もう2ヶ月ほど前の事になりますが、うちの可愛いえるちゃんが緊急入院しました。
えるはフェレットにしては嘔吐しやすい体質らしく、これまでにも「原因不明の嘔吐」は何度かありました。
大昔の知識「フェレットが吐くのはよっぽどの時だ」しか持っていなかった私に、「そんな事も無いのよ。知っておいて!」って教えに来てくれたのでは無いかと思うくらい、小さい頃から、「先生!えるが吐いちゃったんです!どうしたら良いですか?」を何度も経験させてくれてきました。
お陰様で、今ではこんなに冷静に「大丈夫だから!まずは落ち着いて!!」って人様に言える程度にまでフェレ飼いとして成長させてもらいました。
参考:フェレットが吐いた!嘔吐の原因(胃炎・胃潰瘍・中毒・消化管内異物・他)とは?
フェレ歴が何年であろうと、何十匹ものフェレットを見てきていようと、「その子の母親」になるのはいつだって1回目なわけで、どの子からだって飼い主として学ばせてもらう事はその都度必ずたくさんありますね。
様子見なんかしてる場合じゃない!嘔吐で初めて「このままじゃ死んじゃうのでは…」と慌てた話
その日は別に普段と何も変わらない、いつも通りの朝でした。
いつも通りに、朝起きて少し遊んで、朝ごはんを食べて、またご機嫌で遊んで眠って…
13:00過ぎに隣の部屋から「ケッケ…ケッケ…グエッ」と聞こえたので慌てて見に行ったら、えるが吐いていました。
先生に見せる為に吐しゃ物を撮ろうとしたら、
このすぐ横でそのまま2回目の「グエッ」
慌てない!慌てない!の精神で様子を見ていた
自分が落ち着くために、抱っこ寝で様子を見たりしていました。
※我が家ではさすけがそうなのですが、抱っこ寝が好きではない子にはそれがストレスになる場合があるので、そういう子の時は具合が悪そうだなと思ったら、そっとしておいてあげて下さい。
抱っこ寝について一言(それ分離不安の引き金になりますよ)
時々「抱っこ寝してくれない」=「懐いてくれていないのではないか」と心配になって問合せをしてこられる方がいますが、全然、心配する事ではありません。
この子達は小動物です。
その祖先にとっては「誰にも見つからない物陰」が一番、安心できる場所でした。
特に狙われやすい、体調が悪い時なんかは、”死なない(敵に見つからない)ために”物陰で息を潜めてジッと回復を待っていたに違いありません。
ハンモックでヘソ天している寝姿からはとても想像なんて出来ないかもしれませんが、小動物にはそういう習性が本来はあって当然なのですよ。
それが色濃くDNAに残っている子もいるだけで、決して「懐いていないから」そうなのではありません。
意外に思われるかもしれませんが、うちの甘えん坊主さすけは、イビキをかいて部屋のど真ん中でヘソ天で寝ていても抱き上げると起きます。
「眠いからおろして」ってやります。
抱っこ寝は、「そうして眠る子がいる」というだけで、懐いているから「そうする」とイコールで考えるような事では無いですからね、安心して下さい。
そもそも抱っこ寝というのは、あくまでも「人間側の満足でやってる行為」と認識しておいた方が良いんじゃないかなって思う時が多々ありまして…これは猫の飼い主さんのお話しですが「うちの子は抱っこしてあげないと寝ないんです」と、最初はとても嬉しそうに、それが懐いているから、愛情の証だと思い込んでおられた方がいたのですが、その子が成猫になった時には、完全に分離不安症(精神疾患)になってしまっていました。
動物たちに起こる分離不安症はそのほとんどが飼育者による飼育方法の間違いから引き起こされると言われています。
その症状として取りざたされる、いわゆる「問題行動」と呼ばれるそれを、私はずっと昔から「思い込みで間違った愛情のかけ方をしてそういう風にしたのは人間側なのに、なぜ“問題行動”って言葉をこの子達に使うんだろう?」って思っています。
まぁ、そんな事はどうでも良いのですけど、とにもかくにも、(問題行動を起こしてしまうほどに)メンタルがやられている状態だというのは、それは我々人間で考えれば分かる事ですけど、一番辛いのは本人(動物側)なのですよって事だけ…今ここでそれだけはちゃんと知っておいてあげて欲しいなって思います。
って、この話はここまでとして、えるの話に戻ります。
様子見のタイムリミットを決めた
その詳細は、こちら『大丈夫な時の嘔吐(実例)』でも動画付きでまとめてありますが、この時も、吐いてしまったその後にはケロっと何事もなかったみたいに元気に遊んで、そのままいつも通りに寝てい…ると思っていました。
いや、見ていた限りの行動は確かにいつも通りだったんです。
ですが、
16:00 片付けようとトイレを見たら、全然いつもとは違うこんな状態のそれがありました。
これでは、良くなっているのか悪くなってきているのか、その時系列が分かりませんが、右側の状態は、はっきり言って「良くはない」です。
かかりつけ医は19時まで、我が家からは遅くても18時過ぎには家を出なければ診察時間に間に合いません。
「明日ゆっくり落ち着いてから行くか、今日のうちに診察してもらいに行くべきか」
17:30をその様子見のリミットに決めました。
こんな心配な状態のウンチを見た私の精神状態がそうさせるのか、実際にそうなっていっているのかをもう自分では判断する事が出来なくなっていて、それまでケロッと遊んでいたように見えていたえるちゃんが何だか急に元気がなくなってきたように見え始めました。
あ、これはダメだ、もう無理だ、一刻も早く病院に行かなくちゃ
そこからは一秒も目を離さずトイレもストーキングしたら
フルフルしたオレンジ色の便…
これは腸がおかしくなっているサインです。
ここから推測するにさっきの画像は左→右の順番でしょう。
それは「どんどん悪化している」事を意味します。
「よし、今日のうちに病院へ行っておこう」って、ウンチをジップロックにしまっていたら、またグエッグエッと聞こえ出したので、慌てて見に行ったら、こんな状態で…
これはもう「行っておこう」なんて場合じゃないです。
一刻も早く診てもらわなくちゃ!!
こんなに苦しそうにしている嘔吐の様子を初めて目の当たりにして「待って、待って、何が起きてる…?」って血の気が引くのを感じながら震える手で慌ててタクシー会社に電話をしながら、その支度をしていた時のえるちゃんがこちら
みるみる間にフラフラのヨロヨロになっていって…
「ちょっと待って、本当に待って、何なの?どうして…?何で急に…どうしよう、どうしよう、どうしよう」
病院へ急がなければって冷静にその支度を進めてはいましたが、明らかに、一気に急変したように見えたえるちゃんの体では一体、何が起きているのか…ちょっとパニックでした。
こんな時に限って
いつもお世話になっているタクシー会社には何度かけても話し中。
その間にタクシーを呼べるアプリなるものをインストールして登録してみるも待てど暮らせど近くに空車なし。
結局、タクシー会社に電話が繋がったのは当初のリミット17:30の少し前。
「10分前後で到着します」といつも通りの案内をもらいましたが、「すぐそこで渋滞にハマっちゃって全然動けなくなっちゃって、遅くなってごめんなさいね。」って運転手さんが迎えに来てくれたのが18:00。
「(でも、大丈夫、いつも40分もあれば着くんだから)中野までお願いします。」
「おっ、今日はずいぶん遠くまで行くんだね、待ち合わせの時間は何時?今日は道がどこも混んでるからひょっとすると電車で行った方が良いかも分からないよ。」
「19時です。電車だと1時間20分かかっちゃう場所で、車の方が早いのですが、間に合いませんか?」
「う~ん…ギリギリ間に合うと思う…無理そうだったら~」と、しっかり話し合いができるのは、何年もずっとお世話になってきている運転手さんだから。
そんなこんなでいざ走り出したら、思ってた以上に激混み、途中で何度か病院に連絡を入れました。
「えるが大変なんです、今、池袋らへんまでは来ているので19時には着くはずなんです、でもものすごく渋滞しているからちょっと遅れちゃうかもしれないんです。でも、今日、診て下さい、お願いします、お願いします…」
その辺りはちゃんと言葉にして伝えられていたかあんまり覚えていないけど、「今はどんな状態なのか」「いつくらいから、どんな症状が出ていたのか」などの質問にはちゃんと答えられました。
いつもなら40分で着くところをきっちり一時間かかって病院に到着したのが19:00ジャスト
答えてもらえるはずがない「このまま死んじゃわないですよね?大丈夫ですよね?」
すごく当たり前の事なのですが、「営業時間が19時まで」となっている場合、サービスを受けられる時間が19時までという事です。
19時に営業は終了なのですから、19時に行っても本来であればサービスは受けられません。
ですが、そこが病院だからなのか、電話で前もって遅れるかもしれないけれど診て欲しいとお願いしておいたからなのか、ただただ先生方の温情でだとは思いますが、有難い事に診察を受けられました。
「あら、あらららっら、随分クテっとなっちゃってますね…いつくらいからって事でしたっけ?」って、さっき電話で伝えた事は既に申し送りが済んでいるというか、カルテに書いてくれてあるのでしょう、えるちゃんを触診しながらそれを見ようとしていた先生に私は電話の時に見ていたメモを見ながら答えました。
そう、私はタクシーに乗ってすぐから、友達に送ったラインの内容や写真のExif情報を元にして今日の出来事を時系列順に書き出してまとめていました。
こんな風からこんな風になってって、もちろん動画も見てもらいながら…
なぜか私はその時まで「そのまま入院する事になる」だなんてこれっぽっちも思い付きもしていなかったから、だから「えっ…と…」って、これは入院しなければいけないような状況に今えるの体があるんだって事を現実として受け入れるために自分の心の時間稼ぎとして必要だった「えっと」であって…
…この会話、お分かり頂けますかね?
私も普段だったら分かりきっている事なのですけど、本気で冷静さを欠いていたからか、先生が答えられるはずがない答えようのない質問ばっかりしてるんです。
検査も何もしていないのに大丈夫かどうかなんて分からない状態で、「絶対に大丈夫」だなんて、そんな事を軽々しく「先生」と呼ばれる方々は口にしません。
そんな事は分かっているはずでしたが、入院手続きの書類を書きながら、私は何度も何度も聞いていました。
やっと成立した会話、答えてもらえた唯一の質問
それは、ものすごく太くて大きな注射器でした。
「キッキッキィーーーーーーーーー!!!」
って、ぐったりしていたえるちゃんが病院中に響き渡るほどの大きな声で鳴きました。
「あぁぁ…えるちゃん…可哀想に…可哀想に…」
打ってもらった分そのまま全部じゃないかって量が下からビャーーっとボタボタ出ちゃって…それを片付けて下さってる看護師さんが先生に「粘膜です」って言いました。
それを受けて、先生が、私が手続きを始めてすぐにした質問
に答えてくれました。
「何かあったら(急変したなど)すぐにお電話させて頂きますから」という言葉の方を失礼ながら振り返れず、私は看護師さんの優しい抱っこで入院のお部屋へ連れて行ってもらうえるちゃんをただただ見えなくなるまで見送りながら、ずっと(えるちゃん、迎えにくるからね、ちゃんと一緒にお家に帰ろうね。だから頑張って、頑張って、えるちゃん頑張って…)って念を送っていました。
原因は何であれ、判断があと少し遅かったら間に合っていなかったかもしれないですね
このお話し、本当はもっと聞いて欲しい事がたくさんたくさんあるのです。
が、それはまた別の機会に「入院中~退院までの様子」として聞いて頂く事にして、今回はここでまとめに入ろうと思います。
翌々日には晴れて「元気になったから」退院できたのですが、今回の嘔吐、その原因は分かりません。
「えるが元気になった」だけで、私は十分なのです。
このブログ内でも何度か書いてきている事ですが、私は”それで”良いのです。
とにかく徹底的に調べつくしてあげるのが良いと考えておられる飼い主さんもいるでしょう、他にも色々な考え方がありますが、その中で私は、例え検査とはいえ、体に針を刺したり、レントゲンをあてたり…そういうのはなるべく少なくしてあげたいってそういう風な考え方が強いのです。
※どっちが良いとか悪いとか、そういう話はしていません。
もちろん治すために必要な検査は受けさせますが、検査をしたからと言って、原因が分かったからと言って、ってそれが治療へ直結するものでないのであれば「その検査は今しておく必要があるのでしょうか?」と先生に必ず聞きます。
この時も「検査をしたからと言って分かる事は少ないでしょう」との事でした。
ただし、「病院へ来るのがあと少し遅かったら危なかったかもしれません」と、それだけ一気に体調が下降していた事、フェレットのような体の小さい生き物では特にそういう事がよくある事、「あのままでは回復するだけの体力が早々に無くなってしまって、いわゆる手遅れになっていたかもしれないですから」っておっしゃっていました。
時々、「様子見ってどのくらいが適正なんですかね?」とご質問を受ける事がありますが、そんなものの目安はありません。
様子見というのは「それ以上悪くなってなさそう」な時に「病院へ行く間に」する事であって、少しでも悪化している様子が見られたらそこでさっと切り上げて、病院へ行かなければダメです。
体が小さい分、体力の消耗は私たちが思っているよりずっと早いのですから。
早く処置をしてあげてさえいれば治っていたはずなのに、いたずらにその時間を引き伸ばした結果、回復するだけの体力を奪ってしまっていただなんて事は避けてあげなければいけませんからね。
どうかどうか、大切にしてあげて下さいね。
健やかなニョロニョロ生活を☆彡