前回、耳ダニについてお話しさせて頂きましたが、今回は、それとよく似た(似て見える)症状の病気についてのお話しです。
前回も…というか、いつも書いてる事ですが
今日の記事をお読み下されば、
って、私がウザいくらいに言う理由がお分かり頂けるんじゃないかって思います。
あずさくん
ピンクのハンモックもよく似合う男の子♡
マラセチアは常在菌で皆が持ってるカビの一種
日常生活の中で、マラッセジア(マラセチア)属のそれらを細かく分ける必要はあまりないので、いつでもどこででもそれらが原因とされる時は「マラセチアが原因」と言われます。
でもせめてここでは少し、人のそれとこの子たちにいるそれとを分けてお話ししてみようかなって思います。
人が持っている常在菌ではカンジダ菌などが有名でしたが、「アトピー性皮膚炎と真菌の問題」として真菌が皮膚炎の悪化要因ではないかと論ぜられるようになったあたりから、このマラセチアも注目を浴び始めました。
例えば「マラセチアフルフル【学名:Malassezia furfur:マラッセジア・ファーファー】」
フルフルとは「フケ」の事なのですが、
アニメ「もやしもん」の「M.フルフル」と言えばピンと来る方も多いかもしれません。
この子です。
「もやしもんとか知らないよ」って方はこちら⇒脂漏性皮膚炎(肌カビ)にコラージュフルフル!効果や期間について
専門ドクターのQ&A:脂漏性皮膚炎・フケサイトなどにて詳細をご確認下さい。
また、カビイヤーライフさんには、その対策商品であるコラージュフルフルの事やそれだけじゃダメだよって事、人間用のマラセチアについて詳しく載っていました。
お困りの方はそちらも併せてご覧頂くと良いんじゃないかと思います。
マラセチアは皮膚炎の原因
マラセチアとは、真菌(カビ)の仲間で、形に由来させると「酵母」と呼ばれる種類のものです。
酵母ったって、パン作りに欠かせないアレじゃありません。
ワンちゃんの皮膚トラブルではわりと多いので、ワンちゃん飼いさんには耳慣れたモノだと思います。
現在14菌種が報告されているマラセチアの中で、犬猫の皮膚病で問題になるのはMalassezia pachydermatis(マラセチア パチデルマティス) という種類です。
マラセチア性の皮膚炎はあらゆる犬種で見られますが、好発犬種は、シー・ズー、コッカー・スパニエル、ビーグル、バセット・ハウンドなどだと言われています。
私の周りではミニチュア・シュナウザーの男の子と猫ちゃん(ニャン種不明)がそう診断されていました。
それら「ワンちゃんやニャンコスの皮膚炎」が耳(の皮膚)で起こればそれはそのまま「外耳炎」という扱いになります。
こちら:marzoとかーちゃんの日記お耳が臭い!「マラセチア」「ぶーちゃん成長日記」にすごく分かりやすい漫画があったのでお借りしてきました。
こちらはワンちゃんのお話しですが、これは当然フェレットたちにもあり得るお話しなのです。
マラセチアとは上手に付き合っていくべき菌
上記のように、マラセチアは常在菌の一種なので、全てを殺菌してしまいましょう!という種類のそれではありません。
変に怖がったりする必要も無く、一定数より増やさないように上手に付き合っていくだけで良いのです。
とは言っても、前回の耳ダニの記事でもお話しさせて頂いたように、外耳炎になってしまうと少し厄介です。
外耳炎は命にかかわるような病気では無いけれど、痒みは生活の質を下げます。
ストレスは無いに越したことはないですからね。
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そこにまで至らないうちに対処してあげなければいけません。
外耳炎とは
前回の記事では人間の耳を使っての説明だったのであれですが、フェレットの外耳道というのは、きしめんみたいに平べったくて細長いのです。
見た目は立っているお耳ですが、中は思ってる以上に通気が悪いのです。
だから、この子たちは「立ち耳の動物の耳掃除は不要」という一般論には当てはまらないのですよ。
その証拠に、それがまだあまり一般的には知られていなかったあの頃(20年くらい昔)には外耳炎のフェレットが多かったと獣医さんが言っていました。
いまだに「耳が立ってる動物だからフェレットの耳掃除は不要」としているサイトなどがまだあるようですが、それはカビが生えた情報だと思って読み飛ばして良いんじゃないかと思います。
そんな訳で、この子たちの外耳道は温度的にも湿度的にもカビ(真菌)にとって格好の住みかとなり、そのカビによって引き起こされる外耳炎を「真菌性外耳炎」と言います。
他にも、細菌性外耳炎(細菌の感染により起こる)やアレルギー性外耳炎(耳にアレルギーが起こる)などが外耳炎の要因にはありますが、その中で最も多いのがこの真菌性外耳炎と言われ、その中で一番多いのが、今日のこの「マラセチア」という真菌が原因とされているものです。
マラセチアによる症状
- 耳の内側に黒っぽい耳あかがたくさんついている
- 掃除をしても、次の日には同じように汚れている
- ひんぱんに首や耳を振る
- 耳から甘酸っぱい匂いがする
- 耳をはげしく足でひっかいたり、こすりつけたりする
- 耳や体を触れさせなくなった
などがその症状として言われていますが、これ、耳ダニの症状とほぼ一緒です。
微妙に色の種類やそのニオイの種類が違うのですが、それらを知らない人にはその違いを見分け(嗅ぎ分け)るのはまず無理です。
お医者さんで調べてもらう以外の方法は無いと思って下さい。
マラセチアも耳ダニも獣医の処置が必要ですので、いずれにしてもすぐに病院へ連れて行ってあげて下さいね。
耳ダニは痒がらない子もいるそうですが、マラセチアの場合は多分全ニョロ痒がるんじゃないかと思います。
いや、これは私の中で「痒がるから病院で検査をしてもらって、耳ダニはいない事が分かったうえで更に検査をしたらマラセチアが増殖してるという診断が下りる」というような事が多い気がするから、「全ニョロが痒がる」という印象になってるだけかもしれませんけど…
マラセチアと耳ダニの違い
その症状は似ていても、マラセチアと耳ダニは根本から処置から薬の種類までその全てがまったく違います。
まず、どんな時でも少しの「他」との接触で感染して、即座に色々やらかし始める耳ダニと違い、マラセチアは他から移ったり他へ移したりするものでは無く、それ自体があっても、ニョロリンが健康体でさえあれば何も悪さをしません。
※耳垢がたくさんあるとそれがエサとなって激しく増殖して健康体を害し悪さを始めます。
他との接触に気を付けたり、予防薬の投与で防げる耳ダニと違い、マラセチアはその子の体調または体質によるところの問題から発生するトラブルです。
(耳ダニも移りやすい子、移りにくい子がいるみたいですけど)
外耳炎を引き起こすまでの時間はそれこそ個体差がありますが、耳ダニからそこへ至るまでの時間より、マラセチアからそこへ至る時間の方がはるかに短いです。
いやー(ear)、でもこれは
外耳炎の症状がでて、その原因を調べたら耳ダニではなくマラセチアだったという症例を多く聞いているからという私の個人的な見解なだけかもしれません。
気を付けてあげなければいけない点
「耳垢が増えて痒がる」からと言って勝手に耳ダニだと判断して、安易にその薬を投与してはいけません。
それはマラセチアに効かないだけでなく、マラセチア菌の増殖を促したり、外耳炎を悪化させる事に繋がりかねません。
女の子は全員知っている事ですが、体調を崩している時や少し疲れている時に抗生物質を飲んだり、抗菌力の強い石鹸で洗いすぎたりするとカンジダ症を発症しやすくなるのと原理は似たような事だと思って下さい。
また、「体調」に起因するものの中には飼い主さんがそれを作ってしまうという場合も多いとされ、
- 頻回すぎる耳掃除
- 間違ったお手入れの仕方
などがその原因となったりします。
汚れを取ろうと綿棒でぐりぐりし過ぎたり、きちんと専用の液体(イヤークリーナー等)を使わずに乾いた状態のお耳に乾いたままの綿棒を突っ込むという間違ったお手入れ方法によって、お耳内の皮膚の表面を荒らしてしまい、マラセチア菌の温床となるその細かい傷を作ってしまう事があるのです。
せっかくしてあげるお手入れですから、正しいやり方はきちんと知っておいてあげて下さいね。
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マラセチアの対処法
マラセチアによって皮膚炎や外耳炎を発症している時にはその治療はもちろんの事、マラセチア菌の退治とともに基礎疾患の治療を考える必要がある場合があります。
皮膚炎になってしまったワンちゃんの一症例では、
このように、皮膚だけの治療でなかなか完治しないときには、脂漏症などの体質に根差す問題や元となっている病気へのアプローチをしていく必要があるのです。
これは皮脂の分泌が活発なニョロリンでも当てはまるお話しです。
ただ、この子達はもともとそれが活発なので、多くの場合は心配しなくても大丈夫です。
マラセチアが原因だと一度でも診断が下る病気を発症した場合のみ、考えてあげれば良い範囲だと思います。
まとめ
もともとそういう体質のニョロリンもいますが、ちょっとした体調の変化でわっと増殖する事があるマラセチア菌。
どんなに気を付けてあげていても、どんなに優しくお手入れしていても、完全に防いであげられるものではありません。
その原因が「脂漏症」や「アレルギー」などと診断された体質の子はそこに気を付けてあげて下さい。
体調を崩さないように、免疫力を落とさないように気を付けてあげるのはもちろんの事、漢方薬や専用のフードに切り替えるなど、皆さん工夫しておられます。
そのニョロ友達に詳しくお話しを聞くと、皆さん
って、言ってました。
って事でした。
勝手な飼い主判断・安易な投薬などで、悪化させてしまう事がないようにくれぐれも気を付けてあげて下さいね。
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数ヶ月前の検診では「耳ダニ無し」と診断を受けていました。
私が「耳ダニは見落とされる事もあるよ」なんて自分の経験談を話してしまったから、飼い主様を不安な気持ちにさせてしまったのかもしれません…
「病院で改めて検査をしたらマラセチアと診断された」として、交遊があったうちのエルちゃんとワサビ君を心配してわざわざ連絡を下さいました。
飼い主様がするお耳掃除の様子を一度拝見しましたが、それはそれは丁寧で傷を付けちゃうなんて100%あり得ないと言い切れるほど優しいそれでした。
あずさくんとは数日一緒に過ごしたけれど、巷で言われているような「掃除した翌日には真っ黒の耳垢で耳が汚れる」なんて事もありませんでした。
大切に大切にされているあずさくん。
そこまで症状がでる前にママが「これはおかしい」とすぐに病院へ連れて行ってくれたから、外耳炎の心配もしなくて済んだんだよね!良かったね!!
病院でお耳もこんなに綺麗にしてもらったそうです。
マラセチアは炎症を起こすほど増殖した分を抑え込めば良いだけですから、正しく処置さえしたら問題解決です。
投薬後は完治するまで、耳掃除で汚れを落とすというよりも、「衛生的な環境を維持する」という意識でいると良いと思います。
清潔というより「衛生的な環境」を維持してあげればすぐに治ります。
投薬や処置、その方法などは獣医さんによってそれぞれかと思いますので、先生とよく相談してきちんとお手入れしてあげて下さい。
マラセチア菌が増殖する環境を作らない!これが一番の方法ですので、その子に合ったその方法を見付けてあげて下さいね。
耳ダニについて、また外耳炎から引き起こされる耳介血腫(耳血腫)などのお話しはこちらを参考にして下さい。
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