フェレットは恒温動物ではありますが、これといって特別に有効な体熱放散方法を持っていません。
恒温動物
体の周りの気温(水温)の変化にさほど影響を受けず、平均体温がほぼ同じ動物で、鳥類と哺乳類がいる。
体温調節機構が発達し、気候変動でも安定的に生活できる。
気温が下がって臨界温度に達すると、短期的には鳥肌や身震いが起き、長期的には脂肪蓄積、体毛増加などの変化がみられる。
さらに気温が下がって限界温度に達すると、凍死する。
また、気温が上がって臨界温度に達すると、短期的には発汗が見られ、長期的には体毛減少などが見られる。さらに気温が上がって限界温度に達すると、熱中症をおこして死亡する。
コトバンク「恒温動物(コウオンドウブツ)」より所々抜粋
有効な体熱放散の方法とは
例えば、人間でいうなら汗をかく
犬でいうなら口を開けてハアハアと舌をだして呼吸するなどの事です。
フェレットも浅速呼吸をして呼気から放熱したり、毛細血管から多少の放熱はできますが、
「その方法を持っていない」というに等しいレベルなので
この子達は
「体温調節ができない生き物なんだ」と思って気を付けてあげるくらいで丁度いいんじゃないかと私は個人的にそう思っています。
今日のお話しは、人間用の例などもあげて詳しく書いたつもりなので、とても長いです。
時間が無い!急いでる!とりあえずフェレットの事だけで良い!という方用に、こちらにまとめました
参考にして頂けたらと思います。
「熱中症」は人間のそれらと全部が同じで、人間より更にもっと注意してあげなければいけないというもの
自身の体熱放散能力を超えた暑さ、その外気温に体の機能が追い付かず体温維持ができなくなって起こる
さまざまな症状を称して「熱中症」と言います。
「体温が40度を超えたら危険な状態」なのは、人間にもフェレットにも言える一つの目安とされています。
熱中症については
⇒日本気象協会「熱中症について学ぼう」などを参考にして頂ければと思いますが、
フェレットの熱中症の症状は、
体温が上昇し、口を開けて速くて浅い呼吸、口腔粘膜や肉球が赤くなる、鼻が乾く、ぐったりしている
症状が進むと
嘔吐や痙攣、意識喪失から死に至ることもあります。
特に熱中症になりやすいのは
- 肥満(皮下脂肪が多いと体熱を溜めやすく放熱しにくい)
- 高齢(体温調節機能が衰えている)
- 子供(体温調節機能が未発達)
- 病気(循環機能や呼吸機能を患っている時は特に注意が必要)
と言われていますが、これも全て「人にもフェレットにも」あてはまります。
「気温が30℃を超えたら危険」なのは周知の事実なので、
その環境(気温30℃を超す真夏の炎天下)で熱中症を起こす人はもうあまり居ません。
それには皆、気を付けていますからね。
救急搬送される人が一番多い場所
本当に気を付けなければいけない、その場所は「屋内」です。
それだって別に、
直射日光がガンガン入るガラス張りのお部屋で運動をしてはいけませんみたいな話では無いのです。
救急隊員だった知人の話しによると
風の流れがないような、温度や湿度が「なんとなく高め」のお部屋に長時間ただ「いた」だけ
これが、熱中症で救急搬送される一番多い原因なのだそうです。
※このお話しにはチョット語弊があるようです。
東京都監察医務院のお話し
異常死体がでた時に解剖して調べるのがお仕事という方のお話しによると
2010年7月17日~8月6日の熱中症での死亡者は、95.8%が住居内だった。家の中の方が熱中症のリスクが高いように思える。しかし、屋外で熱中症にかかって倒れた場合は、発見されて救急車で運ばれ、病院で死亡することが多い。このため死因がある程度調べられているので、監察医務院にはほとんど運ばれない。現実には若者の熱中症患者のほとんどがスポーツや肉体労働の最中に屋外で発症しており、高齢者が日常生活の中で発症するケースは屋内と屋外が半々だという。
引用:毎日新聞 熱中症の意外な誤解( yahoo headline※該当記事はURLが変更になったようです)
なるほど。
「データ」としたら、救急隊員とお医者様のお話しはどちらも必要だと思ったので、これは後から掲載させて頂きました。
でも、まあどうにしたって、
「耐えられないほど暑いってわけじゃないし」とか余裕こいてるうちに、体の限界にきていて、
気付いた時にはその機能が限界突破してしまっているという事には違いは無さそうです。
怖いんですよ、熱中症というのは。
ある程度までは体温調節ができる人間でさえそうなのですから、
汗をかけないニョロリン達にそんな場所でのお留守番は無理です。
そう思って、気を付けてあげて欲しいと思います。
一気に温度が上がる「車内」
外気温が23℃の時、たった数十分で車内は最高48℃、ダッシュボードの上は70℃になることもあります。
ポカポカ陽気で気持ちの良い春先のこの季節だって、車内は大変な事になっているのだと
こちら(⇒JAF:車内温度)に全部、書いてありました。天下のJAFが実験(検証)したデータです。
ほんの短い時間でも、ニョロリンを車内に残してどこかへ行ってはいけません。
特に起こしやすい事故には特に気を付けてあげれば良いだけなのですから、
きちんと万全な対策をしてあげて下さいね。
熱中症の治療・家庭で出来る応急処置
フェレットが熱中症になってしまったら、できるだけ早く体温を下げてあげなければいけません。
上記のように
口を開けて浅い呼吸になっていたり、ぐったりしていたら熱中症かもしれないので、すぐに応急処置にあたって下さい!と言いたいところですが、
心臓疾患でもそのような呼吸になります。
「ぐったり」は他の多くの病気でも見られる症状です。
さまざまな要因からその判断を見極めなければいけない、とても難しい状況なので、暑いなかにいたからというだけで安易に
「ただの熱中症」だと片付けてしまう事がないよう、
応急処置はあくまでも、病院へ連れて行くまでの間にしてあげられる少しの事だと思ってあげて下さい。
それで状態が少し改善したとしても、必ず病院へは連れて行ってあげて下さいね。
応急的にしてあげられる事・その際の注意事項
部屋を涼しくして、ニョロリンを涼しい場所に移動させてあげて下さい。
暑さでバテていた程度なら、これだけで回復します。
完全に熱中症だと思われる時には、
冷たい水で冷やしたタオルをビニール袋にいれて脇や首筋に当ててあげます。
この時、ビショビショのタオルだったり、氷を直接あてがったりしてはいけません。
体を濡らしてはいけないのはもちろんですが(風邪を引かせてしまったり、最悪、肺炎を引き起こしてしまいます)
急に冷やしすぎると低体温になってしまう恐れもあり、それはそれでまた危険なのです。
もちろん水分補給を忘れてはいけません!
自分で飲めるようなら、まずはお水を飲ませてあげて下さい。
「自力で飲める時だけ」です
熱中症に大量の真水は良くありません。
水分補給として一度に大量の水を摂取すると、かえって体内の電解質バランスを崩して体調不良を引き起こしてしまいます。飲む量は、かいた汗の量を目安にし、汗で失われる塩分(ナトリウム)もきちんと補給しましょう。
※これは人間用の注意事項です
大量のお水をシリンジで無理やり飲ませるような事をしてはいけません。
シリンジで与えなければならない時には必ず獣医さんの指示に従って下さい。
いたちのおうちでは、一応、こういうの
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を常備しています。
もちろん応急的に、あれば薄めた人間用のスポーツドリンクでも代用が出来ます。
その際には糖分などが気になる飼い主さんもいると思います。
それならば、乳幼児用の物なら安心かなってお勧めしたいのですが、それが常時あるご家庭の方が少ないですよね…
だから、
「自力で飲めるならお水でも大丈夫」だと、ここではきちんと獣医さんの言葉としてそう記しておきます。
くれぐれも、知識なく勝手な濃度の塩水を与えたりは絶対にしないで下さい。
「そんな事するくらいなら水の方がよっぽど良い」と、これも獣医さんの言葉です。
シリンジで与えなければならない状態の時には、とにかく速やかに獣医さんの指示を仰いで下さい。
治療とは?
自力でお水も飲めないようなら、速やかに
体温が下がりお水も飲んで少し落ち着いたかなと思ったら、そこからなるべく速やかに、
熱中症と思われる症状がでた時には
必ず動物病院へ連れて行ってあげて下さい(※その時は、「体を冷やしながら」など、獣医さんの指示を直接、電話で仰いで下さいね。)
というのも、
一時的に回復したように見えたとしても、
「そう見えただけ」の場合があるのです。
治療として、徹底した補液が必要だとされる場合があります。
心臓や腎臓に異常がないかを検査してもらう必要がある事もあります。
これは、熱中症の症状かと思われたそれが、他の病気の可能性ではないのかを調べる為でもあります。
熱中症かと思われたフェレットが
「元気になったから大丈夫だと思った」数日後に、突発的な病気で死んでしまったという例を知っています。
それは、脱水状態が続くことで起こる事もあるとされる病気でした。
くれぐれも安易な飼い主判断はしないであげて欲しいと思います。
徹底した対策で100%防いであげよう!
それぞれの飼育啓発本やサイトによって微妙にその数値が違っているようですが、
そこまで神経質にその数字の正解にこだわる必要はありません。
大体で良いです。フワッとでも
理想の室内環境は
室温 20~26℃
湿度 50%前後
くらいだって、それだけは忘れずに管理してあげて下さい。
こちらの記事と微妙にその数字が違っていても
イタチとアタチとヤモリとイモリ~究極の選択にみる【夜のお墓と廃病院】臆病者と愚か者(バカ)の違い~
今日の画像は2016年の夏、我が家に遊びに来てくれたヤモリくんです。 今だから「ヤモリくん」とか言えてますけど、当日は一 ...
「そういう感じで良いんだ」って思って頂きたいのです。
そういう感じで全然良いけど
その範囲では徹底してあげて欲しいのです。
飼育環境の管理
最高温度と最低温度が記録できるという温度計をケージの側に置いて
自分が留守にしている日中に室内の気温がどのように変化しているのか、毎日のチェックを欠かさないというニョロリストがいます。
彼はそれで
「帰宅した時もしもグッタリしていた場合に熱中症かそうじゃないかの判断をつけやすくするため」だと言っていましたが
そこまで徹底している彼の元ではきっと、そんな事態にはなり得ないんじゃないかなって思います。
子煩悩なパパの徹底管理で安心だねっていつも話を聞く度そう思います。
ちなみに、いたちのおうちに温度計はありません。
落として壊したまま買っていないのは
常時、誰かがそこにいるので必要ないって言い訳
+(プラス)一年365日、24時間ずっと「23℃設定」でエアコンが稼働しているからです。
湿度は加湿機能付き空気清浄機に表示されているのでバッチリです。
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晴れた日のお散歩
真夏の日中を避けるのは当然ですが、
ゴールデンウィークあたりから、もうボチボチ暑い日が出てきたりします。
今日のアイキャッチ画像はゴールデンウィーク前の先日
八重桜を見にお散歩に行った時のエルちゃんです。
桜のじゅうたんがとっても似合っていて可愛いのです。
よく見ると
お鼻が真っ黒です。
それはいつもの事なのです
フェレットの自慢話について…「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」にはならない「あばたもえくぼ」になる話
「せっかくのCHANELもあの人が持つと何だか安っぽいわねえ」 「CHANELって貧乏人が無理して持ちたがるブランドって ...
これからの時期
お散歩や外へ連れ出す時には
キャリーバッグの中には保冷効果のある物を入れてあげる
直射日光が長時間あたらないようにする
など、もう今から充分に気を付けてあげて下さい。
「雨の日の室内」は特に注意が必要です
これからの時期、特に雨の日は
室内の湿度に注意して「除湿」を意識して過ごさせてあげて下さい。
それほど気温が高くなくても湿度があがると「熱中症」を起こしやすくなります。
こちらは日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防指針」WBGTと気温、湿度との関係 図2です
詳細はこちら⇒日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」Ver.3 確定版
気温が25℃だとしても、湿度が75%なら、それはもう
「熱中症の警戒レベル」だと、ハッキリこちらに出ています。
これは汗をかける(体熱を放散できる)人間の警戒レベルです。
汗をかけない(体熱の放散が上手にできない)フェレットでは
「もっともっと警戒してあげなければいけない」って思ってあげていて下さいね。
一緒にいる時も、離れて過ごしている時でも
いつでも、その子の事を思って、その子が快適に過ごせるようくれぐれも気にかけていてあげて下さいね。
楽しく快適なニョロニョロ生活を♡