先日、関西の猫ボラさんから
- 多種(犬・猫)ブリーディングの崩壊現場にフェレットがいました
- フェレットの知識がないから力を貸して下さい
という連絡が入りました。
「チーム命の輪」という保護ボラさんをご存じでしょうか?
兵庫県で、命の期限がある犬猫、小動物を保護し、新しい里親様を見つける活動をしています。又、野良猫のTNRや動物愛護の啓発活動、バザーを定期的に行っています。
という活動者さんです。
犬が20頭前後、猫が30匹前後、他にも動物がいる中で1匹のフェレット。
引き出しの日にちは二日後。
即答した「その子の事は、いたちのおうちが責任を持ちます。他の子達の事は何もお手伝いすら出来ませんが、その子の事だけは安心してお任せください」
から始まった今回のお話し。
関西で活動をされているフェレットの保護ボラさん達に協力要請の連絡をして、その折り返しの連絡を待つ間、私は泣きながら羽田からの飛行機と帰りの新幹線の空席状況を調べていました。
私は嬉しくて泣いていました。
これまでにあった色々な事を思い出して「有り難い…有り難い…。本当に良かった。有り難い…」って泣きました。
横の繋がりの大切さ
数年前、「フェレットは放っておいても繁殖しないから」という理由で保護活動者を名乗る人間から「フェレットが3匹いたけど、そのまま崩壊現場に置いてきた」という話が入りました。
最初から繁殖力のないフェレットは多分、そのブリーダーさんに「ペット」として飼われていたんだと思います。
だから、レスキュー対象にならない事は理解しているのですが、それまでの経験上、そういう場合、繁殖用の子達が引き取られる事が決まった瞬間から、なぜかそういう人は「ペット」のお世話もしなくなる事を私は知っています。
嫌な予感しかしなくて、慌てて飼い主さんと繋いでもらいましたが、「もうここに動物は何にもいない。手放した(動物はもう飼ってない)んだから関係無いだろ!!」とものすごい剣幕で怒鳴り帰されただけで、その子達がどこへ行ったのかはもちろん、その子達がちゃんと元気なのかさえ私は知ってあげる事も出来ませんでした。
「どうして一緒に連れてきてくれなかった?」
『置いておいても増えないし、そもそも猫じゃないから』
「どうしてもっと早く教えてくれなかった?」
『猫の手配(手術・里親探し)で忙しかったから、そんなのいちいち構ってる時間なんか無かった』
あの時、同じ保護活動者を名乗る人間の口から発せられた「たった3匹くらい」という冷めきった言葉の温度を私は一生忘れません。
だから、チーム命の輪の代表が「たった1匹のフェレット」を「一緒に引き出す。誰も置いてきたりしない。」と言ってくれた事、それが嬉しかったんです。
※ワンちゃん達の事も全て「ワンちゃんボラさんへの手配済み」との事でした。
頼られた!頼った!いたちのおうち出番無し!
チーム命の輪のスタッフさんからあった最初の連絡は、メンバーさん達を全員もってしても「とにかく、フェレットの事が分からないからどうしてあげたら良いのか教えて欲しい」というものでした。
冒頭通り「その子の事は引き出しのその場から全てこちらで引き受けます」として、その後すぐに代表さんと直接お話しした流れはこんな感じです。
「本当に何も分からなくて、とりあえず引き出したその足で病院へ行って手術やら何やら全て済ませてそれから里親さんを探すしかないかと思ってたから本当に助かります」
「えっ?手術が必要な子なんですか?(ケガしてるのか?それとも病気の兆候があるのか?もしそうなら2日後とか言ってられないかもしれない…)」
「うん。今は一匹だから増える心配は無いけど、里子にだすなら本来はそこ(不妊手術)までしてからじゃないとうちからは出せないから」
「あ…(良かった)それなら大丈夫です。フェレットはその手術は済んでるはずです」
「ううん。飼い主さんが何もしてあげてないって言ってた。あの状態じゃ臭腺とかも残ってると思う」
「あ…いくら動物たちのニオイに鼻が慣れている活動者さんでも、フェレットのニオイは少し独特なので、そう感じられたかもしれませんが、その手術も済んでるんです。」
「えっ?本当?」
「安心して下さい。そして手術云々は関係無く、当日は私がお引き受けに伺います。」
「東京から?」
「はい。あ、いえ、関西のボラ仲間でお願いできる知人が見つかるとは思います。が、もし誰も都合がつかなくてもその時には私が行きますので、その子は必ずその場で引き受けるという意味です」
「良かった。本当に全て任せて良いんですね」
手を動かさないなら口を出さないのが活動者同士のルール
関西のボラさんから「私が行きます」と連絡が入りました。
引き出し場所、ボラさんのお家、その他もろもろの事情を考慮して具体的な話し合いを進める間、土地勘さえない私は電話をしながらグーグルマップで地名を打ち込むのにも「漢字はどう書きますか?」ってもういちいち話を中断させてしまう完全なお荷物です…
ので、私が抜けた方が早いと判断しました。
「後はお願いします」
「お任せください」
これだけです。
たったこれだけで、ちゃんと予定通りに「生体無事確保」の連絡が入りました。
それが活動者同士の信頼関係だし、「横の繋がりがある」って、こういう事を言うんです。
って、めっちゃ格好つけましたが、要するに、私は何もしていないという事です。
その子の事
外を放浪していたわけでも無いのに伸びきった爪…
耳ダニもいたそうです。
推定で「まだ2歳にならないくらいじゃないか」とされた男の子
それにしてはずいぶんと軽い540g
先ほど、「繁殖用の子達が引き取られる事が決まった瞬間から、なぜかそういう人は「ペット」のお世話もしなくなる」と言いましたが、この子はその前からすでに適切なお世話をしてもらっていなかったのでしょう…
チーム命の輪さんが引き出してくれなかったら、もうあと何日ももたなかったかもしれません。
検査結果(当日)
エコー、便検査、血液検査、一通りの検査をその日のうちにしてもらったそうで、こちらが当日に出た結果です
ぞっとするような数字もありますが、この時は、胃が空っぽだった事、体力の消耗がかなり激しい事、脱水に貧血の症状も見られたと…
それでも低血糖には陥っていなかった事で、入院ではなく、皮下点滴その他の処置で「安心できるお家で様子を見てあげて下さい」とこれは、保護主さんの看病看護実績と獣医の先生との信頼関係で
「入院ではなく、通院という形で回復を待つのがこの子のために一番良い」という判断になったのだと思います。
その判断が正しかったと証明するのが今日のアイキャッチ画像(一番上の写真)です。
目の輝きが全然、違います。
ほんの数時間前には「あと数日はもたなかったかもしれない」なんて思われた子とはとても思えません。
それもこれも全部、チーム命の輪の皆さんと犬ボラさん、搬送ボラさん、ニョロボラさん皆みんなのお陰です。
本当に本当に「ありがとうございます」の気持ちでいっぱいです。
ゆっくり回復してもらうために、みんなが幸せになるために、いたちのおうちが出来ること
この子は姫路で引き出されて、大阪のボラさんの所へ届けられました。
チーム命の輪さんからワンちゃん達を託された犬ボラさんが手配してくれた搬送ボラさんが車で届けて下さったんです。
本当に多くの方が関わってくれて繋がった命なのです。
そのチーム命の輪さんは今日、今頃はきっと、引き出してきた猫ちゃん達の健康診断、不妊手術の手続き等をされている頃だと思います。
今回、1匹のフェレットの命を繋いでくれたボラさんの元には
- 新しい家族を待つ猫ちゃん達がいます
- 物資の支援を募っておられます
- 募金の受付けもされています
その活動へのご協力をお願いします。
また、現段階ではまだ里親さんの募集ができるかどうかは回復を待ってみるまでは分かりませんが、その間の通院やお世話は全て引き受けてくれたボラさんにお願いする形となっています。
いたちのおうちからも出来る限りの協力・サポートをさせて頂きますが、今ここをお読み頂いている皆様にもどうか、この子に「早く元気になぁれ」と気持ちを掛けてあげて欲しいのです。
見守っていて下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。
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