ベッドからこぼれ落ちて寝てるフェレット

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フェレットの病気

フェレットに結石(尿石症)が増えてる?ストルバイト尿pHシュウ酸カルシウム値

2017年7月24日

ワサビ君の病院の先生が言っていました。

「最近、フェレットの結石がすごく増えてる」って。

どうしてだろう…

その理由は1つじゃ無いんだろうし、単純に「その分だけフェレット人口が増えたから」って考えたら良いのかもしれませんが、何だかちょっと色々と考えてしまいます…

尿石症については、以前、こちらの記事でも少しお話しさせて頂きましたが

アンゴラフェレット
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ある人が自分の飼っている犬を私の目の前で蹴りました。 「ちょっと!何してんの、あんた?!」 「お前には関係ないだろ!」 私はその人を蹴りました。 「は?何してくれてんだてめえ!」 「あんたには関係ない ...

避けてあげられるものは、飼い主として、なるべく避けてあげたいです。

「手術自体はそんなに難しい物じゃない」とか言われたりもするそうですが、すごく痛々しいあの術中のニョロリンの姿を想像すると、とてもそんな風には思えません…

もちろん、100%防いであげられるばかりでは無いけれど、何の病気に関してでもそうですが、ほんの少しその病気の事を知っておくだけで、気を付けてあげられる事が飼い主として、増えるんじゃないかなって思ったりします。

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尿石症(尿路結石)とは?

尿路に結石ができ、排尿困難などの症状を引き起こす病気です。

この尿路というのは、尿が作られてから排尿されるまで、その全ての器官を言います。

要するに腎臓・尿管・膀胱・尿道の事です。

私自身が過去に腎臓結石をやっています。

「体質的なもの(遺伝)じゃないか」って言われてはいるけど、先日の人間ドックでまたもや引っかかって

もうウンザリです…orz

二次検診の知らせ

人間用のお話しはこちら⇒「尿路結石(腎結石)MSD」などで詳細をご確認頂くとして、人間もこの子達も、「持って生まれたそういう体質」というのは致し方無いかもしれません。

でも、それであるならば、特にもっともっと、それなりに普段から気を付けてあげたいですからね。

飼い主として。

…私が自分自身のそれに気を付けているかどうかはまた別の話しです。

結石(尿石)とは?

結石とは尿中に含まれるカルシウム、マグネシウム、リンやシュウ酸、尿酸などのミネラル成分が固まったものです。

ミネラルの結晶(膀胱炎などによって剥がれ落ちた膀胱内の粘膜のこともあります)が核となって、そこにミネラルがくっついて、この結石というのは大きくなっていきます。

直系が数cmにもなる大きなものから、塊にはならず砂のような状態の物もあります。

結石の原因ははっきり分かっていませんが、

  • 尿中のミネラル過剰
  • (水分摂取が少ないなどの理由で)オシッコが少ししか作れない

などがそうじゃないかと考えられています。

尿のpH(酸性やアルカリ性を示す数値)が酸性に傾くと尿路結石ができやすく、アルカリ性に傾くとストルバイト結石ができやすくなります。

尿中にミネラル成分が多ければ、それだけ結石が作られやすいという事は医療情報(人間用)でも明らかにされている事で、更に、尿量が十分であるならば、

お医者さん
お医者さん
少しくらい過度なミネラル成分や小さな結晶程度ならオシッコの度に流れ出るので、結石は作られにくい

って、(人間用の)お医者さんが言ってました。

struvite:「ストルバイト」「ストラバイト」「スツルバイト」正解はどれ?

以前の記事にちょっとした問い合わせがあったので、ここで補足の説明をさせて頂こうと思います。

「struvite」は、その定義者であるドイツの地質学者(※鉱物学に詳しかった外交官という説有り)

「Heinrich Christian Gottfried von Struve」さんの名前が由来です。

これをそのまま日本の文字で書いたら「ハインリッヒ・クリスチャン・ゴットフリード・フォン・ストルーベ」さんです。

その昔は、学術論文というのは「その国の言葉」が原則だったので、当時は「ストルバイト」と発音されていたそうですが、論文の英語読みが主流となった現代では「ストラバイト」と言うお医者さんも多くなってきているそうです。

私が「ストルバイト」と表記するのは、私がそこまで古い人間だからってわけでは無くて、ただ単に、その先生が「おじいちゃん(年寄り)だった」というだけの話しです。

ちなみに、ネイティブの発音で聞くと「すちゅらばい」と我々日本人の耳にはそう聞こえる単語なので、英語が堪能な方は「スツラバイト」とか言ったりもするそうですが、これは「発音にこだわる一部の人が、英語の母音を持たない子音を日本語で無理して発音しようとしてるだけの話しであって、別にそれが正しいってワケじゃないから。」って、英語の発音が苦手なのを合わない入れ歯のせいにする、そのお爺ちゃん先生が言っていました。

そして「スツルバイト」という表現については、その「スツラバイト」と「ストルバイト」が合わさっちゃっただけじゃないの?という見解も示していました。

「日本語の発音として不自然な言葉を、学会でもあるまいし一般でまで無理やり使う必要はない」って講義ではそう言っていました。

実際に今ではもう、「ストルバイト」でも「ストラバイト」でも日本語の文字で表記する分にはどちらも間違いでは無いとされています。

提出する論文では教授のそれに合わせないと減点の対象になりかねませんけどね。

そして、その発音に至っては更にその限りでは無く「チュラ」でも「ツル」でも「ツラ」でも、個人が好きなように表現したら良いんじゃないですか?って話です。

余談ですが、私の九州地方出身の知人たちは

東京で言う「どうなってるの?」を

福岡:どげんなっとると?

熊本:どぎゃんなっとると?

長崎・佐賀:どがんなっとると?

って言います。

補足説明は以上です。

フェレットに多いのは「ストルバイト結石」

↑というのは、どうやら昔の話になってきているように感じます(2022年現在)。が、その補足は別記事で、今記事は修正なしのままで置いておきます。)

という事実が、「避けてあげられるんじゃないか」って一番の理由です。

ストルバイト結石には細菌感染による感染誘発性ストルバイト無菌性ストルバイトの2種類がありますが、いずれも「尿のpHがアルカリ性に傾くことで結石ができる」病気です。

感染誘発性の場合は尿素分解酵素産生性微生物に感染する事で尿がアルカリ化してしまうのです。

それが、ストルバイト結石の形成を促進(誘発)するから、「感染誘発性」と言います。

細菌感染による病気を徹底的に防いであげる方法はありません。

ですが、ストルバイト結石の多くは無菌性ストルバイトと呼ばれる方です。

こちらは、私たち飼い主がその多くを「防いであげられるのではないか」と言われています。

これ以下は無菌性ストルバイトの事を「ストルバイト」としてお話しを進めます。

本来、肉食であるはずのニョロリン達。

動物性たんぱく質の食べ物というのは酸性ですから、本来であれば、尿のpHがアルカリ性になるということは無く、ストルバイト結石はできにくいはずなのです。

という事は、

わさび
わさび
植物性たんぱく質の食べ物が多いから、尿がアルカリ性になってしまう

という事が考えられます。

フェレットの正常な尿pHの

適切値は6.5~7.0
適正値は6.0~7.5

尿pH6.6以下だとストルバイトが結晶化しにくく
pH6.4以下になると結晶が溶けやすい値とされています。

健康な時はあんまり使わないと思いますが、心配な方は、こういうのを常備しておくと少し安心できるんじゃないかなって思います。

参考までに

pH数値目安

温泉水99さんのホームページからお借りしてきました。

フードを見直してあげよう

あまりにも安価なフェレットフードの中には「穀類などの炭水化物をかさ増しの為にたくさん使っている」物があるという話が昔はありました。

※「かさ増しのために」たくさん使っているのが嫌なだけで、「穀類などの炭水化物」はこの子達に全く必要がないというわけではありません。

その詳細
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今、私が「昔は」と言ったのは、こちらでもお話しさせて頂いたように

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「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によって色々と定められているのはドッグフードとキャットフードのみ(2015年現在)です。

それは、人間用に適応されている、JAS法に基づく加工食品品質表示基準

原材料名は、使用した原材料を全て重量順に表示するのが原則というルール」に則り、その規約では犬用と猫用のフードではきちんとそれが義務付けられているのです。

フェレットフードにその規制はありません。

もちろん、この基準に準じているメーカーの方が多いとは思いますが、全てがそうして良心的なフードメーカーばかりでは無いって事も現実として「昔は」ありましたので、そのパッと見の表示だけを鵜呑みにするのでは無く、きちんと、「動物性たんぱく質を十分に含んでいるかどうか」という視点で原材料表示を確かめてあげて欲しいと思います。

表示されてる順番じゃなくて、きちんとその成分(%)を見て選んであげて下さい
アタチはなこ
アタチはなこ

ややこしいのが「シュウ酸カルシウム結石」

文字通り、カルシウム(やマグネシウム)の過剰摂取が一因とされ、「尿のpHが酸性に傾くこと」でできやすくなる結石です。

こちらの「動物看護」のための本から抜粋したので、

ちょっと厳しめの値になってはいますが、参考までに

尿結石の原因pH表

そもそもシュウ酸とは?

漢字で「蓚酸」と書きます。

植物の「蓼(たで)」が由来です。

「蓼(たで)食う虫も好き好き」のタデです。

名前の由来通り、植物に多く含まれています。

例)

タデ科(ギシギシ、イタドリなど)、カタバミ科、アカザ科(アカザ、ホウレンソウなど)の植物には水溶性シュウ酸塩(シュウ酸水素ナトリウムなど)が、サトイモ科(サトイモ、ザゼンソウ、マムシグサなど)には不溶性シュウ酸塩(シュウ酸カルシウムなど)が含まれる。

ちなみに、とろろが肌に付くと痒みを生じるのは、シュウ酸カルシウムの針状結晶が肌に刺さって刺激を受ける為である。

引用:Wikipedia「シュウ酸」

「シュウ酸カルシウム」の誤解

酸性食品である動物性たんぱく質を多く摂取ことによって、この子達の尿pHが酸性になるという事実はありません。

「良性の動物性たんぱく質を与えられているフェレットの尿pHは6.0~6.2程度(弱酸性の範囲)を維持する」という文献があります。

また、カルシウムのみを過剰摂取した場合において、それは「シュウ酸カルシウムには結びつかない」とされています。

シュウ酸カルシウムというのは、カルシウムが主成分ではありますが、それ単品ではあくまでもただのカルシウムであって、シュウ酸と結合するからシュウ酸カルシウムなのです。

その詳細はこちら(人間用ではありますが)⇒医療法人社団徳仁会 おおあみ泌尿器科:尿路結石症③などでご確認頂ければと思います。

そして、尿のpH値が適正範囲内でさえあればシュウ酸の物質とされる物から、過剰に摂取したカルシウムさえも、その全てが溶解して排泄されると言われています。

要するに、シュウ酸カルシウム結石においては、シュウ酸の物質があーだこーだを考えるのでは無く、尿のpH値を適正範囲内に保つ事を考えてあげましょう!という事です。

だからと言って、毎回pH値のチェックなんかする必要はありません。

とにかく、

える
える
オシッコの量を減らさない事

これが最も有効で一番大切な事なのです。

※ここまでずっと、野菜や果物など植物性の食べ物を与えすぎないというのは当然の事としてお話ししています。

「排尿困難」とは?早く気付いてあげて欲しい結石の症状

オシッコの姿勢をとっているのに、なかなかオシッコが出なかったりします。

また、少しずつしか尿が出ないため、何度もトイレに行く子もいます。

ひどくなると、オシッコがまったく出ない、なんて場合もあります。

尿道に石が詰まると痛いです。(私は経験者です)

この子達だって痛いんです。

「オシッコの時に悲鳴みたいな鳴き声をあげていた」というニョロリンのお話しを聞いた事もあります。

そんなこんな事情から、きちんとトイレを覚えていたはずなのに、しょっちゅうトイレではない場所でするようになっちゃう子もいます。

尿漏れを起こして、陰部がいつも湿っていたり、痛みのため陰部を気にするような仕草が増える子もいます。

結石で尿路が傷付くため、血尿がでたり、砂状の結石を含んだどろっとしたオシッコがでるという症状の場合もあります。

もちろん、元気がなくなったり、食欲が落ちて(体重が減る)という症状がでる事もあります。

オスは特に注意が必要

男の子ニョロリンの場合に限りますが、排尿困難の原因が尿石症では無く、副腎疾患(など)で前立腺腫大によって尿道閉塞を起こしている事があります。

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(尿石症の場合でも、これは女の子の場合でもそうですが)排尿されない状態を放置していると、あっという間に急性腎不全を起こし、最悪の場合は死んでしまいます。

「オシッコがまったく出ていない」事に気付いたら、その時点ですぐに病院へ連れて行ってあげて下さい。

レントゲン検査や血液検査などでの診断となりますが、レントゲンの検査では、小さすぎるや結石や、男の子の場合は結石の位置が陰茎骨(J型に曲がったそう呼ばれる骨が男の子にだけあります)の近くにある場合、分かりづらく見落とされてしまう事があります。

病院での治療方法

結石がごく小さいものだったり砂状のものだったりの場合は、お水だけでなく、お肉のスープなどで飲水量を増やしてあげたり、点滴による補液などで体内の水分量を増やして、オシッコの量を増やしてあげると流れ出てくる事があります。

ストルバイト結石の場合

食事療法だけで治療する事が出来る場合があります。

早期のもの(石の大きさによる)なら、尿を酸性に傾けて結石を溶かしたり小さくして排出させてあげれば良いのです。

そのために尿酸化剤を投与する場合もありますが、

こういった

(※こちら旧名がpHコントロール0(ゼロ)、商品名が変わりました。 )

いわゆる処方食と呼ばれるものに切り替える事を病院で勧められる事が多いようです。

尿路感染症を起こしている可能性があれば、抗生物質の投与をしてもらいます。

もちろん、結石があまりにも大きくなってしまっている場合、速やかに手術で取り出してあげる方がその子の体のためであれば外科手術になりますし、尿路が閉塞(ふさがってる)している場合には膀胱穿刺(ぼうこうせんし)という、直接針を差して尿を吸引するという処置が行われることもあります。

膀胱内を洗浄する処置が行われる場合もあります。

尿道カテーテルという管を通すこの処置も全身麻酔でのそれとなります。

前述したように、男の子には陰茎骨があり、少し複雑な処置となるため、処置費用が女の子より高額になる場合もあります。

シュウ酸カルシウム結石の場合

ストルバイト結石と違い、「石を溶かす」という事が出来ません。

ごくごく早期で排尿により排出できる可能性があれば、オシッコの量をとにかく増やしてあげる処置や指導です。

が、その大半は最初から全身麻酔による外科手術によっての摘出となります。

予防してあげるには

とにかく、適切な食事内容を心掛けてあげて下さい。

良質な動物性たんぱく質を十分に含む適切なフードです。

そして何より、新鮮なお水をたっぷり飲ませてあげて下さい。

汗をかかないこの子達は、人間のように汗をかいて体内の水分が奪われるという心配は無く、「尿石症は飲水量の減少する冬に多発する」と一昔前までは言われていましたが、最近では、「一年を通して多い」のだそうです。

これは、昔に比べて、フードの種類…

考えたくはありませんが、そういうフードが増えてきているという事なのかもしれません。

はたまた、そういう…

代謝の問題を抱える体質や遺伝性のそれを持つ子が増えてきているのかもしれません。

それは、ハッキリとは分かりません。

毎日、本当に精一杯、気を付けてあげて、してあげられる事を全部してあげていても、病気になってしまう事はあります。

それは誰にも責められるような事では無いし、ましてや、飼い主である自分を自分で責めたり悔んだりするような事ではありません。

「頑張って良くなろうね」って一緒に病気に立ち向かってあげれば良いだけですからね。

この尿石症(結石)という病気は発見が早ければ早いほど、治療の負担も少なく、完治までの時間も短いのです。

逆に言うと、放っておくと石はドンドン大きくなります。出せるものも出せなくなります。

手術での体の負担もそれだけ大きくなってしまいます。

早期発見がカギです。

普段から、そういうあれこれ全部に目一杯、気を付けて楽しい毎日を過ごさせてあげて欲しいと思います。

追記:シスチン結石について(2022.12.9追記)

ここ数年で耳にすることが増えた「シスチン結石」「シスチン尿症」

私が勉強していた時には、フェレットでは「聞いたことない」と言われていたのに、この数年、本当によく聞きます。

私が持ってる知識は「シスチン結石とは、尿細管における遺伝性の異常であり、アミノ酸であるシスチンの再吸収が障害されることで、その尿中排泄が増加する結果,尿路内にシスチン結石が形成される。 症状は、結石と(おそらくは)尿路感染症または腎不全の続発症によって生じる仙痛である」

しか無く…

これから勉強して頂こうと思います。

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