「発症してみないと分からない病気」というのは、実はたくさんあります。
我々、人間でいうと…
「ヘルペス」を例にちょっとお話しさせて頂きます。
まず、何かしらの症状が出て、病院へ行って、そこで初めて「自分はヘルペスのキャリアなんだ」って自覚します。
もちろんその時に、
自分がいつどこで感染したのか心当たりがある人はほとんどいないと思います。
知らないうちに感染していて、免疫力が落ちたタイミングで発症するのがヘルペスです。
薬や何かで症状が治まっても、ヘルペスのウイルスというのは一生体内に残るので、免疫力が落ちたらまた何度でも発症します。
そしてそれは、普通に健康診断や人間ドックを受けたところで
「あなたはヘルペスに感染してますね」なんて診断される事はまずありません。
多くの人が幼少期にすでに感染しているとされるヘルペスですが、
検査項目にそれがなければ、ヘルペスかどうかなんて調べ無いのだから当然です。
そうやって、自分が保菌者である事さえ、一度は発症してみなければ分からない病気って実はたくさんあるのです。
でも、これはちょっと語弊があるというか…
ヘルペスについて誤解を招く表現かもしれませんので、その詳しいお話しはこちらなど
⇒ネット総合病院:ヘルペスとは?症状と原因などの基本情報(人間用です)
で詳細をご確認頂けたらと思います。
人間でさえ、そんな話はたくさんあるのですから、当然ニョロリン達にもたくさんあります。
少しでも飼い主として
「そういう病気もある」って事と
「これはそういう物なんだと思ってあげるべき病気がある」って事を知っておいてあげて欲しいなって思います。
「感染してる事が分かった」からと言って、いたずらに誰かや何かのせいにしようとしたり、必要も無いのに嘆き悲しむのは止めてあげて下さい。
「感染」や「寄生」はもちろんの事、「発症」したからと言って、即座に不安になる必要は無いのです。
きちんと冷静に対処してさえあげれば良いだけの病気もたくさんあるのですから、
その言葉だけに過剰に反応して、目の前のその子を不安な気持ちにさせてしまわないようにしてあげて下さいね。
「通常は無症状」「単純検査にはその項目が無い」病気もたくさんある
フェレットの健康診断といえば
「触診」「血液検査」「糞便検査」が一般的ですが、
その「血液検査」と「糞便検査」では具体的に何を検査しているのかご存知ですか?
私は知りません。
触診についてはこちらなど
フェレット【触診って?検査では何が分かる?】ペタンが多い!吐いた!大丈夫かヤバいのか?日常生活で楽しみながら毎日、注意して見ててあげて欲しい大切な事
体に優しく触ったり、少し力をいれて押したりして診察をすることを「触診」と言います。 私もワンちゃんやニャンコスの体を借り ...
知らないっていうか、その都度聞かないと分からないんです。
これって言うのは、その病院によってマチマチなんです。
だから「こうです」だなんて、全部が全部、どこの病院でもそうであるかのような発言で断言してはいけない事なんですよ。
病院(先生)によって「一般的な」の基準が違う場合があったりするから、
病院によって健康診断の金額が違うなんて事も多々あるのです。
もちろん、安価でも丁寧に色々な病気やその詳細を調べてくれる病院もあるでしょうし、大した検査に回してないのに高額な請求の病院もあるんじゃないかとは思いますが、
常識的に考えたら、あまりにも安い金額でその全部を請け負うって事は無いんじゃないかと思いますので、
「病院代の比較」を見て、少しでも「その内容」の詳細を確認しようと思われた時には直接病院に問い合わせる事をなさって下さい。
ちなみに私は、その「一般的な」の基準のそれは、最初はその病院任せで良いって思う方なので、先にそれを確認した事はありません。
色んなサイトにその比較や目安が載ってましたので、そういった物を参考にされたら良いんじゃないかと思います。
金額だけの比較でしたら、こちらにもあります。
フェレット最初の健康診断はいくらが妥当?ちょっと比較してみた!いたちのおうちと姥捨山のお話し
姥捨山(うばすてやま)という物語 自分を捨てて帰る息子が帰り道で迷わないようにって、お母さんが行きしなに小枝を落としてく ...
そして、こちらが、とある動物病院のフェレットの検査項目一覧です。
①:スタンダードコース¥ 18,000
②:スタンダード・プレミアムコース¥ 30,000
③:シニアコース×¥ 40,000 / ○ ¥ 48,000
〈③は 4歳 ~ が適年齢となります〉
※先生に直接、詳しいお話しを伺いました一番下に追記します
私が今までお世話になった事がある、それぞれの動物病院とその金額を比較してみると
いわゆるこの①のスタンダードコースと同じくらいの金額なので内容も同等程度と思います。
今日は
この一般的(スタンダード)な検査で行われる便検査の
「細菌・寄生虫検査をしたのに」その数ヶ月後にそれが疑われた病気のお話しです。
ジアルジア症
ジアルジアという原虫が腸管に寄生することで起こる病気です。
ジアルジアは犬や猫を始めとして多くの哺乳類(人間も)に寄生します。
こちらは、ワンちゃんのそれとして獣医さんのツイートです。
糞便検査でこんなに大量のジアルジアが出たのは初めてでした…
つぶつぶしてるの見えますよね?ぜ ん ぶ ジ ア ル ジ ア pic.twitter.com/co4d1Cm9J6
— 東京勤務のツイ廃さん かえる HPVワクチン2回目接種済み (@juisan1013) October 31, 2019
ありとあらゆる寄生している生き物から寄生してない生き物への感染が認められるとされる病気です。
また、
汚染された飲み水や食べ物を介して感染が広がることも知られてはいますが、現在の日本(都市部)において、人間での検出率は0.5%を下回る程度となっています。
その上、フェレットでのその発症は「極まれ」という事で、この検査を一般的な健康診断で念入りに積極的に行う病院は少なくなってきているような気がします。
そこには、一時期、感染源の主たる場所とされたペットショップのその後のたゆまぬ努力を信用しているという明るい事情と
検査にかかる費用が結構高額(という諸事情を考慮して)だからといった後ろ暗い事情が有ったり無かったりするんじゃなかろうかという邪推は止めておきます…
ただ、こちら
日本動物病院福祉会(JAHA)の獣医内科認定医である小宮山 典寛(のりひろ)先生が取締役を務める日本ベェツ・グループのフェレットの定期健康診断・チェックリストように
その項目がきちんと設けられている場合もあります。
便の中に虫卵が発見されても、無症状でニョロリンは元気なことが多いため「何も異常はない」という判断
それは、
「ジアルジア症は発症しても自然寛解する場合が多く、その後は無症状性のキャリアとなる」とされる文献などもある為、
「見逃した」のではなく、そう判断した獣医さんの診断じゃないかという事でしたが、
その後に
「消化不良のような軟便が続く」という症状が出たため、改めてそこで初めてジアルジア症を疑ってその検査をした結果
ジアルジア症だと診断された。というお話しがあります。
こちらはワンちゃんのお話しですが、
にもあるように、治療は駆虫薬の投与がメインです。
クリプトスポリジウム症
クリプトスポリジウムという原虫が腸などに寄生することで起こる病気です。
脊椎動物に寄生し、幼いベビフェレに感染する事が知られています。
こちらも、ジアルジア症のように「無症状かつ、自然寛解性を持つ病気」として、
「その検査をしない場合が多いため分からない」事がそのほとんどとされる病気です。
人間の場合でも、免疫系が健全であるならば、自然寛解性の下痢が主要な症状ですが、 AIDS 患者のように免疫不全状態の場合には、重症化ししばしば致死的になる事が分かっています。
人間用⇒NID 国立感染症研究所:クリプトスポリジウム症とは?
クリプトスポリジウムはコクシジウムと同じようにオーシストが便に混ざって排泄されますが、コクシジウムのオーシストとは違い、排泄された瞬間から感染力を持ちます。
コクシジウムについてはこちらで詳しく
フェレットのコクシジウム症(画像あり)とは?第二回 花いたち祭1
この記事は色んな出来事と絡めてお話しさせて頂いているので、とても肉付きが良いです(要は話があっちこっちに行く)。 「無駄 ...
そして、そのオーシストは「4~5×3μm」と、とても小さいので通常の糞便検査では発見が非常に困難です。
それ専門の検査をしなければ見付けられない事の方が多いのです。
クリプトスポリジウム症は
免疫力が正常なら2~3週間程度で回復する事が多いうえ、これといった治療方はありません。
免疫力が低下している場合や下痢をしているなど、クリプトスポリジウム症を発症しているとされる場合には
脱水症状に気を付けるなどの対処療法といった治療しかなく、その時には回復にも数ヶ月を要する事があります。
まとめ
今日のこの2つの病気はどちらも
通常の健康診断項目に入っていたり、いなかったりする病気です。
感染系です。
感染していても通常であれば無症状とされています。
そういう病気は他にもたくさんあります。
これまでも、わざわざそんな記述しはていなくても、そうだとされている病気について何個か書かせて頂いてきています。
可愛い我が子が感染による病気だと分かった時、過剰に怖がらないであげて欲しいんです。
もちろん、原因の特定も大切な事ではありますが、まずはその子の回復を見守るのが先です。
推測や憶測による犯人捜しをしているうちに真実が見えなくなってしまう事があります。
「感染(保菌)しているだけ」というのは怖がることではなく、
無自覚のまま元気で長生きできるそれだってあるし、
検査や何かでそれが分かっても治療法が無い(自然治癒に任せて良い)それだってあります。
発症さえしなければ、生涯に渡ってただ一度の治療さえ必要がない病気だってあるし、
そういう事情を全て汲んだうえで、
その為の検査は「一般の検査」には必要が無いと先生が判断している病気だってあるのです。
(それがその先生独自の個人的な判断の場合もあるかもしれませんが)
そのせいで感染が拡がる事は心配に値しないとして、
そのウィルスや寄生虫を持っているからなんだ?として良い病気だってある事を知っていてあげて下さい。
過剰な不安の中から発信される他への感染を必要以上に懸念する声は、ただの大義名分となり、やがては集団ヒステリー(パニック)へと形を変え
正しい対処方(冷静に判断してあげる事など)が後回しになってしまう事があります。
だから、
その子の治療のためにそれが必要だという場合を除いては、それは後回しにして下さい。
世に出回っている無責任な噂話や中途半端な情報で、
多く子達が不安な目で見られてしまう事がないように、
あなたから先へは、きちんと正しい知識も一緒に冷静に拡がっていくように心掛けてあげて欲しいんです。
「感染による病気」というのは、この言葉だけで、誰だって冷静さを欠きます。
その本人なら、余計に穏やかでなんかいられるはずは無いし、その後に続く正しい情報が届きにくい状態になって当然なのです。
だから、
「これが情報です」みたいな事を書くのなら、それを煽るような文言は避けるべきだし、知ったかぶった中途半端な情報で他の誰かをただ不安にさせるような発言は慎め!
ks( ゚д゚)、ペッって思います。
どんな病気に対しても言えることですが、なるべくストレスを与えないように、免疫力を落とさないように、「病気」という言葉に対しての偏見を持たず、いつでも正しい知識で一緒に向き合って、
穏やかに、健やかに楽しい毎日を過ごしてあげて欲しいなって思います。
追記:湊どうぶつ病院の検査について(先生のお話し)
上載させて頂いた表を見て
1つ疑問に思った事があったので、直接お話しを聞かせて頂きました。
アリューシャン抗体血清検査
①と②のコースに含まれていないのは単純に
「高額になってしまうから」だそうで、もちろん、不安な方にはそのオプションとして実施して下さるそうです。
ただ、アリューシャンのこの検査は
アリューシャンかどうかの検査では無く
アリューシャンじゃないかどうかを調べるためだけの特別なそれになるので、普通の検査より多く血液が必要となります。
こういった事情から、
それと疑わしい症状も出ていない子の「一般的な健康診断」には含まれていないとの事です。
そしてこれは、
私の知ってる限りでは4軒ほど他の病院でもその先生方は同じような見解をお話ししてくれました。
※2軒は「普通にやる」としています。
湊どうぶつ病院の先生、丁寧に色んなことをご説明頂き、ありがとうございました。
アリューシャン病についてはこちらなど参考にして頂けたらと思います。
フェレットのアリューシャン病とは?パルボウイルスの感染が原因だけど、犬パルボとは無関係です!
フェレットにジステンパーワクチンを打つなんて愚かな飼い主でから無駄死にするフェレットが絶えない。それでブログ書いて恥ずか ...