今日のこの記事は「まとめ」的なものではありません。
今日まで多くの経験者飼い主さんたちに教えて頂いてきていることを一度アウトプットするためのものです。
なので、相反する意見に見えるものもあったりしますが、それは「その子によって」違う、それは「その子を診たその獣医さんが判断した結果がそう」というだけの事です。
一つの病気についてその考え方やアプローチの仕方が獣医師によって違うのは当たり前の事ですし、その後の経過がその子その子によって違うのも当然あることです。
なので、どの先生が正しいとか、どの飼い主さんの行動が正しいとか、そんな話ではありません。
私が独り占めにしていては罰が当たりそうなくらい有益な情報をたくさん教えて頂いているので、同じ病気で行き詰っている飼い主さんの参考に少しでもなれたらと思いますし、病気じたいとは今は無関係かもしれない多くの皆さんにも「セカオピの重要性」を考えて頂くきっかけになったら良いなって思います。
シスチン結石(シスチン尿症)とは?
これは「人」のお話
【シスチン結石】
シスチン結石アミノ酸のシスチンが尿に排出されるシスチン尿症の人にできやすい結石で、遺伝性があります。 リン酸マグネシウムアンモニウム結石この結石は女性に多く、一度できると細菌感染で大きくなりどんどん大きくなり、腎盂・腎杯の形のままサンゴ状になりやすい特徴があります。
日本医師会:「尿路結石」
【シスチン尿症】
常染色体劣性の遺伝性疾患で唯一の症状は尿路結石症です。この疾患による結石は薬剤による溶解療法や再発予防が可能です。しかし、結石が大きい場合や閉塞原因になっている場合にはESWLやTUL、PNL手術が必要です。
【原因】
二塩基性アミノ酸(シスチン,リジン,オルニチン,アルギニン)の腎近位尿細管という部位で、再吸収と腸管での吸収障害がみられる。特に溶解度の低い(=溶けにくい)シスチンが尿中に多量に排泄されるためにシスチン結石が形成されます。
【診断】
『結石分析検査』を行うことでこの病気の確定診断ができます。
【再発予防】
①水分の多量摂取
尿中シスチンが濃い尿で結晶化するのを防ぐために、1日の尿量を2.5L以上に維持する必要があります。
②尿のアルカリ化
尿のPHが7以上になるとシスチンが溶けやすくなります。そのため重曹やクエン酸塩製剤(ウラリット®︎)などが投与される。尿のPHの調整は7~7.5が望ましいとされています。
③チオプロニン(チオラ®︎の定期内服)
チオプロニンを内服することで、尿中シスチンは約50倍の親水性をもつ溶けやすい複合体を形成することになります。副作用として難聴、中毒性表皮壊死症、ネフローゼ症候群、黄疸、無顆粒球症、肝機能障害、間質性肺炎、重症筋無力症を稀に引き起こすため、注意が必要です。
船橋クリニック:「シスチン尿症」
飲水量や尿の量についてはあれですが、病気についての定義は大体どんな病気でもこの子達もほぼ同じだとお考え下さい。
フェレットのシスチン尿症(結石)についての考え方
ここからは多くの経験者飼い主さん達から教えて頂いたことのメモを参考にバーっと書いていこうと思います。
と、その前に、
この子は会陰尿道造瘻(ろ)手術をする事はもう決まっています。
前回の記事でもちょろっとお話しましたが、その手術は「石が流れやすい尿道と出口を新たに作ってあげるため」の手術です。
その手術をしたからといって、石ができやすい体質である事は変わらないし、その手術をしたからといって100%すべての石が必ず排出されるという保証がされるわけでもありません。
あくまでも、石ができた時に開腹手術に至ることになる可能性を少しでも下げてあげるための手術です。
「急いで手術をする必要はないと思いますよ」と、手術によるこの子の体への負担を考えてアドバイスを下さった方も何人かおられました。ありがとうございます。
私のあの書き方では「急いで結論をだした」と誤解を招いて当然です、し、事実、再発を恐れすぎていて、私の思考が「急いでなんとかしてあげなければ」となっていた事は間違いないです。
ご心配をおかけしました、申し訳ありません。
ですが、今日のこの記事で書いている「手術について」は、あの時から更に話し合いを重ね、セカオピもして、そのうえで、どういう風に考えたとしても「しておいてあげた方が良い」→「時をみて手術をしましょう」と改めてそう決まったというご報告にもなりますので、急いでだした結論のままで突っ走っているのではないか?という不安は解消して頂けたらと思います。
あと、「うちの先生が言ってました」として、手術の是非についてご意見を下さった方も何名かおられました。
この子のことを心配してかかりつけの先生に相談して下さった優しいお気持ちに感謝します。ありがとうございました。
今この子はもう、お引き受けした時からずっとこの子を診て下さっている先生に全てをお任せする段階にきていますので、どうかご安心くださいね。
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再発について
短い子では開腹手術をしてからわずか2ヶ月で再発したお話
最長では、投薬なしで亡くなるまで3年間再発しなかったお話
また、会陰尿道造瘻(ろ)手術をした後、尿がキラキラしてたりジャリジャリしたり見えることはあったが、亡くなるまで「詰まることはなかった」というお話
様々な経験談を聞かせてもらう事ができました。
「再発」については、「一度きりで石が出来る事がもうそれ以降一度もなかった」のか、「石はできたけど自然に流せていた」のかによって全然違うお話にはなると思うのですが、遺伝子的に石ができやすい体質である以上、石はできるものだと前提に考えてあげるのがシスチン体質の子にとってのベターであって、さらに、「生まれつき尿道が狭い子」「尿道炎を起こしやすい子(尿道が炎症を起こして腫れていると尿道が狭まって石が詰まってしまいます)」などなどと様々な体質がある事を「一度は詰まったことがある」をベースに考えると、「個体差」や「運」だとするよりは、「再発(詰まってしまうこと)を前提としてその対策は必須」とするのがベストでしょうとの事でした。
これはあくまでも、膀胱や尿道を綺麗にする処置からわずか1ヶ月足らずでもう石の元になる砂状の結晶や細かい石が出始めているこの子の体の状態から「再発(詰まること)への対策=手術」とする考え方なのですが、「石ができたのは最初の一度きりだった」という子もいます。
必ず再発するわけではないお話として、詳しく聞かせてもらいました。
再発しなかった子のお話
半日ドックで結石発覚後、4歳3ヶ月で石取って、3ヶ月後に半日ドック受けてるからコレは3ヶ月後に検査した方が良いって言われて、ついでに他も全部検査したんだと思う。 その後はテンさんが旅立つ7歳7ヶ月まで半年に一回半日ドックを受けてる。
半年に一度の半日ドックは、獣医さんの指示というより私が定期検診として受けさせたいからやってる事だし、獣医さんもそれをわかってくれてるから術後3ヶ月の検査以外は特に指示されてはいない。 ので、3ヶ月後の検査以降は本来どの程度で確認し続けるのかはちょっとわからない。
うちでやってる半日ドックの検査内容は、血液検査、レントゲン、エコー、糞尿の検査。 半年に一度検査し続けてたし、実はまた石出来てたけど存在に気付いてないだけって事もないよ。本当にシスチン一回きりだったよ。
再発した子のお話
同じように再発(石ができて)検査をした子のお話も詳しく教えてもらう事が出来ました。
こちらのブログ記事内には、膀胱から直接抜いた尿に光を当てて、中にサラサラと砂のように映る結晶がとてもよく分かる動画がありますので、ぜひ御覧下さい。
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フードで再発は防げるのか?対策できるのか?という話
上記の再発しなかったというテンさんは
フードは石が出来る前も後も主にアカナで特別タンパク質を減らしたとかしてなくて、ただとにかく水分を取らせる事だけ気をつけてた。 1日2回ふやかしに変えて、ふやかしが美味しくなるように馬肉の生肉ミンチ混ぜて、その2回の間にも水分取るようにレバスパンを薄ーく入れて飲ませた。
なので大体5〜7時間に一回は私が何かしらの水分をあたえてたかな。 水分取らせるために昼休みも家に帰ってたし、石になる前に全てを排出!って頑張って、それが習慣化してた。 テンさんはただの水をあまり飲まない子だったから、美味しく水分を取らせる事には注意してたよ。
との事です。
「遺伝子疾患であるため、フードで対策するようなことではない」とする獣医さんの発言はいくつもあります。
が、
シスチン尿石症のフェレットのほとんどがグレインフリーのキャットフードを与えられていたという報告。
何が原因かはわからないけど、フェレットにピープロテイン入りのキャットフードを与えるのは、良くなさそう…。(アブストのみ読んだ)https://t.co/rJqXQDGlVW— DC one dish (@DConedish) October 13, 2021
というお話もありました。
飼い主さん達の声
「シスチンの子にはこうしたら良い」がまだハッキリとは分かっていない中で、経験者飼い主さんたち皆さんが自力で、手探りで、得てきた情報をこんなにたくさん教えて頂き本当に感謝です。
まとめ
冒頭でお話しさせて頂いた通り、今日のこの記事は「こうだからこう」というお話ではありません。
経験者飼い主さん達に教えて頂いたリアルをそのまま書きださせて頂いたメモのようなものです。
そしてこれは、これまでのいたちのおうちの全ての記事で常にお話させて頂いている事ですが、これは「あなたの、その子の」お話しではありません。
いたちのおうちに書いてある事を、あなたの大切なその子の症状にあてはめて勝手に安心したり過剰に不安になったりしてはいけません。
どんな時でも、その子を診てくれている先生と相談する事が一番大切なんです。
「こういう事もあるんだ」「こういう考え方もあるんだ」って、いたちのおうちは、そういう風に使って下さいね。
健やかなニョロニョロ生活を☆彡