数年前から定期的に「保護フェレットカフェをやりませんか?」系のお話がきます。
共同経営者として一緒にやりませんか?から、経営は自分に任せてもらってあなたは○○で、等まで、実にバリエーション豊かに誘われてきてはいるのですが、皆さんご存知の通り、私はやっていません。やりません。
これは、「保護動物を使ったビジネスなんてけしからん!」とかそんな事では全然なくて、「保護フェレットで商売をしよう」がそもそも成り立たないからなのですけど、その辺りの事をきっちり皆さんにも知っておいて頂く事で、定義が曖昧になっている「保護とは?」が明確になるのではないかなと…今日はそういうお話もさせて頂こうかと思います。
最近、「保護動物ビジネス」だとかいう訳の分からない、保護とは真逆にゴールを定めたそれが勢い付いてきていたりして、本当にどうかしてるんじゃないかと私は思うのですが、このご時世でもまだ「動物ものは儲かる」みたいな商材が流行っているのは事実なようで…
チャンネル登録、再生数稼ぎ、収益を目的として動物に危険なことをしたり、不愉快なことを強いる、もしくは収益のために個体を増やしていったりなど、金稼ぎのために動物を不自然な形で利用するようなYoutube動画は収益を剥奪したほうが良いのではないだろうかと、私自身は考えてしまう。こうかな?
— 東一平(Ippei Azuma) (@JqNsQ9wkKg5xwFm) September 30, 2022
まぁ、「動物もの」という大きなくくりはさておくとして、とにもかくにも、保護動物が商売になる仕組みを許してはいけません。
商売というのは、ずっとコンスタントな売り上げを出し続けなければいけないし、ずっと続けていく事を見据えていないと成り立ちません。
それはつまり、ずっと今後も商売のためにコンスタントに「保護動物を作り続けていく」ということですからね。
恐ろしいことに、それはもう始まっていますが…
私は、保護を必要とする動物が出ないペット社会にするために保護活動をしています。
保護フェレットカフェをやりませんか?というお誘いについて
最初に言います。
保護犬カフェや保護猫カフェは保護犬と保護猫のための施設です。
「猫カフェ」や「ドッグカフェ」は人のための施設です。
フェレットカフェも人のための施設です。
カワウソカフェもその他の動物さんカフェもみんな人のための施設です。
そして、「保護フェレットカフェ」は、何をもって「保護」とするのかにもよりますが、少なくても、いたちのおうちの保護の定義でいくと、できません。
ここをお読み頂いている皆さまの中で一度でも、「いたちのおうちで保護フェレットカフェが出来る」と思った方おられますか?
私の考えうんぬんは抜きにして思い返して頂きたいのですが、ただの一度でもいたちのおうちが「カフェができるような状態」だった事がありますか?
多分、ないと思います。
だって、出来ないもん。そもそも「保護の定義」が違うのだから。
保護犬・保護猫とは違う「保護フェレット」の定義
「保護犬」「保護猫」「保護フェレット」
この保護っ子たちは皆「保護の目的も内容も根本からしてまったく違う」という事を完璧に理解されている方って実際どれくらいおられますでしょうかね。
どこかの記事でも書きましたが、まず、「保護を必要とする状態に至る理由」が違います。
超ザックリですが、
保護される子とは
犬・猫 | フェレット |
|
|
お分かり頂けますか?
- 欲しくて買った人がきちんと最期まで責任を持って飼育する、飼えなくなったら飼ってくれる人(里親)を探して託す。
- 飼い主になったら脱走対策をきちんとする、それでも脱走させちゃったらすぐに探す、見つかるまで探す。
このたった2つさえ徹底されれば、いたちのおうちが定義する「保護フェレット」って0匹なんです。
もちろん、多頭飼育崩壊や諸事情によるレスキュー(引取り依頼)を「保護」とする場合もありますが、それについてはこちらをお読み頂くとして…
何匹から?多頭飼育とコレクターの違い【飼育崩壊】アニマルホーダー(フェレットは100%がレスキューホーダー)になりやすい人の特徴
私はフェレットの保護活動者ではありますが、飼育者としてのキャパは「2匹(自分の子)+1匹(いつ来るか分からない預かり委託 ...
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イレギュラー対応の保護っ子たちを数にいれたとしたって、「保護フェレットカフェ」をやれるほど「保護フェレット」はいないんです。
っていうか、「そんなに保護フェレットが居てたまるもんか!そんなに保護がでる社会になったら大問題だぞ?」です。
保護動物カフェとは?
ドッグカフェと猫カフェもちょっと主旨が違うのは皆さんご存じの通り「ドッグカフェ」の多くは「愛犬と同伴可の飲食店」がそのコンセプトで、多くの犬と触れ合いたい人が利用する施設ではありません。
一方、「猫カフェ」は
猫好きさんによる猫好きさんのために猫好きなオーナーが、「猫と触れあいたい人のためにオープンさせたカフェ」が「猫カフェ」の起源である。
現在「猫カフェ」と呼ばれる施設の多くは「保護猫カフェ」であり、初期の「猫カフェ」とは主旨が異なる。
とされています。
保護犬カフェとは、保護犬の里親さん探しとカフェが1つになった施設で、誰でも気軽に利用することができます。保護犬たちと実際にふれあい、気に入った子がいれば、審査の上、家族として迎えることができるという場所です。
その「保護犬カフェ」という考え方は、「NPO法人動物愛護団体ラブファイブ」が考案したスタイルです。
引用:ワンコnowa『保護犬カフェとは』
「保護猫カフェ」も同様に、(細かい設定などは施設によって様々ですが)基本的には、保護した猫ちゃん達をケアして里子ちゃんとしてのお披露目の場所、人との触れ合いに慣れてもらう場所、里親さんにお繋ぎする場所、そういう大切で重要な意味と役割を持つ「保護猫のための施設」です。
保護ワンコスや保護ニャンコス達にとっては重要な意味と役割をもつそれらは、保護フェレットにはまったく必要がありません。
保護犬・保護猫には必要で保護フェレットには必要ないもの
- 猫や犬とフェレットではそもそもの「寿命」が全然違います。
- 人慣れしていない元野良ちゃんや収容動物だった経験がある子達には人との触れ合い方を知ってもらう時間はとても大切で必要な時間ですが、ほんの数日前まで人と暮らしていたフェレットに「人馴れしてもらう時間」は必要ありません。
あげようと思えばまだまだいくらでも出てきますけど、この2点だけで十分かと思います。
すぐに新しいお家へ繋いであげる事が「フェレットのため」です。
保護猫のための施設として存在している保護猫カフェ、保護犬のための施設として存在している保護犬カフェ、と同じ理屈で「なので保護フェレットカフェをやりましょう」だなんて、フェレットの事を知らないから、フェレットの保護について何も分かってないから言えるんだぞ!そんな不勉強のままでよく私にその話もって来れたな!なめてんのか?!おおんっ?って毎回おこです。
保護フェレットで「カフェ」は出来ない
警察署からお預かりしている状態、他人様の子をカフェで展示にだすわけにはいきません。
そもそも保護したばかりの「外にいた子」を展示になんてだせるわけがありません(参考:『保護とは何も分からない子をとにかく死なさないこと』)。
また、そんな事は数年に1件あるかないかですけど、例えば、10匹以上の多頭崩壊からのレスキューの子達で考えてみても、そういう状態からの子達なわけですから、全員の健康状態がすこぶる良好だなんて事はないです。
どう考えてみても、「保護フェレット」をカフェで展示だなんてとてもじゃないけどありえないんです。
警察署からの預かり期間が満了した子、健康状態が『良』になった子、は、「一日でも早く新しいお家に繋いであげる」のが私たち保護活動者の仕事です。
寿命の短いこの子達に、カフェで「多くの皆さんに触れあって頂く」なんて、そんな時間は1分たりともありません。
動物カフェの是非について
動物カフェ自体についても賛否両論ありますが、今日のお話はあくまでも「保護動物のカフェ」についてのお話です。
飼育はできないけど触れ合いたいとか、珍しい動物を間近で見たいとか、色々な需要があるから動物カフェがあるのか、動物カフェがあるからそういう需要が高まるのか、それが良いとか悪いとか、そういう話は一切していませんので、そこは間違わないで下さいね。
保護猫のための保護猫カフェ、保護犬のための保護犬カフェ
人のための動物カフェ
その主旨や存在理由の違いをきちんと知って頂いて、「だから保護フェレットカフェはできないんですよ」って事を皆さんには知っておいて欲しいなって、そういう思いで書きました。
繰り返しになりますが、私がゴールとして目指しているのは「保護を必要とする動物がでなくなるペット社会にする」ことです。
フェレットの保護活動者は、「保護フェレット」で「保護フェレカフェ」はやりません。できません。
以上です。
健やかなニョロニョロ生活を☆彡