんが「勝った!」って思いました。

うちの子達からはちゃんと幸せだって他の人にも伝わるくらいにじみ出ているんだって誇らしくさえ思います。

まぁ、それは良いとして、さて次は…

じゃあ、どうしてあげたら良いのかな。

ホルモンの異常を疑ってみる

お医者さん
お医者さん
考えられる原因の1つとしては、やっぱりホルモンの異常なんかもありそうですね
ですよね…
アタチはなこ
アタチはなこ
お医者さん
お医者さん
だからといって今すぐにどうのこうのという事は無いです。あくまでも将来的にその不安が出てくるかもしれないというお話しです。

いつもと同じように丁寧に丁寧に触診を続けながら先生が言いました。

副腎が腫れているとかそういう事は今はまだないそうで、それは安心しました。

私は古いタイプのフェレ飼い脳なので、このご時世でもまだ頑固なまでに「フェレットはみんな、副腎疾患予備軍」という不安思考が拭えなくて、ホルモン(という単語を聞いただけで)=副腎疾患とすぐに不安になりますから、先生のその言葉には本当に安心します。

ただ、副腎が腫れていないというだけで、ホルモンのあれこれはあると思います。

春だから

その詳細は後述しますが、副腎疾患の症状が分かりやすく出始めるのは春先が一番多いってご存じですか?

春は自律神経が乱れてホルモンのバランスを崩しやすい

春は三寒四温といわれるように、暖かい日が続いたからって冬物を片付けた途端に寒い日に逆戻りしたりしますよっていう気候がなんとも不安定な季節です。

また、日中はポカポカ過ごしやすくても朝晩は冷え込みますよ!油断したらすぐに風邪をひくよ!って、もう、どう転んでも「気を付けなさい!」な季節です(書き手は現在、風邪っぴきです)

どんなに気を付けていたって風邪をひかないってだけで、体には多少なりともその影響はあります。

える
える
この時期に体調を崩しちゃう子が多いのはそういう事が関係しているのかもね

その影響(気温の変化)に体が対応しきれなくなると、自律神経のバランスが乱れます。

このバランスが乱れるというのは、自律神経の切替がうまくできなくて、そのバランスが乱れている状態の事をいいます。

バランスが乱れたいわゆる緊張状態が続くと交感神経が継続して高い状態になります。

交感神経が高い状態にある時というのは、我々人間でいうところの「血行不良による肩こり・首のこり」などのそれ、いわゆる「血管が収縮されている状態」にあったりします。

要するに、そんなこんなで、「自律神経のバランスが乱れる」という事は内臓機能やホルモンバランスに影響を及ぼすという事になるのです。

そんなこんなあれこれは全部

春だから

なのです。

様子見を続けましょう~なるべくストレスを減らしてあげる工夫~

詳細な健康診断をお願いするつもりで行きましたが、先生と長い時間お話しをさせてもらった結果、「もう少し様子見でいきましょう」となりました。

これまでにも何度かお話しした事がありますが、私はもともと、検査を渋る側の飼い主です。

頭の中で「検査をすればある程度の事が分かる」と「検査をしたからって何でもかんでもが分かるわけじゃないじゃん」がせめぎ合うなかで、この子達のこの小さな体に針を刺したり、血を抜いたり、レントゲン撮影でどうちゃこうちゃは、なるべくならして欲しくないって考えの方が実は少し強いんです。

ちなみに、検査で分かる事はこんな感じです。

参考資料
クリスマスのフェレット
フェレットの血液検査とは?【検査の種類(抗体・抗原)の違い】生検(血液生化学検査)その他の検査でわかること

血液には、酸素や栄養分、免疫細胞を運んだり、老廃物を運び出すなどの多くの役割があります。 全身をめぐっている血液の検査デ ...

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だから、その日はもう相当な覚悟を持って「診てもらおう」と決心して行ったわけなのですが、触診によって「異常はない」という診断結果が出た事、そして先生が「そこまでして調べる事に今はまだ意味がないと思う」と、これは、今の飼育環境を詳細にお話しして、そのやり方で体重増加にストップがかけられているという事などから

「もう少し今の調子で続けてあげてみる感じで良いと思います」という結果に至りました。

その「今の調子で」の1つに、「ストレスからなるべく遠ざけてあげる」があります。

我々人間でもそうですが、ストレスの影響でホルモンバランスが崩れます。

実は、上記で挙げた「季節の変わり目」にある諸々、これは「ストレス」になるのですよ。

基礎知識
ゴムボールとフェレット
フェレットのストレスって何?どんな症状がでる?原因不明の下痢やその他が続く場合は要注意

私は、若い頃ちょっとした軽い事故が原因で、後にきちんとした病名がつくまで約5年以上もの間、病院を何度も変えて、その都度、 ...

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この中でいうところの「環境によるストレス」ですから、ぜひ覚えておいてあげて下さいね。

そして、そして、

「春だから」で終わらせない!

ホルモンバランスの事、副腎疾患のあれこれ、全部ひっくるめて、我が家はこんな風にして過ごしています。

お試しあれ
フェレット【副腎疾患が春先に増える理由】エルちゃんが副腎腫瘍予備軍かも?予防に毎朝ライオンキング

愛鼬ちゃんの副腎の摘出手術をされたという方からこんなメールが届きました。 はじめてメールさせていただきます。 うちの豆子 ...

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これからしばらくの間、一ヶ月に一回の健診に通いながら、さすけの体と上手に付き合っていってあげたいなって思います。

健やかなニョロニョロ生活を☆彡

-いたち(フェレット)
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